2004年9月13日月曜日

新選組!36話【対決 見廻組】感想

 歴史が大きく動き始めた瞬間に立ち会ったかのような、高揚と緊張を感じた回でした。
何よりも、坂本と西郷の腹の探り合いの魅力的なこと(笑)。坂本と西郷の会談場面は緊張と弛緩と探り合いがあり、ぞくぞくしました。特に坂本の「同じ火の粉を被るんなら、火事の真中で被った方が良いきに」(すみません台詞うろ覚えです;)の言葉に、時代を動かそうとするものの行動力と勢い、覚悟を見ました。そして、火事の中心がどこかを明確に判断できる、情報収集力と分析力に舌を巻きました。
 それを受けて立ち、更に呑んでいこうとする西郷(薩摩)の懐の深さにも驚愕しました。

 転じて、新選組と見廻組ですが。
 今回は、新選組(及び見廻組)の本来の意義が「京の治安を守る」である事を強く意識させられました。不逞浪士を捕縛するのも、池田屋騒動も禁門の変でも、「天子様が居られる京の町を警護する」の一つであったと今更ながら認識しました(理解力が無いことを露呈してます)。
 また、新選組の「組織としての」機動力の高さも初めて見たような気がします。
 これは、組織としての柔軟さ機敏さを、幕府直参組織である「見廻組」と対比することでより明瞭になっていたと感じました。そして、機動力は組織としての意思決定権が「近藤(若しくは土方)」のみに在る事。更に、決定後の評議は割合開放的で各人(幹部に限りますが)に遺恨を残させない方式や、瑣末な部分は幹部の資質に委ねられている事で出来上がったのだと感じました。土方が理想とした「組織」がこの時点で、ある程度完成しようとしていたと考えると、彼の先見性や実行力たるは素晴らしいと思わざる得ません。
 しかしながら、土方・近藤と坂本や西郷の面々を比べると、やはり小粒感は否めず。彼等の悲喜劇は「幕府」や「武士」への拘りを捨てきれなかったことかとも思ったり…

 新選組以上に器の小さいと思われる、幕府組織の硬直さには苦笑しかなく。
 佐々木個人は身分や組織に対する拘りは無さそうなのに、組織の一部となるととたんに「頑固」にそれらを前面に押し出す辺り、非常に現代の硬直した会社組織を見ているようで、妙に身につまされました(苦笑)。本音(個)と建前(組織)の狭間に居るのが佐々木なり見廻組なんだろうな、と思ったり。

 「組織」が重要であった幕末(現在もそうかもしれません)において、「個」で動いた坂本なり中岡、また「組織」にあっても「個」の印象が強い佐久間・勝が魅力的に映るのは仕方無いことだと、つくづく思った36話でした。

 次回はいよいよ薩長同盟締結なんですね。予告での桂さんの取り乱し振りに期待を煽られてます(酷)

以下、雑感。

・捨助、すっかり長州浪士からも見限られてましたね。「仕方ないか捨助じゃ」と思わせるあたり中村獅堂の巧さですよね。
・驚き役に徹してる感のある、沖田(笑)。「どこかで見た気が...」って、近藤先生の幼馴染くらい覚えてやってくださいな。
・捨助の「近藤・土方に言うなよっ」って、言ってくれと同意かと。絶対沖田は嬉々として言うに決まってるやんっ、そこを読めないのが捨助たる所以ですが(苦笑)
・「捨助も不思議な人生歩んでるだなぁ」。「捨助も」って局長(笑)。局長も色々お疲れのようで。
・「あいつは尊王でも攘夷でもなかっただろう」って、副長。あなたもそんな感じでしたよね?!つうか、貴方の口から「尊王・攘夷」って言葉を聞くとは予想外でしたよ(酷)
・沖田君、源さん→土方って誘う人選間違ってますよ(笑)
 沖田が「持ち続けようとする」何か。それは「多摩の長閑さ」だったり「八木家の穏やかさ」なのかもしれず。また、彼にとってそれらは最後の拠所じゃないのかと感じました。だから、皆に忘れて欲しくないし、その部分で変わって欲しくないと切望するんじゃないのかと思ったりしました。ただ。一番変わったのは沖田なんでしょうが、そこに気づいてないのがまた沖田らしい。
・聡明さと何も考えてない(言い換えるならお馬鹿さ/笑)無邪気さを、瞬時にして切り替えられる藤原竜也は素晴らしいです。
・伊東を前にしたときの平助が辛くてなりません。願わくば、おちゃめ三人組のような平助を長く見続けていたいです。
・伊東先生の薀蓄は、憎たらしいほど弁説爽やかで(誉めてます)。けど、西郷の腹を見抜けないのは「書物」の知識だけだからだろう、と思わず突っ込んで見たくなりました。伊東も充分詰めが甘いと思いますよ(笑)
・佐々木が止めた伊東の薀蓄。その瞬間、心底嬉しそうに「嫌な」笑顔だった土方が素晴らしい。本当に嫌いなんだね、納得するまでおやり...と諦めに似た境地になりつつあります(笑)
・蛙の面に水な伊東の態度も素晴らしい。参謀としての能力は山南さん以上だよな、と悔しいながらも納得しました。
・浅野~お前って奴はどこまで腰抜けで卑怯者なんだっっ(握拳)
・河合&松原コンビの穏やかさが好きなのに・・・・
・それひ引き換え、山崎さんは素敵です。地味だけど良い仕事しはるよな、桂吉弥さん。とうっとりしてしまいます。
・お登勢と坂本会談は、テンポが良くて大好きです。何より「ふっかけますけどなぁ」と坂本の「三百両」→「お越しやす」のお登勢ってば気風の良さと商売根性が相まって、非常に大好きな場面です。戸田さん最高ですよ!(笑)
・今回の局長は、NIN×NINな方とは思えませんでした(酷)。肝が据わってきたというか、漸く近藤自身が「局長」の器に合ってきた感じがしてきました。漸くですよ、漸く。けれど、漸く身にあった(つけた)器なのに、哀しいかな坂本、西郷らには遥か及ばないんですよね。
・今回ほど土方が補佐役に徹してるのも珍しい。
・おまさちゃんと左乃。すっかり良い雰囲気なのにな~(笑)「うちもええ人みつけよ」は、わざとですよねおまさちゃん(笑)この二人、このままでも良いかも、充分楽しいし♪と酷いことを思ったり。
・佐々木は、(あのお馬鹿な)陽兄ちゃん@彦馬が行くに見えないよ。伊原さんって巧い役者さんだわ、と失礼な感想を抱きました(すみません)。
・宇梶西郷の人が良さそうなのに、実は腹の読めない政治家ぶりが非常にツボです。冷徹な駆引きができる政治家の強さは、怖さと魅力を併せ持つと感じます。
・こう考えると、近藤(新選組)は政には徹底して不向きというか、歴史を作る側には為り得ない「器」だったんだと…。

・伊勢田さんの演出は、個人的に好きかもしれません。