2004年11月29日月曜日

新選組!47話【再会】感想

 既に軍組織ですらなく単なる「敗者の集団」が持つ暗さ、勝(=旧幕府)の掌を返した様な冷たい切り捨て方と、彼等を迎える故郷の人々の明るさと温かさ、そこにいる彼らの 穏やかさと言ったコントラスに涙するしかありませんでした。

 「もうあの頃には戻れない」の言葉がやけに現実感があり、5年がやけに昔に感じ、多摩時代の「明るさ」が懐かしく暖かいのに、何故か哀しく思います。そして、彼らは本当に彼ら自身の力で「遠くまで」歩き、成長したんだと改めて感じました。
 また、そこに至るまでには多くの犠牲が有り、多くの「友」や「仲間」を喪い、彼ら自身も傷つき歩んできた道程でもあった事を今更ながらに思いました。

 さて、今回最大のお楽しみ(違)であった土方の洋装。余りの格好良さに言葉もなくただ画面を見つめるばかりでした(笑)。洋装の第一場面で、山本土方はやっぱり男前だと駄目押しさせられた気すらしました(黄色い歓声が聞こえそうだった/^^;)

以下雑感

○勝海舟!!
・岩倉や西郷とは、趣と色合いの違う底知れぬ怖さと奥深さ、そして知性と理性を感じます。
・もしかして、この作品で一番「怖い」人物は勝じゃないかと思うくらい、一言一言がじんわりと刺さって抜けないんです。きっと「毒(しかも即効性の物じゃなく、遅効性)のある言葉」ってのを表現したら、今回の野田勝なのではとすら思うくらい。言葉の一つ一つが重いんだよな・・・
・切り捨てる時期の的確さや相手に合わせた言葉を発する勝に、「徳川の幕引きをする」幕臣としての才と器を見せられました。更に相手を受け入れているようで、実は己の意志に沿うよう誘導していく…とてつもなく政治的で嫌らしい行為なのに、どこか清冽さを感じさせらる。それは、勝が見ている物や語る言葉が余りにも「正道」で「大局」だからかも知れません。
・野田さんの飄々とした様子に、冷たさや鋭利さを感じました。
・どなたかが書かれておりましたが、野田勝と中村岩倉の舌戦をほんっとに見てみたい(笑)。その場に、嬉々として居そうな堺山南さん&山本土方、オロオロしてそうな筒井会津公が居てくれたら最高に楽しそうかも・・・(無駄な妄想ですごめんなさい--;;)
・ただ、この方。良くも悪くも己が興味を持った人間には、積極的に関って行くのが好きなんじゃないかと思ったりします。懐が深いというか、好奇心が 勝ってるというのか…。決して感情や知性だけで発言したり、動いたりする人じゃないなというのが感じられて(野田さんのイメージなのかもしれませんが)。対面することで相手の器量を測るというか。相手の器量すら取り込もうとしてるのか・・・
・また見据えてるものが全く違うというか。一人「歴史の渦」に巻き込まれず冷静に見つめてる感すらあって。しかも、その渦から離れた場所から、歴史が求める時に必要な人・モノ・言葉を的確に取捨選択してるようなそんな感じがしてなりません。う~ん、どんどん勝海舟のイメージが妖怪じみてきました(苦笑)
・こんな感じで、野田勝はとても興味深いです。これって、野田さんについてのなのか、勝についてなのか自分でも解ってませんが(汗)
・今度野田さんの舞台が来阪した暁には、絶対チケット取って行ってやる!とか、海音寺潮五郎の「勝海舟」読んでみようかな・・・と思う程に(お二人を分けても充分)興味深いということです(笑)

○洋装土方初お目見え
・なんかもう山本土方の男前度が、これ以上は無理って位UPした瞬間(笑)
・けどネタはどうやら下ネタに近く、良くNHKが放送した、とちょっと吃驚。(山本土方の所作がやけに色っぽいので、どうしようかと思いました←どう もしなくて良いです^^;;)
・近藤と総司の呆れ方が非常にツボで、久しぶりにこの3人で無理なく笑えたなって感じでした。
・やっと「故郷」に帰った彼らに出会えたなとも感じた場面でした。

○おみつさんと総司
・有り難う、貴女が居てくれて本当に良かった……
・おみつさんが名前を挙げる度に、彼らの死に様や生き様を思い出しました。
・そして、おみつさんが最後に「みんな元気で良かった」の言葉に、何処かに居るであろう彼らの姿が浮かび、切なく暖かい気持ちになるなんて。
・おみつさんの気丈さと優しさがこれほど懐かしく、暖かく哀しいとは思いませんでした。
・総司への言葉「しわしわのおじいちゃんになって、昔はいい男だったんだって言われるのよ。あの時死んでればってね。」「私より先に死ぬなんて許さない から」には、ただ涙しか無く。
・また、それを受ける総司の表情が何とも………。きっと姉の思いも己の寿命も何もか「悟って」、だからそこ受け止めて、達観したような表情が…何度も言う ようですが、藤原沖田最高です!!
・しかしこの姉弟でこれほど涙するとは、多摩時代には想像もしませんでした。
・一環の場面は、沢口さんの本領発揮だとすら思いました(そういやこの方、朝ドラ出身だったんだと改めて思いましたよ/苦笑)。
・林太郎さんへ見せる「おきゃん」さは彼女なりの優しさだったんですよね…

