2004年8月2日月曜日

新選組! 30話【永倉新八、反乱】感想

 緊張と適度な緩和のバランスが心地よい回でした。が、個人的には非常に痛かったです(泣)。この回でこんなに痛くてどうする、私(苦笑)。

 今回は「試衛館」生え抜き・食客、そして京都入隊の幹部連の「新選組」更に言うなら「近藤・土方」に対する考え方の違いと、罅割れが明確になった回かと。そして、一番大きい罅が土方・山南さんの間に綺麗に入った回。


 まず、冷静(なれるのか、自分)に色々と感想を。

 土方を中心とする「生え抜き」は、近藤・土方への信頼感が非常に強く、二人の行動範囲や視野が広げられるなら全力を尽くして働く覚悟がある。また、師弟関係(もしくは擬似的な家族関係)が元来からあるので、近藤を頂点とした組織改革そのものに違和感が無かった筈。

 次に、食客組
 永倉・左之助組と山南さんを一括りにして良いのか、疑問なんですがとりあえず(山南さんは土方と一括りにしたほうが、色んな部分で明瞭になる気がする)。
 彼らは、近藤の資質に対する信頼感のみで此処まで来た。だから、近藤が頂点になるのは良いが、それ以外は同輩以上でも以下でもない(この感覚が今後どう影響するのか、見届けたい)。とはいえ、土方・山南・総司の持つ資質や能力も信用してる、だから其々が能力に合った役職につくことは納得できる。
 彼らの目には土方の組織改革は、土方の専横(に見える行為による近藤の傀儡化)に見えたんじゃないでしょうか。だから、山南さんは近藤に「辛くないですか」と確認した。
  ※永倉・島田の義憤は信用してた幹部の裏切り、信用の喪失感以上でも以下でも無いので余り言及しません。彼らの行動が、今まで見えなかった皹を当事者に実感させたという役割であったとしても。

 そして、新参幹部。
 これは、「寄らば大樹の陰」だけで動いてる、非常に解り易いです(笑)。武田&谷長兄の地味な勢力争いも、微笑ましく思えたり(え?!)

 池田屋までは、この三者の勢力バランスは非常に良かったんでしょうね。それが「池田屋」・「蛤御問の変」という大きな事件を経て、徐々に崩れてきた。逆にあれらがあったからこそ、土方の中で「組織化」の構想なり現状の問題意識が芽生えた気もしてます。

 で報奨金の分配についてちょっと。
 あの「成果主義」は何ともな〜(苦笑)。確かに、土方の「次頑張ろうって思うんじゃないか」という言い分も理解するんですが、だったら、幹部の命で屯所を守ったのも「役目を果たした」んじゃないのか?、また後方支援部隊にも分配されてこそ「次があるさ!頑張ろう!」思えるんじゃないのか?とも思うわけです。陣地が死守できなければ、前線でどれだけ戦っても仕方ないと思うのは戦場を知らないからなんでしょうね(しかし、池田屋は正直「偶然の産物」でしか無いと思ったり)。

 で、今回からの陰の主題か?と思った、元副長二人のすれ違いについて。
 この二人結局のところ道程は違えど、最終的に辿り着こうとしてる場所は同じなんじゃないかと思う訳です。土方も山南さんも同じ「景色(組織の有様等)」を見てる様に思えるし。違うのは、見てる方向や見方・手段のような気がしてなりません。
 ただ大きく違うのは、山南さんは「政」の力や存在を(信用するしないに関らず、その力を)楯にして組の行動範囲や影響・組織力を広げようとし、土方は「政」を介さずに「自身の力のみで」それを行なおうとしてる点だけじゃないでしょうか。他の違いって互いにすり合せで埋めることが可能な差違なのでは?

