2004年12月13日月曜日

新選組!最終話【愛しき友よ】感想

有り難う。
有り難う。
有り難う。
一年間、本当に有り難う。
その言葉と涙しかありません。

いつも以上に感情だだ漏れの纏まりのない感想です。

○香取近藤
・冒頭の近藤の静謐な佇まいから最後の「とし」まで涙溢れて仕方なく。
・最後まで託された役割と期待から目をそらすことなく、ただまっすぐに実直に、死すらも己に託された役割と受け入れる近藤。
・そして、軟禁されてるお宅の娘さんを見て、僅かながらも「生きよう」とする姿に、残さざるを得ない「家族」への思いを感じてしまいました。そして、まさか拳骨を口に入れる場面が、これほど切なくなるとは春先には思いもしなかった…。
・徳川からは切り捨てられ、勝のみならず西郷にも「意味ある死を託され」た時の近藤の表情があまりにも、透明で全てを受け止める、そんな言葉では表現できない何かもっと大きな器を見た気がします。
・ただ一番切なく哀しかったのは、転がるコルクでした。何故、ここまでの孤独を香取近藤に与えるのか…せめてせめてコルクだけでも…愛しそうに懐かしそうに慈しむようにコルクを持ち眺めてる近藤の目と、転がったコルクを見るなんと言えない瞳が切なく哀しかった(この場面、声あげて泣きました…)。
・つねちゃんと無言で見つめ合う場面。京へ旅立つ時と同じ構図は止めて下さい…切なさが倍増するから…と呟いたほどです。つねちゃんと近藤にとって、京へ向かうも刑場へ向かうのも同じ重さだった。ただ、「確実に」戻ってこれない事しか違いは無いのでは。
・左之の「尽忠報国の志あっぱれなり!新選組は不滅だ!」に懐かしく暖かく僅かの時間でも「安堵」を与えられたのでは。
・そういえば「尽忠報国〜」って、桜田門外の変で鴨が亡くなった浪士達に言った言葉なんだよな…それを左之が近藤に掛ける…なんかもう
・「とし」
・解釈も感想もありません。ただ、彼が発した言葉を受け入れて残しておくだけです。

 前回からですが香取近藤の姿や纏う雰囲気全てに、ある種の神性すら感じました。これこそ一年間描いてきた「香取近藤」が揺るがず、貫き通した結果だと思います。
 三谷が何処まで計算して描いてきたのかは解りませんが、この最終回が香取と三谷の描く近藤像が巧く合致した結果だと。長い長い助走を経て、走り切った場所が「此処」だと思うと。感慨深いのか着地が見事すぎる所為なのか、言葉がありません。
 香取君、ホントによく頑張ったと思います。最初〜初夏まで「どうなる、香取慎吾。このままで行くのか?頼むわ…」とどうしようもなくマイナスな印象しかありませんでした。それが、ここまで新選組局長「近藤勇」になってくれるとは。大河ドラマ常とは云え役者の成長するときの勢いなり、求心力をまさざまに見せてくれたこと感謝します。
 有り難う。そして、お疲れ様でした。

○山本土方
・最後まで戦って、何かにぶつかって、けれど絶対喪わない「柔らかな、大切な部分」が魅力的でした。
・勝に助命嘆願する歳の表情が、最初から泣いてるんですよね…なのに、勝に「死に場所=生きる意味」を与えられた時は、近藤と同じように勝の言葉の裏を理解し受け入れる。そして、拠を与えられたことに安堵を覚えた感のある表情が、絶品でした。
・逆に、実兄の前で「土方家に泥を塗った」と辛い心情を吐露し、兄に京の出来事や今や未来を肯定されて、受け入れられた瞬間の静かな涙。かれの6年間が昇華した瞬間じゃないかと思います。
・これがあったから、彼は「変わること」を許され、函館まで「指揮官」としてやっていけたのかとすら感じました。
・戦場で総司に馬鹿にされると呟き、コルクを眺める姿が漸く何かから解放され、本来の土方として成長を始めたと思わせられます。あぁ続編見てみたくなりました(笑)
・しかし、女性を見る目は相変わらず細かいことも忘れず描写され、僅かですが癒されました。

 この土方は、休むこと(歩みを止めること)を許されない役だったと思うんです。しかも感情の振り幅も割合大きく、多くの顔も見せなきゃいけなかった。そんな土方を1年以上にも渡って「三谷脚本」と「演出」と「己の演技」とを見事に摺り合わせた技量には脱帽します(恐らく彼の基準は「三谷脚本」だったとは思いますが…)。本当に素晴らしい吸引力と魅力的な土方を有り難う。
そして何より『チーム新選組!』の要で居てくれて有り難う。
 長丁場、ホントにお疲れ様でした!

