一言で言うなら「この声、こういう曲達を待ってたんだ!!」です。
素晴らしいです、本当に。この数年(移籍後)のアルバムとは全く違う、かといって初期~中期に戻った訳でなく、新しいのにとても懐かしく親しみのあるアルバムです。
アルバム全体の印象は、地に足の着いた様な安定があるにも関わらず浮遊感があり、その浮遊感が決して「俗」ではなく高みに連れて行かれる様な感じがするほど心地よいもの。更に全体が久しぶりに明るく前向きな印象です。
そして、個々の楽曲が個性を放ちながらも、アルバムとしての統一感は喪われておらず、纏まりの良さと流れるような統一感すら感じさせられました(アルバムを何度聞いてもその流れに身を任せてしまいたくなる程)。また、それほどHIP-HOP寄りのアルバムじゃ無かったことが嬉しい驚きでした。確かにHIP-HOPの要素は内在してるんでしょうが、それ以上にメロディアスな曲(表現合ってるんだろうか・・・不安)が多いと感じました。
初聴の時は『Butterfly』っぽいなと感じましたが、聞き込むに連れ色合いが全く違うことに気づきました。あの時期の「開放感」や「充実感」と今回のアルバムで感じる「開放感」や「充実感」は何かが違う。その違いは恐らく、「安定感」や「前向き」さなんじゃないかと思ったりです。
さて、私が愛して止まないMariahの声ですが、キャッチコピーの「The Return Of The Voice」は決して大袈裟じゃありませんでした。確かに、初期~中期に比べれば、若干線が細くなってるのは否めません。が、そんなことはどうでも良いと思わせるほど、張りと艶と伸びやかで輪郭のある声が確かにありました!!それだけで彼女の声に惚れてる私としては、大満足です。
そして、何かが吹っ切れたように力強く響く声には体が震えました。何より「高音」が以前ほど多用されておらず、その所為か彼女自身の本来の声の魅力がより際だっている気がします。
2.4.9.13.14の5曲が聴けただけで充分満足です、と言い切れる程充実感を感じる曲が非常に多かったアルバムでした。
そして、このアルバムの曲順通り(除、ボーナストラック/笑)のLiveが見たくてなりません。それほど構成も文句ないアルバムだと思います。ただ、やっぱり小さい箱向きだと思います。大ホールでの趣向を凝らしたステージより、小さい箱で繊細なステージで丁寧にやって欲しい曲だと感じる曲が多かった。
さて各曲の感想などをつらつらと。かなり無知な一Mariah好きの戯言です(^^;;。なので、間違った表現、不適切な表現等々あるとは思います。そういった部分で不愉快になられた方居られたら本当にごめんなさい。先にお詫びしておきます(^^;;
1. It's Like That (1stシングル)
久しぶりに前向きな明るい感じの曲。音だけでなく歌詞も兎に角前向き(笑)で疲れた時聴くと、元気になれそうだと思います(通勤用曲決定)。しかし、こんな現状肯定の歌詞は久しぶりというか、初めて聴いたかも。それだけ「今」の状況が良いんだろうなと思わせられました。
ちなみに、この曲のPVが大変絢爛豪華且つシックな感じで、久々に何度も見ようと思わせるモノです。そして特筆すべきは、珍しくキレのある踊りを披露してるMariahを見られる事(笑)
2. We Belong Together (2ndシングル)
「The Return To The Voice」を実感した曲です。
初聴時にはその声に圧倒され、伸び伸びと高らかに繊細に歌う声に鳥肌が立ち、更に「声が戻った!!!」と嬉しくなりました。そして、何より「Always Be My Baby」を彷彿させる曲だったことに驚き、こういった曲とは出会えないと思っていただけに何とも言えない喜びが湧き上がり、思わず涙した曲です。
このアルバムの中でも好きな曲上位に入ります。
3. Shake It Off
自然と体を揺すりたくなる、そんな曲。サビが頭について離れ無い曲とも言えるかも(笑)
恐らく前作までだったら、「囁き声」で歌っていたと思われる曲ですが、今回はきちんと(変な表現ですが)声の輪郭が見えてるのがここ数作との違いを際だたせてるかも?と思ったり。
4. Mine Again
今回のアルバムで一番好きなのがこの曲。
素晴らしいです!!よくぞこれを作って、歌ってくれました!!有り難う!! この曲に関して言えば、そんな言葉しか出てきません。
良い意味で裏切られた曲でした。
生バンドだけあって、音がシンプルで懐かしく切なく優しい雰囲気があり、そしてMariahの声も素直に響いてくる。何より彼女の声の魅力が凝縮されてる感じがする良い曲だと思います。更に、曲全体に漂ってるスタンダート的な雰囲気が、文句なしに格好良いとすら思えます。
こういう曲をずっと歌って欲しかったし、歌ってくれるのを待っていた。そして、こいう曲を彼女の声で聞きたかったんだ。やっと聞けた!!とやたら感傷的になってました。
5. Say Samethin'
もしかしたら1stシングルになってかも知れない曲。
確かに、なかなかキャッチーなので良いかも知れないとは思いますが、正直インパクトには欠けるなって感じです。ただ、この曲もサビの部分が非常に頭に残る曲です(笑)
6. Stay The Night
小さな箱で、古めかしいスタンドマイクの前で歌ってるような、そんな感じの曲。
