2012年6月17日日曜日

12大河 22−23話雑感

某所にて6/17公開、7/17転記

  凄かった!この半年見続けた価値あったぞ!しか感想が思い浮かばない、22-23話でした。
 そして、やっぱりコヒさんっ!!豊原さんっ!!國村さんっ!!山耕ぅ!!な盛り上がり(笑)

 この半年見続けて密かに思ってるのが、『平清盛』と『新選組!』の関係性だったりします。物語の流れや役者の配置、歴史考証との兼ね合い、史実の取り扱い方、去りゆく人に対する目線、演出(あと低視聴率^^;;)なんかに共通点があるように思えて仕方ないんです。パクリとかいうのでは全くなく、 恐らく脚本家の方向性が似通ってるんじゃなかろうかという感じ。久しぶりに完走できそうな大河ドラマがこれって…。こういうのが私の嗜好なのか…と今更な思ってみたりしてます。


 では各話雑感から。



22話「勝利の代償」
 この回は、崇徳上皇・藤原教長、藤原忠実・頼長、信西に尽きる気がします。 

 
 まず出家を望んだ崇徳上皇に対し教長が「僧も剃刀もままなりません」的な言葉に、戦の敗者の意味だけでないものを感じました。幼き頃から崇徳を見つ め続け支え続けてきた教長だからこそ、その無念や哀しみがあったんだろうと。そして、それを受けた上皇の言葉がそれを裏付け…。登場時間が然程多く無かったにもかかわらず、一視聴者にそう思わせてくれてたのは、役者と脚本が上手くハマった結果でだと思った場面でした。
 
 次に忠実・頼長親子。

 首を矢で射抜かれて、舌を噛み切る頼長君を見せたのにもビックリでした。最近の大河ってこうい血なまぐさい場面は見せないと思ってたので、まさかきちんと見せるなんて!!と。そして、どんどん憔悴して、空ろになり、父親に見捨てれた哀しみを見事にに見せた頼長=山本耕史が鳥肌が立つくらい凄かったです。いい役者さんだとは思ってたけど、ホントに凄いいい役者さんだわ…。
 そしてそしてやっぱり、忠実父な國村さん。息子を拒み続ける姿に色んな情感が溢れててるからこそ、鸚鵡の亡骸を抱えて慟哭する様に心打たれました。いやぁこの方も多くない出演時間だったのに、印象深く観てる側にあれこれ残して下さったと思います。

 信西については、頼長邸で流した涙。同じ理想を抱き、互いに才を認め合い、どちらかが歩み寄れば共に進みゆけたかもしれない。それが、手法・身分、求める未来の小さな差異で敵になり、片方は「死」をむかえる結果になった。その「死」を背負い込み進むことしかなくなった。そんな中で、頼長の「美しい理想」に触れた結果の最後の人らしい涙なのかもしれない。ここから信西は更に過酷な道へ進むんだろうなとか。

 あれ?これって04大河(鴨とか新見の回)でも思ったような…。う~ん…(苦笑)
 しかし、この時の阿部サダヲは真剣綺麗だった!初めて阿部サダヲを「綺麗…」と思ったよ!!役者って凄いよ!!と明後日方向な感想も残しておきます。

 源平は、為義さんと忠正さんに尽きます。特にコヒさんな為義さんがもう…。こんな素敵なコヒさんを拝めただけでも、13大河は価値があったとすら思える素晴らしさでした。父親としての愛情がそこかしこに滲み出てるのに、武士としての矜持がきちんと見え隠れしてる。為義さんがコヒさんというのは、これ以上は無い配役だったと真剣に思います。


22話「叔父を斬る」

 斬首をきちんと映像として見せるとは予想外でした。斬首を一切の誤魔化しなく、手抜かりなく見せたことはホント評価したいです。今年の大河については、視聴率低迷とかに惑わされることなく、この方向を貫いて欲しいと願うばかりです。
 そして、斬首なり流罪が当時の社会においてどれだけ衝撃だったのかとか、公家と武家の「現時点」での関係性とかをも45分という枠できちんと表 現してたことも評価したい。斬首という厳罰化がどれけ後世へ影響を与えたのか、恐らくそういう部分をも踏まえて作ってきてる気すらしました。
 しかも、人間ドラマとしてそれを使って、これまでの積み重ねを基礎に、齟齬なく無理なく組み込んできた脚本の見事さときたら!!久しぶりに、いいドラマを観せてもらった気がします。

 一部で「山南回」と言われてた今回。確かに「山南回」でした。物語の転換という意味においても、主要人物の「死」という点でも、展開や漂う緊張感においても「山南回」であり「鴨回」だったなぁと。これは、先にも書きましたがパクリとかでなく、脚本家の方向性なりが非常に似通ってて、そういう作品を好む人達が類似性を見出してるだけの話です。

 主人公の甘さがこれを転機に消えたので、これからの半年が楽しみになりました。遅かったとは思うけど、このタイミングなら許容範囲かなぁ。余談ですが、04大河の主人公が大化けしたのが最終話4回前だったことを思うとねぇ(苦笑)。まぁ04大河は主人公以外の変化が見事だったからいいんだけどさ…。

 今回の主役(ってヲイ)為義さんと忠正さんについてのあれこれ。

・源氏十代の太刀・友切を為義さんから義朝に手渡した場面は、父から子へな意味があったんだろうなぁ。正統な家督相続というか。数回前で義朝が無理やり弟から奪った事を考えると。その意味でも伏線回収が見事だと思った場面です。
・斬首を待つ忠正さんのところに色んな人が訪ねたり、残る者にあれこれ託す場面は、山南さん切腹回を彷彿させられました。
・忠正さんと為義さんへあてられる光が柔らかく、彼らの表情がとても穏やかでね、山南回の時と非常に似通ってた気がして…。人の「死」を丁寧に描くと似通ってくるのかもしれないです。
・清盛と義朝を交互に映し、最後に違いを見せたのは見事の一言。
・義朝に「お前の手で父をおくって欲しい」と諭すように促す為義さんがもう…。なんかこう父親としての慈愛が溢れてて…この場面で涙腺が緩みまし た。何度も書いてると思うんですが、コヒさんの柔らかや情けなさの中に隠れてる男気とかかっこ良さをゆっくり表現するお芝居がすごく好き。しかも、その中に諦めや希望、少しばかりの狂気なんかがいっぱい詰まってるって!!大好きです、コヒさんっ!!
・為義を斬れなかった義朝。この人…凄く弱いんだ…と思った。初めて自分の弱さと向きあって、結局乗り越えられなかった。それが、平治の乱にどう影響していくのか(物語として)。とても楽しみです。
・義朝の兄弟たちの慟哭「父の最期の頼みすら聞き届けられなかった、お前が「父上」と嘆くな」な言葉。これを書いてきちんと最後まで見せた演出が凄いよ…。作中人物と歴史上の人物に対して、逃げることなく向き合ってるドラマだ!と思った場面でした。

・この作品と04大河が一番似通ってるなぁと思うのは、歴史や歴史上の人物に敬意を払ってると感じられる所です。どの人物も疎かにすることなく、輪郭をもち、歴史へ参加させてる。それがあるからこそ、多少の脚色なり虚飾も許されるんだと思います。

・あと、架空の登場人物(捨助とか兎丸)が意外と影が薄いのも共通項かと(笑)。実際、史実の人物をあれだけきちんと細かく丁寧に描いてると、架空の人物が動く余地ないわなぁとまったり眺めてたりです。