2004年12月5日日曜日

新選組!48話【流山】感想

 彼らの過去や関係を重ねながら終焉に向かっての下地を作り、それぞれの最後の「歩み」を意識させられた回でした。

 最終回に近づくのがこんなに辛く哀しい「大河ドラマ」になるとは、当初は思いもしませんでした。これまの「大河」は「栄華」を極めた余韻がある中、どちらかと言えば「大往生」に向かう流れがあったと思うんです。なのに今回と言えば、栄華を極めた時も短ければ、その余韻すらくただただ「破滅と死」に向かっていくのみ。それなのに、彼らの歩んだ過程(人生)に対して、どこかで「満たされた」感すら抱いています。哀しく辛いけれど何かに満たされた最後を共に歩んでいる、最終回を目前にそんな不思議な思いを抱いています。

以下雑感

○旗の後
・何も変わらない歳の姿が、愛しい。
・そしてそれを呆れつつ眺めてるかっちゃんも愛しいです。
・場所の由来を説明する周平が、水を得た魚のように活き活きとしてて、近藤ならずとも目を細めますよね。彼にとっての京都〜勝沼の日々は辛かったんだろうな、と思わせられる場面でした。
・幹部会議の人数の少なさが…。空間の広さが…。もう勘弁して下さいです。
・斉藤は注目されることにも慣れてなくて、話題になるのも慣れてなく、感情のまま動くことも無かった。それが見える場面が微笑ましくてなりませんでした。
 だからと言って、照れを誤魔化すために尾形君に向かっていっちゃ駄目ですよ(^^;;。尾形君が余りにも可哀想だから。
・近藤に「流山」と、しかも期待感を込めて言わしますか(涙)

○勝meets西郷
・良いモノ見せていただいて、お腹いっぱいです(^^
・勝の言わんとしてることを、無言で察し答える西郷に、政治家というより「人」としての器の大きさを感じます。そして、それが出来るであろうと「確信」し相手の懐(陣地)に飛び込んだ勝の肝の据わり具合や、才覚にも「凄さ」を感じます。
・「器」の素材も質感も違う二人なのに、人としての「器」が近似してるが故に多くの言葉を費やさなくても、分かり合えるんだろうなと感じる場面でした。

○総司と近藤
・来るはずのない未来を楽しそうに語る二人。儚くて暖かくて優しくて、だから哀しい。
・そういえば野試合。助太刀の総司、楽しそうだったよね…。左之が勢いで参加しちゃうくらい楽しそうで。きっと、そんな過去を共有してて相似形の未来を二人で描けた事が、あの瞬間の二人にとっては濃密で幸せな時間だったんだろう。
・そんな時間を共有させてくれて、有り難う。
・あれは過去を振り返ってるんじゃなく、これから続いて行く未来への約束なんだと思います。

○総司と斉藤
・彼らの間にも「友情」が存在していた事。そこに救われました。
・彼らの友情は、総司と平助が築いたモノとは違うけれど、同じ目線で語れるモノになったことが嬉しいのか、語れる期間が余りにも短いことが哀しいのか…。ただ涙が溢れた場面です。
・斉藤の優しさと総司の覚悟。斉藤の覚悟と総司の優しさ。どれも京都の過酷な日々で培われたもので。それが瞬間でも交叉して、互いをまっすぐ受け止めている彼らが「汚れない」存在に見えました。
・願わくは斉藤が再び訪れる時まで、総司の命が喪われないように…(涙)

○流山
・歳の前向きな態度が、痛々しいのか喜ばしい事なのか良く解らなくなってきました…。ただ彼にとって、組織作りはある種生き甲斐となってるんだろうな、とも思ったり。

○古田さん登場!
・すみせん…………振り返った瞬間、何とも言えないあの格好と表情に笑ってしまいました(^^;無茶無茶インパクト大きかったです、古田さん…
・しかし、独特の存在感や眼力は素敵です。

○新八&左之
・この二人も別れ別れになるんですね…
・宇八郎の挿話も浮いたままにならず、きっちり着地したことに安堵しました(苦笑)
・左之。おまさちゃんと茂が京都で待ってるから!寄り道せずに帰って〜(涙)

