2012年3月31日土曜日

映画『シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム』

某所にて3/17公開

昨夜、ガイ・リッチー版シャーロック・ホームズ映画第二弾を観てきました。それのざっくりした感想です。

 映画自体は、ロバート・ダウニーJrとジュード・ロウの映画だと思えば十分楽しいし面白いです。しかし、ホームズ作品の俄ファンである私が言うのは非常におこがましいのですが、ホームズ物としてどうなのか?な映画でもありました。

 GRANADA版とBBC版で何が楽しいって、シャーロック・ホームズの無駄打ち且つコジツケ且つ後出しジャンケン的な推理です。あれを観る度に「おおぉぉ!!何だか誤魔化されてる気がするけど、凄いぜシャーロック・ホームズ(笑)」な驚きがあるんですよね。人とは違う観点や観察点なんかがあれで「言語化」される楽しさというのか。それを、ジョン・ワトソン君に逐一嬉しそうにこれ見よがしに説明するのが、これまた楽しいんですよ。そして、ジョン・ワトソン君の「凄いね。君は!素晴らしいよ!」という賞賛の言葉と表情を眺めて、ニマニマしちゃうってのがシャーロック・ホームズ作品の肝だと思ってます。
 
ガイ・リッチー版の第1作ではちゃんとあったんですよ、そういう場面が。だから、若干キャラは改変されててもシャーロック・ホームズの映画として受け容れられた気がします。
 けれど、今作はそれが少なすぎた気がします。確かに、推理洞察なんかは可視化されてるんです。それでも十分楽しいし、シャーロック・ホームズ物としては及第点だと思います。が、そこに至る台詞=言葉が少ないために若干の違和感がありました。言葉を操ってこそシャーロック・ホームズなのに、それが少ないのはちょっとどうかと思った次第です。
 この辺のシャーロック・ホームズの印象については、かなりGRANADA版とBBC版に影響受けてることは自覚してます。だって、両作品ともシャーロック・ホームズのセリフ量尋常じゃないもの…。英字幕ですら削るくらいのセリフ量って、どんだけさ!な位、鬼のように喋ってますし(おまけに早口ときたもんだ…)。

 それと、フィールド広げすぎだった気がします。ロンドン、せめて連合国内で終わらせて欲しかった。確かに、ライヘンバッハはスイスです。けどね、そこに行くまでにあれやこれや盛りこまなくても良かったんじゃないのかと。しかも、モリアーティ教授の目論見があまりにも壮大過ぎ、これはシャーロック・ホームズ物じゃないよ…と流石に俄の私も思った大きさでした。

 とは言え、エンタメな映画としてはホントに満足です。DVD化されたら買うと思う程度には楽しかったのも事実。
 ロバート・ダウニーJrとジュード・ロウの精神的イチャコラ成分もきちんと配合されてたし(ただし前作のほうが濃くて多かった気がする)、アクションの見せ方も綺麗で巧くて飽きません。脚本も基礎部分はきちんと練ってあって、謎部分もきちんと伏線を貼って綺麗に回収してるのでストレス無く観れます。映像や細かい部分に関しても、原作やGRANADA版から取り入れてる部分もあるっぽくて、ネタ探しも楽しかったりでした。

 それと、滝落ちについてですが、多彩な解釈ができるんだなぁとちょっと楽しい驚きでした。原典に忠実なGRANADA版の映像が先にあってこそ、BBC版の「あれ」とかこの映画における映像とか。基本は、モリアーティとの直接対決→乱闘→落下→実は生きてるなんですが、見せ方とかトリックとかがそれぞれ違って非常に面白いものがあります。
 また、GRANADA版=原典では無かった「ジョン・ワトソンが目撃する」設定がBBC、ガイ・リッチー版に追加されてたのが、かなり不思議です。想像や手紙だけじゃもう衝撃受けない時代になったのかな、とか思ったりしました。
 ただガイ・リッチー版で残念だったのは、シャーロック・ホームズからジョン・ワトソンへの手紙が無かったこと。BBC版は手紙ではなく電話に変更してるようです(ネタバレ予告編を見ると)が、映画版では触れられもせず…。冗長になるからなんだろとは思うのですが、う~んホントに残念でした。