 双方ともある側面正しいと思うんです。
 傍から見ていて危なっかしく思えるのは、土方なんですが、時代が流れてる速さを考えると彼が取ってる方法は一理ある。山南さんの方法では、方向変換が遅くなることは否めない。だた、山南さんの方法は後ろ盾がある分「組織としての」影響力が増す。土方の方法だと、万一の時大局で対処(判断)出来ないこともあるし、その責任が「幹部」だけにのしかかってしまし、幹部が倒れたら組織自体も瓦解せざるを得ない危険がある。
 この2つが巧く噛み合ったら、理想的な組織になるような気がして仕方ないです(土方が牽引して、山南さんがそのスピード調節さえすれば...)。なのに何故、この二人はここまですれ違う??!!もしかしたら同族嫌悪なのか?とも思いはじめました。

 時折、同じ台詞をこの二人に言わせてるんですよね..三谷さんってば。
 「避けては通れぬ道」もそうでしたが、今回の「ここまできたら引き返せ無い」もそう。場面や温度は違うのに、全く同じ台詞を言わす事で、似通った考えを持っている事を示してるような気がして…更に凹みます(ここで凹んでどうする、私)。
 この辺りを考え出すと今以上に纏まらないので、山南さんに特化した感想を(あぁまた無駄に長くなる…)。

 宴会場面から辛くて辛くて…。何故、そこで空気が凍るかなと。山南さんも空気読もうよ...お願いだからさ。

 今まで、芹沢暗殺の一件で土方が山南を見切ったのかと思ってましたが。もしかしたら、芹沢暗殺以降山南さんが多くの事を諦めたのでは?と思い始めました。だから、あの場で「土方君に一任しています」と言い切れる。あの言葉は聞き様によっては「私は身を引いた。今後は一切関知しない」という宣言にも取れなくない。なのに永倉に対して「組織を中から変えたい」と言い、しかも全く表に出ようとしない姿に、初めて「鬱屈してるよ...黒いよ...この人」と寂寞としたものを感じました。
 上昇志向もあり、文武両道で多くのことが見えてる、なのに歴史の大舞台に出れず、もしかしたら?と身を寄せた組織内でも主流になれない。かといって、自ら人を率いることもできない。また、生え抜きでもなければ、食客でもない(無頼に成れない)どっち付かずの立ち位置である。そんな、曖昧な存在になった自己への苛立ちすら感じさせられました。
 また、芹沢暗殺を永倉に知られた瞬間の表情が痛々しくて。全てを諦めて、飲み込んだ顔のような…あの瞬間「黒幕」になる覚悟を固めたんでしょうか...。

 で、土方との視線対決(泣)勘弁してください...もう充分ですから。
 あの場面は色んな感情なり思惑なりが混在して、静かなのにそうじゃない凄い場面でした。山本君も堺さんも本当に凄い役者さんです。
 ところで、あの場に藤原総司が居たら和んだんだろうか??(妄想でもしなきゃやってられませんよ...)。

 以下箇条書きで雑感を(まだ書くか?)

・左之がオアシスになって行く(笑)。ひでちゃん、おまさちゃんとのほのぼのした場面でどんだけ一息つけたか。どさくさにまぎれて、さり気にプロポーズしてませでしたか?左之(笑)

・総司と孝庵先生は、ある意味ベストコンビかと思います。(孝庵先生の一人突っ込み一人呆けいい感じです/笑)

・土方と総司の会談は、久し振りに多摩の歳と総司を見た気がしました。特に土方、そうやこんな風に柔らかい表情と声する人だったんだ、と嬉しい認識を新たにしたのに...

・総司と俳句の話をしてる時はなんと言うか幸せそうで、ちょっと照れてる様子も年相応の雰囲気があってよかったです。久々の突っ込みも聞けたし(嬉)。幹部連や隊士の前でどれだけ必死で背伸びして、虚勢張ってるかが見えてしまいました。

・三味線を弾く土方って、ここだったんですね(笑)いや〜なんとも粋な雰囲気でした。

・ひでちゃん、何時の間に左之に懐いたの?(笑)。彼女のおこづかいが、左之のお菓子代に消えてないか心配です(酷)

・はじめちゃん…為三郎君にすっかり懐かれてますな(笑)。時間があって遊んでくれそうなのが、はじめちゃんだけだったか??けど、土方専用の監察方になったのはどうかと思うけどね(悔泣)

・土方は何を思って拷問部屋に行ったのか...土方の弱さを垣間見た気がしました。振り返って物思う場所が、あの部屋だったのが本当にどうしようもなく悲しくて。近藤にも総司にも言えない辛さを抱えてるんだろうな…辛い立場だよな。

・だからと言って山南さんを除者にする権利は無いと思います(断言)

・平ちゃんは江戸の先触れですか?

・容保公の「一件落着」には思いっきり、気を抜かれました(笑)。良いよなあの天然な雰囲気。

 予告見るのも辛くなってきました。こんなんで今月の放送乗り切れるんだろうか