派手さは無く、どちらかというと恐らく古い感じを意識して作ってる様な気がします。その分、懐かしく貫禄を感じる曲になってると思ったり。
また、声が無闇に乱高下しないので非常にまったりと聞けます。
7. Get Your Number
イントロで浮かんだのは『Glitter』(笑)。
けれど、下品ではなく(決して『Glitter』が下品だと言ってるわけでは無いです。あのアルバムも楽しく聞けるので好きなんですよ^^)、ちょっと格好良い感じが好きです。また、Mariahの楽し気な歌い方が耳に残り自然とリズムを取りたくなる局です。
8. One And Only
高音域の特徴を綺麗に活かしてて、且つ早口な歌い方も(久しぶりに)聴かせてくれる格好良い系の曲かと(笑)
そしてTwistaのFeatも粘っこくなく、以外に耳に心地良いかもです(すみません・・・Hip-Hop系の方は全く判らないので・・・失礼だったらごめんなさい・・・)
9. Circles
4. Mine Againと同じプロデューサの曲です。
こんな曲をやってくれましたかっ!!!と唸るくらい(笑)良い曲だとます。又は、私の好みのツボを思いっきり押してくれた曲とも言えます。
しつこくなく、高音から唸るような低音もきちんと聴かせてくれる曲。曲自体もシンプルで飽きの来ない作りだと思います。
10. Your Girl
コーラス部分がやたら耳に残って思わず口ずさんでしまう曲。
Liveで合唱したら(え)、気持ちよさそうな感じだと思ったりです。
11. I Wish You Knew
Introが『Yours』/「Charmbracelet 」に似てると感じますが、曲調は全く異なり、こちらの方がよりメロウ(って表現で合ってるのか不安です^^;;)で、スタンダード的な雰囲気があります。そして、観客の声が入れられていることで、舞台に立って歌ってるMariahの姿が想像できると、ファンにとっては嬉しい(笑)作りになってると思います。
12. To The Floor
楽しみの一つだった Feat.Nelly の曲。予想通りのダンスナンバーで、殆どNellyとのデュエットと言って差し支えないです(笑)。
互いの声がバランス良く混じり合い、また程よい距離感(緊張感)が感じられるのが楽しい曲です。こういう感じも出来たんだMariahって、ちょっと意外だったりもしました(笑)
13. Joy Ride
甘く切ない感じのバラード。
張りと伸びのある高音だけなく、中音そして唸るような低音がとても魅力的な曲。昔から彼女の高音より低音が好きなので、個人的にとても嬉しかったです。
14. Fly Like A Bird
あちこちのレビュで高評価を受けてる曲です。が、評判通りホントに素晴らしいです。
高みに連れて行ってくれそうな程の清廉さ、穏やかさと力強さ、そして何より解放感を感じさせる声と曲、ゴスペルを意識させるバックコーラスとの絡みには言葉を無くしました。
これまでの歌い上げるバラードの中でも、歌い方も印象も雰囲気も全く異なると言って良いほどの存在感のある曲です。そして曲の存在感だけでなく、Mariahの「歌姫」としての圧倒的な存在感と才能をも感じさせてくれます。
15. Sprung ( Bonas Tracks )
一転して刻む感じの曲です。
正直、Bonas Tracks は嬉しいけれど、雰囲気が突然変わるので「・・・^^;;」となりました。
16. Secret Love
これも刻む感じの曲。ただ非常に珍しい感じの曲なので、聞けるのは嬉しい限りなんですが、何故これが日本限定 Bonas Trackなのか??と正直不思議でした(笑)
初めてBonas Toracks が不要と感じたほど、1-14の纏まりが良く、追加の2曲とも単品では良い曲なのに、勿体ないよな・と思う次第です。これなら、2枚組にしてくれた方が良かったかと、ちょっと勝手な事を思ったりしました。
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余談ですが・・・
Sony時代の初期~中期(「Mariah Carey」~「Day Dreams」)を望んでる方には期待外れかも知れないと思います。ただ、私にとっては非常に受け入れやすく、納得し満足できる「声」だったし曲達でした。
また、Mariahに限らず、人の声は年齢と共に線や質が変わると思ってますし、それに伴って「歌い方」や「作品」も変化するものだと思っています。だから、「今」の時点での彼女たちが最良のモノを選択したと信じるしか無く、そして彼女たちから提示された作品を受け取って初めて自分の中で「好き」「嫌い」を決めれば良いと思ってたりします。
過去の声や歌と比較してどうこう思う部分も当然ありますが、変化していく彼女たちを見ていく楽しみの方が今の私にとっては大切だったりしてます(「あの時の・・・」っていう思いや記憶は、結局蜃気楼の様なモノだと思う部分もあるので/^^;;)。
そう思える様になったのは、相方と音楽色々話したお陰。
やはりU2のボノの声や作品も年々変化してる。それでもその時に(相方自身が)満足できて納得できる作品やLiveを見せてくれてるのならそれで良いやん、駄作だったら勿論正当な批判するし、その後は彼らの新譜を買わなくなるだけやし、という何とも柔軟なFANが傍に居て色々話してくれた所為だと思いますです。
結局、好き嫌いを決めるのは個人の主観だしどうでも良いんですけれどね(笑)