2012年7月1日日曜日

『 アンアンのセックスできれいになれた?』/北原みのり著 雑感


某所にて7/1公開、7/21転記
 
 刺激的なタイトルですが、女性誌から見える女性史な位置づけの本かと思います。

 SEX特集の変遷に一番驚きました。

 創刊当時から2000年前半までは「女性がどう安全に楽しむか」だったのが、2000年後半から突然 「男性をどう悦ばすか」に変わる。変わったタイミングと社会情勢が見事にリンクしてるのが、興味深くも薄ら寒さを感じました。保守化(若しくは右傾化)が 社会の末端と言えそうな女性誌にまで影響を及ぼしてるとは正直予想外でした。雜誌は社会を映すんだと改めて感じた次第です。そうい視点を教えてもらっただけでも、この本は私にとって価値がありました。

 
 しかし、ここ数年のアンアンって何処まで「男性主体」なのかと溜息がでました。読みながらゲェとか、そこまで求められるのか?!な感想が口から漏れたくらい酷い、というかなんというか…。けど、アンアンの勧め通り実践してる女子達も居るんだろうなぁと想像すると、いったいプロとアマチュアの線引ってどこなんだろう?単に金銭が絡むか否かの違いしかないんじゃなかろうか…と。加えてテクは雜誌とか映像で身につくけど、「安全」とか「安心」はどこで教えてもら えるんだろうと薄ら寒い気持にすらなりました。

 そういう意味では、70-90年代のアンアンは盤石で女性の身に寄り添って良心的だったんだと、この本を読んで再確認しました。

 読みながら当時を思い出した事を雑感的に残します。


 本木雅弘のヌードは、高校時代だった!スタンドで買ってきた子が数人いて、クラス中で回覧されてた!あれはホントに衝撃だったし、煽情的で色っぽくて男性のヌードがこんなにエロいんだと視覚として認識した最初でしたね。北原さんが書いてるように、女性が男性ヌード(男性週刊誌的な)を観て刺激されてもいいんだ!欲望の眼差しを向けても変じゃないんだと思わせてくれた号だった様に思います。あの時のクラス中の熱は欲望が解放されたが故のモノだったんだと今になって分かります。でも、その熱は凄く健全だった。女子全員でキャイキャイ言って、見える見えないとかこの視線がとかポーズがとか楽しそうだったよな~。
 

 それと対になるであろう、宮沢りえの『サンタフェ』。あれは、日本史の教師(男性で50過てた)が嬉しそうに持ってきて授業中に回覧したんです。もうその状況がただ気持ち悪かった(苦笑)。あの気持ち悪さって、多分その教師の自己顕示欲(俺ってこんなにオープンなんだという間違った感覚)とヌー ド写真集の被写体と同年代の生徒に見せるデリカシーの無さ、それを買って眺めてるかもしれない教師への生理的な嫌悪感が綯交ぜになったものだったんだと今になって思います。が、とにかくその時はひたすらに気持ち悪かった。
 宮沢りえの『サンタフェ』のみに関して言えば、その後学校図書で眺めて衝撃を受けました。宮沢りえが、同世代の私から見ても瑞々しくて健康的なのに儚げさがある。それが、風景と上手く溶け込んでなんて綺麗で美しくて、生命力が感じられるのにどこか異世界な雰囲気があるヌード写真集と非常に好意的に受け止めました。正直、今見てもやっぱり「綺麗だ。いい写真集だ」と思うんじゃないかな。
 強制回覧(笑)されたクラスの反応は、写真集は綺麗だったけど…という非常に微妙なモノでした。そりゃそうだわなぁ。あれが本木雅弘と同じような自主的な回覧だったら、絶対違った反応になったんじゃないかと思います。それこそ、キャイキャイ言いながらこの写真がすきとかこの角度が綺麗とか言いながら、宮沢りえの瞬間の美しさを同性の同世代として堪能できた気がします。

 松雪泰子と保坂尚輝のグラビア。これもなんかしらんけど見た記憶があるぞ!となりました(笑)。当時から女子力が低くてアンアンを読まなかった私ですら覚えてるくらいだから、凄く印象的だったんだんだなぁ。


 06年のDVDは、Webで話題になってたのを読んだのかな。なんとなくそんなのがあったねぇと憶えてます。綺麗だったとかなんとかかなり好意的な感想が多かったんじゃなかったかな??


 著者引用の2000年後半から「愛されテク」を眺めつつ思ったのは、これって腐的に使えるよな、小説とか漫画の資料としてお役立ちなんじゃね…と思った私は、激しく腐ってると思いました。しかも、読み専のくせにと突っ込みつきで(笑)。

 だってそうでも思わないとあんな馬鹿馬鹿しい内容(アンアンのね)読めませんよ。どこまで尽くせばいいのかと思いましたもの。「愛される」為に テクが必要っていつの時代??と。昔の花魁だって身体じゃなく「知性」で勝負だった部分もあるのに、テクが全てってなにそれな脱力感です。

 ホントに戦後日本の教育ってどこからズレたんだろうねぇ…