○流山その2
・有馬と近藤の駆け引きが始まり、画面中の空気が引き締まった事に吃驚しました(この期に及んでまだ香取の力量を見誤ったようです/謝)。
・大久保大和が有馬に「近藤勇の想い」を伝える場面。古田有馬の受け方も素晴らしかったんですが、まさか香取近藤があれほど感情を抑えつつも迸る何か含みつつ、切迫感と緊張感、怒りや諦めなんかを綯い交ぜにした表現をするとは思いませんでした。
 あの場面中ずっと体が震えており、それ程の衝撃を香取近藤から受け、心から素晴らしいと思いました。
・捨ちゃんが出てきたときには、土方じゃないですが。ほんとこいつどうしようか…(笑)
・しかし、捨ちゃんも成長したよな…あそこであれだけの口上述べるなんて!(失礼な驚きです)
・捨をこっそり撃とうする土方に、笑みを誘われるって、すっかり末期症状かと思います。
・周平との別れが、穏やかで良かった。周平の未来が幸多きモノであるように…
 近藤の言葉が「遺言」だと周平は理解してたんだろうな。聡い子だから…
 香取近藤と浅利周平が親子に見えました。それって凄いことだよね、ホント。

○かっちゃんと歳
・近藤の前に平伏隊士達と立ちつくす近藤・土方。あぁ彼らは多摩の百姓から「直参」になってたんだと。 隊士達にとって彼らは仰ぎ見る存在だったんだと、改めて感じました。
・最後まで近藤の「未来」は土方が見て、土方は近藤の未来へ続く路を整備してる。
 これからも、土方は近藤の前後を警戒しつつも、共にその道を歩んでいくつもりだったんでしょうね。
・一人柱に向かってる歳。覚悟が決められないのは、かっちゃんに対する思いが強すぎるから。かっちゃんと歩んだ道が険しくても、彼にとって満たされたモノだったんだろう。
・かっちゃんの覚悟を聞く前から、目が赤くなっている歳。以心伝心って言葉が浮かびました。
・縁側でコルクを見せ合う二人の姿。それだけで泣けて仕方なかったです。
・縁側の二人の台詞は、三谷が香取に対して聞きたい言葉でもあり、一年間近藤・土方を演じた二人への労いの言葉のような気がしてなりませんでした。
・かっちゃんと歳が語ってるのか、香取と山本が語ってるのかが解らなくなり。よく分からない…何が何だか解らない…と泣きながら呟き続けてました。
ホント、何でこんな風に入り混じって見えるのか。全くもって悔しいです(泣)

○大久保大和
・門前で立っている有馬の姿が清々しく感じ。近藤や土方が追い求めた「武士」の姿はこういうモノだったのかも、とすら思わせる雰囲気がありました。
・加納と大久保はどう処理するのか。加納が一方的に近藤と宣言するのか、と思ってたんです。なのに…
・加納の表情が揺らいでるんです。きっと、伊東先生の最期とか新選組にいた日々とか思い出してるんだろうな、そして辛くても幸せだった頃を振り返ったが故に、彼は「近藤です」と言えなかったんだろうと思えるんです。
・加納にとって新選組局長であった近藤勇は、恨んではいるけれど憎むべき相手じゃなかったのかと。きっと、伊東先生の遺志を彼は思ったんじゃないかと。
・加納を認めた香取近藤の表情が…徐々に笑んでいく、その表情が…何かを下ろした様な安堵した表情だったのが印象的でした。
・「加納君ご無沙汰」との言葉が何の邪心も無く、己の運命をただあるがままを受け入れた感じがして。表情、空気、眼等何もかもが「澄み切ってる」としか表現できません。
・加納が跪き「局長 ご無沙汰しております」と言わざるを得なかったのが、辛い。

遂に…来週、最終回なんですね…
山南さんが遂にご出演だそうで、それを楽しみに乗り切りたいと…
(書いてて虚しい/苦笑)