 以下雑感を箇条書きで。
・アイリーンがあんなに早く退場したのにはビックリ。
・ワトソン君とホームズが再会する場面は、予告編の字幕と違ってあっさり風味過ぎてちょっと肩透かしでした。あそこは、予告編の字幕のほうが胡散臭て好き。
・この作品のハドソン夫人とホームズの関係は、あまり好きくなかったりする(^^;;
・バチェラーパーティするんだ…。英米人ってそんなにバチェラーパーティ好きなのか?!とこういうのを観る度に思います。
・マイクロフト兄ちゃん登場!マイクロフトがホームズを「シャーリー」と呼んでるのが新鮮というか、妙にニマニマしておりました(馬鹿)
・あと「Dear Brother」とも言った!!と心で大喜び(馬鹿×2)
・マイクロフト兄ちゃんの英語が非常に聴きやすいのは、正統派英国英語だからなのでしょうか?それとも、『銀河ヒッチハイクガイド』のナレーションで聴き慣れたからなのでしょうか????
・この作品での兄弟仲は良さそう。てか、BBC版だけが絶賛反抗期中なのかorz。BBC版のシャーリー(笑)は何時になったら落ち着くのかなぁと明後日方向な感想を抱いてました(馬鹿×3)。
・けれども、兄ちゃんとは推理合戦するんだね…。ある意味傍には居たくない兄弟だな。
・バチェラーパーティなのに、居るのはホームズ兄弟のみ。嫌なパーティだよなぁ(^^;;
・すぐさまカードゲームへ向かうジョン・ワトソン君。
・結婚式の介添人をシャーロック・ホームズに頼んでたワトソン君に吃驚です(笑)
・ホームズのせいで勝って得たお金を失う(物理的に)ワトソン君が哀れですが、それは標準的なワトソン君なので問題なし。てか、可哀想じゃなきゃワトソン君じゃないとすら思う私が居ます(笑)
・カードゲーム→お金の奪い合い場面で、結婚したいワトソン君順位が変わりました。このワトソン君はTOPから最下位に転落。だって、あんなにギャンブル好きな旦那は嫌だもの!!女たらしなBBC版が今のところTOPです(BBC版はシャーロキアン達が作ってるだけに、ちゃんと別の形で設定されてそうで怖いけど…)。
・ボロボロの格好で結婚式なジョン・ワトソン君。それを受け容れられるメアリーの寛大さに驚きます(笑)
・前夜、あんな状況に陥っても預かってた結婚指輪は無くさなかったシャーロック・ホームズに真の友情(愛情)を感じます。いくら、結婚を「墓場だ!」とか言って憔悴しててもね。
・新婚旅行を邪魔するのって、こいうことかよ!BBC版も今作も皆ジョン・ワトソン君狙い過ぎだよ!!と大喜び(え?)
・車内でのメアリーが男前過ぎて非常に魅力的でした。好きだなぁ、こういう芯が強い女性って。
・女装は流石にどうよ…と思ったのですが、見慣れてくると凄く違和感がなくなってくる不思議。電車内のアクション場面はニマニマするコネタが多くて楽しかった!
・メアリーを車内から突き落としたのは、ちょっと吃驚。きちんと回収されたので安堵しましたが(^^;;
・ただ、車内とか工場内とかは流石にやり過ぎな気がしなくもなかったです。武器とか演出とかを。
・一人ポニーに乗るシャーロック・ホームズてか、ロバート・ダウニーJrが無駄に可愛くて可愛くてどうしようかと思いました(笑)。ロバート・ダウニーJrってソンナニ男前でも無いのに可愛くて色っぽいんだろうか…。真剣に謎です。
・武器工場での二人の会話は、ブロマンスとういうよりバディ物として楽しかったし、関係性の見せ方が巧かったと思います。
・モリアーティは自らの手を汚さないのがいいのに!と突っ込みかけた拷問場面。
・武器工場については、この時期にこれは無い!あまりにも時代考証離れすぎ!と俄の私も思った位です(^^;;
・メアリーとマイクロフト兄ちゃんはもしかすると非常にいいコンビなのか!?と。マイクロフト兄ちゃん素裸は正直見たくなかったぞ(笑)
・踊るシャーロック・ホームズとジョン・ワトソン。えぇ狙ってるよね?けど、狙ってると分かった映像は萌えないぞ!と思った私が居ました。映像としては面白いし、意図もわかって楽しいけどね。それでもロバート・ダウニーJrとジュード・ロウの身長差が綺麗だったので、ちょっと嬉し楽しい場面でもありましたです(←結局掌)。
・滝落ちは、なるほどこうきたかと。想像以上に綺麗だったし、それまでの頭脳合戦含めて見応えはありました。
・第3作作るとか言ってるけど、やっぱり復活から始めるんだろうなぁ。けど、あのジョン・ワトソン君が気絶するとは思えなんですが(再会した瞬間殴りそうです^^;;。