○藤原総司
・救いのない孤独
・誰からも愛されて、才能もあって本当なら幸せな生涯の筈なのに。
・過去も今も皆、総司の臥せっても喪われない明るさや、無邪気さ、聡さに癒されてるんです。ただ、総司自身が余りにも生き急ぎ、聡すぎるから。最後には救われない彼自身が痛々しく切なくてなりません。
・刀を奪われた孤独と、心通い始めた矢先に「大切な女性を」喪った孤独、仲間が去って行く孤独、誰からも真実を告げられない孤独。けれど、彼が感じる孤独は皆が彼を「大切に」掌中の玉の如く慈しみ、愛してるからこそだと、彼が識ってる事が一番彼の幸せであり不幸な所なんだろうな…

 藤原君については、これまでも散々書いてきてますが。天才だよ…とか決してTVに収まる役者ではないよな…と納得させられた1年でした。あらゆる矛盾と成長を混ぜ合わせた「沖田総司」を、なんとも軽々と演じてる藤原竜也を見れただけでもこの1年嬉しかったです。
 撮影初盤と終盤には蜷川シェークスピアの舞台と重なっていたそうで、お疲れ様でした。そして有り難う。

この調子で書いていくとキリが無いので…

・新八の「近藤さんを悪く言って良いのは、苦楽を共にしたものだけだ」は、新八最後の名台詞だと思います。そして、新八が新選組に対して抱いてる思いの複雑さも感じました。ぐっさん、大人な新八、お疲れ様でした。ぐっさんの物真似ネタで裏話がどれだけ楽しかった事か(新八への思いとは違う方向に行きそう…)。有り難うございました!
・左之。左之の明るさに近藤は救われたはず。本当に有り難う…山南さんの遺志を大切にしてくれて。本当に本当に有り難う。きっと、大河の左之は馬賊の首領になってると思います。
じゃなきゃ、おまさちゃんと茂があんなに暖かで穏やかな表情してないもの…
山本太郎さんお疲れ様でした。そして、楽しい突っ込みどころの多い左之を有り難うでした!
新八&左之コンビにどれだけ楽しませてもらったことか!お二方お疲れ様でした。
・つうか山南さん卑怯ですよ…あんな所に何時の間にあんな落書きしたんですか…(大泣)
・斉藤一。容保公から虎徹を押し頂く姿に涙しました。そして、関で名乗りを上げる姿が「人」として生まれ変わった斉藤を見た思いを強く。
 自らの意志で何処にも属さなかった一ちゃんが、誇らしげに名乗りを上げた。そして、恩でも義理でもなくただ自らの思いを軸に、京へ向かう。胸が熱くなりました。
 オダギリ君、可愛くて頼もしい斉藤一役お疲れ様でした。当初「捨て犬や…わんこや…」としか思えなかったのが、どんどん「人」として生まれ変わって行く。そんな不思議な過程を見せて貰いました。有り難う。
・捨助。最後までどうしようもなかったけれど、かっちゃんが大好きで、傍にいたかったのに居れなかった
。哀しいけれど、滑稽な役だったと思います。獅堂さん、お疲れ様でした。
・野田勝。幕引き役としては最高でした…野田さんが勝で良かったとしか云えません。
・宇梶西郷。懐の深さと深謀遠慮と「情」が見える台詞。最高でした!正直、宇梶さんで西南戦争を見てみたい気がしてます。
・古田有馬。最後まで「武士」として近藤を扱い、旧来の武士階級が持っていた「情け」を捨てること無かった有馬が格好良いとすら思いました。そして、己の力が及ばなかった悔しさも含めて「古田有馬」は強烈な印象を残しました。あぁ古田さん(熊さんみたいだけど)格好良かったです。
・筒井容保公。筒井君の「人の好さ」が最後が近づくに連れ悲劇的に見えて仕方無かったです。
・石黒桂(木戸)。まさか最終話に出てくるとは思ってなかったので、吃驚しました。これで見てる方も綺麗に落ち着きました。
・今は亡き源さんこと、小林源さん、お疲れ様でした。

○以下最終回のくせに愚痴ってます(愛溢れるあまりの…だと思ってもらえたら嬉しいです^^;)
・捨助の最後に関して。捨助の存在狂言回しというか、道化役という理解をしてます。ただ、最終点が「死」であった、その事は殉死と捉えざるを得ないとは思うんですが、それでもやはり唐突感が拭えず。もの凄く勿体なかったな…と感じてます。
・最後までしつこいようですが。今回はもっと全体というか、ロングショットで見たかったです。こうも「顔・顔・顔」ばかりのアングルだと、リズムが悪く感じるし折角のお芝居が…で、画面の切り替えも違和感があって…言葉は悪いですが、紙芝居みたいだと何度か感じました。ホント最後だけに勿体ないし、悔しくて仕方ないんですよ…
・最後まで三谷脚本とNHK的演出が咬み合わなかったんだろうな…と思ったりします。ドラマ半ばにはこれは相性良いやん、と思う演出家さん達も居たのにな〜何で最終回が…
・最後までしつこいようですが、その2。藤原君おねだり山南さん追加撮影場面は結局カットでしたか?!それとも藤原君の悪戯か?!その辺どうなんでしょうか…

と愚痴ってはみましたが、心から満足し素晴らしいと云える作品だと思ってます。
ふでさんの「近藤勇良く戦いました」ではありませんが。
三谷さんとキャスト、スタッフの皆さんに…
「チーム新選組!素晴らしい作品を有り難う!」と申し上げます。
視聴率という「記録」には残らないでしょうが、視聴者の心に「記憶」に刻まれた作品だと思います。
そんな作品を有り難うございました。
そして、一年間以上に渡っての制作お疲れ様でした。

最後に、三谷さん!
お疲れ様でした、そして有り難うございます。
なんか、ホントこの一年間三谷さんが紡ぎ出す言葉の流れに飲み込まれ、翻弄されました。
それが心地よい流れで、思う存分翻弄されたことが嬉しくてなりません。
そして、素晴らしい役者さんを集めて下さった事も感謝です。

みんな大好きです!!!