2004年12月13日月曜日

『リンダ・リンダ』

 一言で纏めるなら、副長もといヒロシに魅了された3時間でした(笑)。山本君のお芝居のみならず、説得力のある歌、声、アクロバティックな動き、ダンス全てが魅力的で視線を外すことが出来ないほどでございました。水を得た魚の様な姿を見るに付け、彼は「舞台」の人で、舞台でこそ「輝く」人だと改めて感じることが出来ました。
 また、役者さんの勢いと絶え間なく流れる音楽に飲み込まれて、感情も何もかも翻弄され良い疲労感の残った舞台でした。

 話については、あらゆる場所で詳細且つ丁寧なレビュが上がってるかと思うので、省略します。
 鴻上さんの舞台初めてだったんですが(サードステージの舞台はDVD等で鑑賞してますが、鴻上さん作・演出ではなかった)、テーマ深さと舞台の明るさが対照的で衝撃を受けました。何より、台詞が度々突き刺さって。鴻上氏が持つ「柔らかい鋭さ」が己が触れたくない部分を的確に刺激してるから感じる、痛さ、それらを再認識する心地良さすらありました。
 恐らく精算されないまま今日まで残され、うやむやになってる学生闘争、過激派の過去と現在。その後の経過や現状が表舞台から消えた感のある、(諫早湾干拓に代表される)公共事業の在り方。
 男女の関係性。
 才能と限界。
 個人の過去の精算。

 決して簡単に答えは出ず、個にも社会にも還元できそうなそんな事が織り交ぜられながら、個の集まりであるバンドを軸にし、個々の動きを追う視点がぶれない。個々の動きも「矛盾が無い」事、そんな「当然」の事に驚きを感じます。また、物語であるのに、個や舞台で語られる事情の「現実感」に鳥肌が立つ程でした。特に諫早湾の堤防が落とされる映像には眼をそらしたくなるほどの、恐怖を感じました。と同時にそれらを「一時の話題」として扱い、今はすっかり「過去」の出来事として扱っている私自身に腹立ちすら覚えました…。

 出演者ですが、山本耕史の一人勝ち(笑)状態はさておき。もう一人の主役でもある、松岡君。流石歌手!ソロで歌うときなんか「美しい」とすら思えました。けど、哀しいかな山本君の艶と説得力の前にはもう「少し頑張れ!」と思うほど生彩を欠いていたかと思ったり(初舞台であれなら「素晴らしい!」とは思いますし、底力はある方とお見受けしたので…今後の飛躍を期待する意味での言葉だと思って下さいませ^^;)。

 この舞台、舞台を生業とされてる方と、そうで無い方の「柔軟性」や「瞬発力」の違いを垣間見た気がしました。恐らく「何かトラブル」があった際の対処は当然ながら「舞台役者」さんの方が慣れてる分、タイミングを誤ることなく流れを元に戻せるんだろうな…、と何度か思わせられました(台詞を噛んでも巧く誤魔化す山本君とか/笑)。

 で何度も出てきてる山本耕史君、一人勝ち状態(笑)ですが。舞台が小さく思える程、動き回って人一倍多いであろう台詞を言い、ここぞとばかり歌い踊る。そして、奥の方で小芝居(笑)も忘れない。ホント、舞台(ミュージカル)役者でした。歌も決して技巧的では無いと思うんですが、何かしら説得力があるんです。恐らく「芝居」の流れに乗り、その役として歌ってるからだと思うんですが。思わず聞き惚れる、そんな感じの歌でした。

 踊りは、流石「体作り師匠(って何?)」。体の動きでしっかり魅せてくれました!バック転に始まる一連のアクロバティックな動きも、流石だ〜と(笑)妙な感動すら覚える程。しかも、時折「強気」で「俺様」な台詞や様子がある度に、「土方がおる」「俺様何様土方様ヒロシ様山本様がおる」と的外れな感想を抱くほど素晴らしかったです(何処が素晴らしいのか?!)。というか、まだ「土方」抜けてないのとちゃうのか?と思う瞬間が度々ありました(翌日のスマステ4で抜けてないことが発覚しましたが/笑)。

 そして、カーテンコール。都合4回ありまして。一番最後には山本君が「もう終わりで〜す」と言う程でございました(あまりにも可愛らしい様子で嬉しかったのは内緒です/^^;)

 しかし、今回何が一番印象強いって…。斜め後ろの席に鴻上さんが座られた事ですよ(笑)。開演直前に座られ、思わずサイン求めに行き「サインはお断りしてるんです。握手でも良いですか」とおっしゃって下さり、図々しくも握手していただいた事が一番嬉しかったです(あんな間近で演出の方見たのはホント初めてで、吃驚しましたよ…)。
 しかし、斜め後ろに鴻上さんが居られると思う、やたら緊張した観劇時間ではありました(笑)