2004年9月21日火曜日

『SWING GIRLS』 感想

 久し振りの邦画鑑賞でした(『みんなのいえ』以来じゃないかと思います)。鑑賞後「すっきりした~楽しかった~」と素直に思えた映画でした。確かに「ご都合主義」的な部分も無きしも有らずなんですが、それが気にならないくらいの勢いと面白さがありました。

 話は、「東北の高校生がある事を契機にしてJazzバンドを始め、そして...」だけです(むちゃむちゃ端折ってるな/笑)。なのに、非常に可笑しい、巧い話運びになってます。
 先ず、バンドを始める理由からして可笑しいんですけど、理由付けとしては非常に解りやすい。私もその場になったらそうするかも、思わせる妙な説得力があります。それぞれの場面も、これはありえないだろう...と思う部分も若干あるんですが、結局なんか知らんけど納得させられる理由付けがなされてて、あまり気になりません。兎にも角にも、全編通じてGIRLSの勢いと妙な理論(理由)に力技で納得させられます。
 そして、次から次へと主要メンバーを襲う難題や壁(半分以上自業自得の)があり、それを巧く(狡く/笑)時にはご都合主義的に乗り越えた先にある、あの爽快感は素晴らしいとしか言い様がありません(多少展開が先読みできますが、それが嵌るときのバランスが楽しいとすら思いました)。

 恐らく主題であろう音楽ですが、門外漢の私でも聞いたことのあるJAZZのスタンダードが流れまくってくれてます。特にルイ・アームストロングの「素晴らしき世界」の使い方は、絶品です(笑)。こんな使い方しても良いんや…と新たな認識をさせてもらいました。この辺りのセンスは非常に好きだなぁと思う次第です。
 何より凄いことは、JAZZって難しくないんだ!と見終わった後に胸を張って言いたくなるくらい、音を楽しませてくれる事です。小難しい理論や薀蓄なんて関係なく、楽しくて体が自然と揺れるのが音楽(=JAZZ)なんだと全編通じて感じさせてくれる、そんな音の使い方でした。
 そして、吹替え無しでの演奏は、流石に迫力がありました。通から見たら非常に拙い演奏なんでしょうが、音楽の楽しさは一層伝わったんではないかと思います。

 最後にキャスト。
 主要5人の魅力的なことったら!!。
 取り立てて綺麗だったりするわけではないけれど、彼等の表情や雰囲気は素晴らしく豊かで魅力的です。しかも、何処にでも居そうな感じの子達で、身近に感じられるのも素晴らしいと思いました。演技が巧い下手ではなく、彼女達が画面にいるだけで「楽しい」と思えるそんな稀有な存在感がありました。
 一応主役と言えるのが、上野樹里嬢なんでしょうが。この子がまぁ、狡い狡い(笑)。その狡さが、日常良くあるレベルなんで更に可笑しい。ただ、演奏してる時の生き生きとしてる様子とか、自業自得な壁にぶち当たってる様子とかは巧い子やなと思いました。
 他の4人もそれぞれ個性豊か。
 よく一目惚れする子、普段はぼーっとしてるのに冷静且つ容赦無い突っ込みいれる子、目立たないけど実力がある子、そして、紅一点ならぬ黒一点の気弱な頼りない巻き込まれ型の少年。本当に、絶妙のコンビネーションでした。
 で、その子達をきっちと〆てるのが大人キャスト。竹中直人筆頭に、濃くて芸達者なメンバー揃ってました(笑)。小日向さんと大倉くんもご出演なんですが、この二人どうにもこうにも画面に居るだけで可笑しいのは、何故??(笑)。特に大倉くん、相変わらず不可思議な雰囲気だし(←大好きですよ、もう)。
谷啓さんが出ておられるのは、妙に嬉しかったです。一瞬ですが演奏しておられましたし。

あらゆる部分で充分楽しませてくれてた映画でした♪