○多摩の宴会
・えぇ。「婚礼の日」を思い出しました(涙)
あれから、何かが変わった彼らの姿が誇らしい筈なのに、どこか哀しいと思いました。
・けれど、彦さん(=小日向さん)は相変わらずでホントに大好きっ!あの暢気さや空気の読め無さが大好きですよ(笑)
・小島さんの「挨拶ネタ」が懐かしい(ほろ)
・音五郎さんの阿南さんの「大久保大和は似合わん」という台詞に、「彦馬が行く」の近藤を思い出し…、それでまた涙が零れました(間違ってるとは思うんですがね…それでも、彦馬での近藤@阿南さんが良すぎるので…)
・踊れない近藤の照れくさそうな笑顔が「かっちゃん」で、土方の様子が「多摩の歳」で、声を上げて笑う沖田は「試衛館の総司」だったのが、嬉しいのか哀 しいのか解りませんでした。
・葉っぱ隊…びびる大木…(難しいですね/笑)
 ↑なっぱ隊でした…土スタでのネタバレ見てたくせに、思いっきり間違えてました(^^;すみません。
・捨助は何処に居て雑な扱いしかしてもらえないんですね(笑)。けれど、彼なりに京で何かを得、成長してるんだと(希望含/笑)思います。

○宿での三人
・総司はこれが今生の別れになるんだと…
・土方に打ち込む瞬間に纏っている空気が変わったのには、ただただ息を呑みました。凄いよ藤原君…

○甲府での戦い
・もはや「軍」として機能してない姿に唖然としました。誰も火気を扱えないって…
・近藤の「隊を抜けたら切腹」の言葉に、彼等を引き留める言葉がそれしか残ってなかったのかと思うと、近藤の焦燥感や後のない状況が見えた気がしました。そして鳥羽伏見以降の彼が歩み、これから歩むであろう道の険しさは、彼自身の「思い=誠」だけではどうにもならないんだとも。
・今まで軍議の場で、近藤に「切腹」と言わさなかったのが、この回の為だけだととしたらホント計算された作りだと思います(悔←ヲイ)。
・新八の言い分も気持ちも分かるだけに、彼との別れは辛くて仕様がなかった。
・けれど、山南さんは「近藤さんと土方君の傍にいて『組』の行く末を見届けて欲しい」と言ったのに…。確かに「組」は無くなったけれど、土方も近藤も居るんだよ…と思う私が居ました。
・左之が去ることを決めるまでの表情が「揺れまくって」るのが見てて辛かった。
・「楽しいのがどっちなのか。」「今まで楽しかったし。近藤さんには感謝してる」と飾らない左之らしい言葉。なのに過去形で語られるのが、痛くて辛かった。そして、一度も後を振り返る事無く飛び出して行った姿が、美しいとすら思いました。
・彼らは最後まで「食客」や「仲間」でしかなかったんだなと。それは非常に貴重な関係なのに、近藤は何処かで彼らの思いを斟酌できないままだったのかと。そして、近藤・土方が何をもって変わったのか、それを新八・左之が理解してなかった事。彼らの間に横たわっていた溝の深さを、この期に及んで知り愕 然としました。
・ふと…山南さんの死は一体何だったんだろうか?!彼らの溝を綺麗に埋めることも出来ず、逆に彼らの溝を深めた事になったんじゃないか?と思ったりします。
・そして、新八と左之の居場所を無くした深遠な原因は、もしかして「山南さんの死」だったのかもと思うと。なんだかドンドン混乱してきました(何をやっ てるのか…私)
・斉藤の「この旗に拾われた。この旗を守る」の宣言は、胸が熱くなり。

○その他
・壬生大相撲の手形ネタすら回収するとは思いませんでした(笑)。けれど、あの時の賑やかさや華々しさを思い出し、現状との差を思うと泣けてきて仕方なかった。
・山岡様っ!!この方って、清河といい勝といい、なんか才走った皮肉の巧い(え)タイプの方の傍に居る運命なんでしょうか。もしそうだとしたら、気の毒っちゃ気の毒な運命だな…と思います(笑)
・野田勝&羽場山岡の場面は、緊張と弛緩と品が入り交じった絶品だったかと!!(喜)
・総司が連れて行ってくれと言う場面、前とはまったく色合いが違い…まったくもって三谷って脚本家ってやつは何てことしてくれるんだ!と悔しくなりました…(いや誉めてます)
・お琴さん、やっぱ「…」な感想しかなく。美男美女で見た目は完璧なのに(しくしく)
・今回の清水さんの演出は結構好きかもです(^^;

来週は古田さん登場ですね!!嬉しい!!(そんな事でしか楽しみを見いだせなくなってきてます…)
ところで…例のおねだり山南さん回想場面は来週ですかね…(先週からしつこくてすみませんです^^;)