2004年7月19日月曜日

新選組!28話【そして 池田屋へ】感想

 今回は(「も」か?)感想の言葉が無い状態に陥りました。思いつくまま感情を羅列していきたいと思います。(今回ばかりは、纏めようという気すら起こりませんでした;;)


 <全体の感想>
 池田屋騒動での死者は新選組や長州といった組織ではなく、時代に殺されていったという気がしてなりません。そう思うのは、このドラマの視線や描き方にあるんじゃないかと思うのです。

 新選組を主眼にして作る場合、池田屋事件に於いては長州を完全悪として描く方が簡単だと思うんです。が、佐久間と桂の会談や桂の坂本への呟きを描いた事で、長州も完全悪で無くなった(桂の判断は「政治」としては正論ですが、描き方が変われば「見殺しにした」という身も蓋もない絶対悪になり得る筈)。これは、桂なり佐久間(宮部も含む)の広い視野と、過激浪士の狭い視野を混在させたことで「時代の流れ」を視聴者に疑似体験させてるんんじゃないかと。
 また、新選組も土方と山南の視野の違い、そして会津藩内の差異を描く事で「組織」が時代に動かされる様子が漠然と見える、仕掛けになってるんじゃとないかと。

 そして斬り合いの場面も、「己が生き抜く為」であり相手を「殺したい」という意志は無かったという描写がされていたと思ってます。だからそこ、スピードも遅かったし華麗さもなかった。在ったのは、人を斬る事の怖さ・重さと「生き延びたい」という意志だった様に思います。きっと、華麗に・俊敏な殺陣は付ける事ができたと思うんです、役者が出来ないのであれば「代役」を使うとか方法はあった筈ですし。それを敢えてしなかったのは、人を斬ることの「生々しさ」を求めたからじゃないかと思うんです。時代劇の殺陣は、斬る側を「見せる」ものであり斬られた者の「痛さ」は見せないんですよね。だからこそ「華麗」だったり「美し」かったり、スピードがあったりすると思うんです。
 けれど、今回の新選組!は斬られる者の「痛み」「生きようとする欲」、斬る側の「痛み」「切迫感」「生きようとする欲」共に描こうとしてるように感じます。だからこそ、本来敵味方で在るはずの、新選組と倒幕側の人間を同じ重さで描く事に意味があるんじゃないかと思ってます。同じ重さと言っても、新選組に主眼が在る以上偏ってはいるんでしょうが、倒幕側が全くの「敵」じゃない。道が違ってるだけ、といった描き方をしてるように今回の池田屋を見て思いました。

 ・亀弥太
 あぁ、もぅ…どうしようもなく望月亀弥太が哀れでなりません…。
 近藤に甘味屋でボロボロ口滑らせてる姿や、坂本と一緒に居た姿なんかが思い出されてしまって。亀と近藤が刀を合わせた時から、泣けて泣けて。せめてもの救いは、近藤が亀を切らなかった事だけのような(蹴り入れただけですよね?)。
信じてた組織から見捨てられた亀の姿に、寂寥と哀惜や無間の暗さを感じてしまいました。救われないですよ、本当に…。また、亀が近藤を見る目が心底憎々しそうで、今までと流れが変わった事を改めて思い知らせた気がしました。個人ではなく、組織(思想)でしか人を判断せざるを得なくなった世情の辛さを垣間見た気がしました。

 ・沖田の喀血
 藤原君は流石です。ただ、NHK…あのCG処理はいらんやろ(怒)すっかり気が殺がれました…。
 あの場面は藤原沖田の表情(演技)が全て表現してたのに…彼は十分に台詞無しで「命が散華し始めた」様子表現できます…。なのに、あの余分なCGのお陰でぶち壊しです(怒)。本当にBGMも不要ですよ、あの場面は…役者の力量を見極めて画面造りして下さい。

 ・平助
 地味に美しい殺陣を披露してました。今までの平助とは一味違う力強さが見えて、保護者気分の私としては嬉しかった(迷惑です)。けど、気を抜くなよそこで…一応戦場なんやし、平助(苦笑)

 ・局長
 回を追う毎に吹っ切れていくのか(笑)どんどん「侍」らしくなっていきますね〜。石黒桂が土スタで「侍らしくなっていく」と言ってましたが、本当にそのとおりだと思います。漸く「一点の曇りもない」と言い切っても可笑しくない、雰囲気なりが出てきました。頑張ったね香取(最近こればっかりやな 私)。特に、土方が到着した場面の「ニヤッ」笑いは凄味と安堵が混在した素晴らしい表情でした。
 あと「(佐之まで連れて行くと)歳が拗ねるから」には、ちょっと微笑ましいものがありました。場を巧く取りなす術を身につけたんですね、漸く。

 ・副長
 見せ場だけ持ってくのは、彼の十八番と化してますね(笑)。
 いや、もう彼に関しては「格好良い」とか「素敵」という言葉では不十分かと思い始めました(^^;)。それくらい存在感なり男前度上昇してますよね。

 ・山南さん
 「お留守番」と堺さんが言われたとおり、現場にはおられませんでした(泣)が、「屯所を守る」お役目もかなり緊迫感があった筈なので、疎外されてる訳じゃ無かったんだと胸をなで下ろしました。なんたって、最後の砦を守ってた訳ですから。
 それ以上に、OPの「あらゆる事態に備えて策を練っておくのが軍議ではないか!」の一喝に心ときめいてました(馬鹿)。あの土方ですら呑まれてましたよ!隊員募集時の「それまで!」と「採用!」に続く、久々の切れの良い「喝」が聞けただけで満足です。

 ・斉藤
 殺陣が一番美しかった様な(爆)。修羅場に在ると活気溢れる一ちゃんって感じでした。町中の抜け道も良くご存じで、一ちゃん居なかったら土方隊は間に合ってなかったんでしょうね。そう考えると今回の陰の働き者は一ちゃんか?!
 
 ・その他
 河合の「堪らない」という呟きは、多くの隊士の呟きだったんでしょう。死にたくて死ぬ隊士・志士は居なかったろうし、殺したくて斬る隊士・志士も少なかった筈だと思ってます。だからこそ、河合のこの言葉は「リアル」だと感じました。

あぁ 池田屋でこんなに混乱してたら、今後どうなるんでしょう…(;。;)