2004年11月8日月曜日

新選組!44話【局長襲撃】感想

 バラバラだと感じた「組」が纏ったと感じた回でした。そして、組だけでなく幕府側の立っている坂の下り勾配がどんどんきつくなり、加速度的な下りが遂に始まった、とも感じた回でもありました。
 しかも、下り勾配に立っていることだけでしんどい筈なのに、尚も均衡を保とうとする者、見切りをつけつつも出来るだけ傷を負わせないようにする者、そして最後まで支えようとする者の姿。恐らく彼等の力は「歴史に逆行する」ものなんでしょうが、今まで以上に力を尽くそうとする彼等が見せる「様」には、悲劇と滑稽さだけは無い何かがあるような気がしてなりません。

 そしてこんな時勢だからこそ、其々の立場や生き様がどんどん露になってきてる様な気もします。

 こうもじっくり壊れていく過程を見せられるとは、正直予想外でした。回を追う毎に、立ってる場所が不安定になり、積み上げたものが音を立てつつ(しかも静かに)瓦解していく様には感情が揺さぶられっぱなしです。

以下雑感

○水戸藩との諍い場面
・このところ頓に近藤が発する言葉が、重みと凄みを増してきたと感じます。
・二条城での言葉は、これまで5年間に彼が負ってきた傷や痛み。そして、止むを得ず命を奪った者達への「悼み」を感じました。更に、生前の彼等と過ごした時間に対して愛惜をも感じてるんだなと。
・その言葉は、彼が決して土方の傀儡や、だたの「いい人」として無為に過ごしたのでは無く、彼自身が決断し何かを得、喪い、そういった何もかも内包するだけの成長を遂げた。そして、今ある近藤や新選組となったんだと感じた場面でした。
・それ以上に、「死者を愚弄した」という言葉の重さ。隊士だけでなく不逞浪士の「死」すら彼等は背負って前線に立ってたんだと。
・前線に立って「命の遣り取り」をしてきた者達と、高みに立って眺めていた者達の視野の差。同じ幕臣と謂えど此処まで差が生まれるものなのか。それが鴨が居た水戸藩だった事に、僅かながら衝撃を受けました。
・幕藩体制が崩壊した理由の一端を見せた場面だったとも思います。あくまでもお上はお上の論理だけでしか見てないし、末端の動きや意思は見ようとすらしなかった、其処が最後まで求心力を保てなかった理由なのかと思ったり。
・しかし、どこまでいっても「身分(出自)」「立場(肩書)」と個人とを切り離せないことは、今も昔も変わりなく(苦笑)
・土方の「命の遣り取りの方法。お教えしますよ」に、彼の強さと抱えてる傷を見た気がしました。

○沖田総司
・沖田が画面に出てくるだけで痛々しくてなりません。
・素晴らしいよ!!藤原竜也!!
・透明感が更に増し、病床にあるというのにある種の力強さと無邪気さが増したような気がします。
・しかも、あらゆる感性がどんどん研ぎ澄まされていき、人で無い者に成っていってる、そんな風情すらあり。
・お孝と土方との遣り取りが温かく、その温かさが切なくてなりませんでした。
・斎藤との場面。互いが無いもの強請り(表現悪いとは思ってます)で、互いが羨ましくて。それでも互いには成れないし、交わることも無いもの同士が瞬間だけ交差した場面だと思うと。
・久し振りに微笑ましい場面が多く、嬉しかったのも間違いなく(笑)
・皆から「寝てろ」と言われ不承不承戻っていく姿が、余りにも稚くて。皆総司を大切に思ってるんだよっと首根っこ掴んでやりたい気分になりました(間違ってます)

○その他
・伏見に赴く、と隊士達に告げる場面と「新選組誕生」の最後の場面が重なりました。
構図はほぼ同じなのに、夕刻と(恐らく)日中と光の強さも違えば、幹部連の数も違う。本当に黄昏なんだと意識させられた場面でした。
・広沢様と小森様が近藤を頼る。彼等が最後に縋ったのが近藤(新選組)だった事に、会津の置かれた状況の切迫感や幕府内での立ち位置の微妙さなんかを感じました。つうか本当に辛い。
・佐々木と近藤。幕府(=徳川家)に対しての思いは同じ筈なのに、ここまで方法論が異なるのかと。佐々木の論理の方が、幕府の公式論に近いんだろうな…と思ったり。しかし、佐々木の「様」は近藤と同様に不器用だと感じます。きっと、この時代じゃなきゃ誉れ高い武士だったんだろうな。
・左之とおまさちゃん夫妻。ホっントに大好きですよ!
 左之のぞっこん度も相変わらずバカで愛しいし(誉めてます/笑)。
 左之の話しを聞く前に「あんたっどこからちょろまかしてきたん」の一言がでるおまさちゃんが可愛過ぎです(笑)ホント、オアシスですよ。この二人。
・副長の「たまには『仏の副長』って言われたいから」に、彼の人を思い出しました。本当にちゃん彼の人の存在ややり方を認めてたんだと、改めて思い知らされました(所詮私は山南さん好きです/苦笑)
・何時の間にやら、尾形さんが「解説者」役になったんですね。幹部会議の閑散とした様以上に驚きました。
・西郷&大久保&岩倉の怖さなり政治力なりは、本当に大したものだとしか言いようが無く。
・近藤と島田の「帰る場所は無い」は、彼等の在る状況が直参になったとはいえ、どれほど厳しいものなのかを思い知らされ。そして、そういった状況に身を置いた彼等の環境を思うと。
・新選組の名を返上する。それが島田魁の過去の台詞で示された瞬間、島田が新八に連れてこられた場面を思い出し、あれから遠くまで来たんだと改めて感じました。
・過去の台詞を効果的に使う、三谷脚本の思うツボに嵌りまくってる自分がちょっと嫌です(笑)
 あぁ三谷さん大好きですよっ(と悔し紛れに呟いてみます)

・予告...源さん(大泣)
・「ご期待下さい」って...「何言うてんのっナレーターっ」と無駄にに喧嘩売りそうになりました。
・期待も何もあったもんじゃ無く、45話以降お蔵入りにしてもらいたい(それはそれで消化不良で嫌ですが)と思うくらい来週が来て欲しくないです。