2004年7月12日月曜日

新選組!27話【直前 池田屋事件】感想

 池田屋直前の緊張感と、隊士の平日を平行して見せてもらった回でした。


 回を追う毎に汚れ役になって行く土方と、漸く皿の毒を飲み始めた局長、意識的に局長を精神的に追いつめる山南の描写は、各々が最終的に目指してるであろう「組織の有り様」や「己の覚悟」の僅かな差を、淡々と且つ明瞭に浮かび上がらせてた様に感じました。しかも、それぞれの理想と現実が、全くの平行でも無ければ完全に交叉もしていない。中でも、今一番近いのは山南と近藤の理想ではないかと思います。
 しかし、近藤の現実は土方の現実と寄り添い始めた。これが明確になったのが、永倉の正論と対峙し、信念を曲げてまで「組織(=土方が作り始めた組織)」の理論を優先した場面だと思ってます。

 土方は「現実」なり「将来」だけを見据え、力で持って組織や人を動かすやり方が軌道に乗り始めた。
 山南は組織なり人を、この期に及んでも「理」で動かそうとしてる。しかも、近藤の悩みですら、「理知」によって押さえ込もうとする。あれで近藤は「個」そして「局長職」としての逃げ場が、失われたんじゃないでしょうか。土方の「力」と山南の「理」により、彼が潜在的に抱えている「揺らぎ」を望まない方向に封じこめられた。また同時に山南自身も「理」で押さえ込んだことにより、己の「情」も同時に封じ込めた様に感じます。

 芹沢暗殺までは「情」「力」「知」とバランスの良い三人だったんじゃないかと。そのバランスが近藤という「情」を強引に弱化させたことで、「知」と「力」に偏らざるを得ず、しかも「力」により重きが置かれつつある。ギリギリのバランスを辛うじて保ってる状態なのかな...と思ったりしました。

 また養子に対する考え方が、山南・土方で正反対だったのも伏線か?と勘ぐっております。この件に関しては、土方が珍しく感情論なんですよね。やはり、彼にとって「誌衛館」というのは、ある種の聖地なのかなと勘ぐってみたりしました。その聖地に「余所者」が土足で踏み込むのは、生理的に受け付けないんじゃないかと。
 逆に山南はより「政」や対外的なアプローチ方法の一つとして、この件を考えてる。武士階級にとっては、当たり前の考え方で近藤や土方が拘る理由が、理解出来てないんじゃないでしょうか。だから、土方があそこまで強固に反対しても意見を曲げない上、近藤に熟考するよう求める。
 左右の考え方の差があれば在るほど、近藤は惑う。惑うけれども、道が出来て進まざる得ない辛さが見えてきた様に感じます(此処まで長かったよ…香取)。

 さて、その他について雑感を適当に…
 今回は、「クローズアップ平助」でした(私だけか?)。茶屋での一切合切の場面は、もう切ないやら可愛いやら情けないやら…。平助の気持ち、痛いほど分かります。三谷さんが「普通に生まれた人の悲しさを演じてほしい」と雑誌で言っておられましたが、本当にその通りの平助でした。
 特に、平助の「(沖田が)皆に愛される」台詞に対しては、「平助もちゃんと皆から愛されてるやん…」と言ってやりたいくらい(何者自分…)悲しさが溢れてました。ここに来て、ひで・沖田・平助の日常のエピソードが活きてくるなんて、侮れません三谷さん。
 近藤が「平助は人の痛みを知ってる」と言ってくれた時は、本当に光が差し込んだ気すらしました。今後も、沖田への妬心は決して無くならないでしょうが、行動や気持ちは随分変わってくるんじゃないでしょうか。近藤が話し終わった後、源さんの方を見る平助、それを受けて暖かく頷く源さん、漸く安心した平助の流れは、見てるこっちまで安堵する場面でした。源さんは誌衛官の「良心」なんですね(涙)。

 で、もしかすると物議を醸し出してるかも?の拳骨場面(笑)
あれは、あれで良かったんじゃないですかね。半年前と同様の仕草を持ってきて、周囲の人間の温度差の違いで、近藤の立場の変化を表すといった意味で。新入り隊士の空気が余りにも冷たくて、居たたまれませんでしたが(笑)
(大倉河合には、反応してもらいたかった…)。

 おまさ&左之の恋の行方(?!)。
 やっぱ、あかんでしょう。畑から盗んできたものを貢いだら。しかもスキップまでしてますよ(笑)。おまさちゃんは受け取った挙げ句、局長に告げ口ですか?!それもどうかと思いますが(^_^;)。ある意味、お似合いの二人ですよね。左之の「真剣」な想いがどうやって報われるのか、非常に気になってます。
 左之の文字の流麗さには、私も吃驚でした(O_O)(山南さんが代筆してるとちゃうかろか?と一瞬疑った位です)。

 八嶋武田…狡すぎます…「私が(強調点付)見つけました」何度言ったんでしょう?「もう分かったから…もう良いし…」とうんざりしなかったんでしょうか?山南&土方コンビは。しかし、自己主張の強い役やったら天下一品ですな〜八嶋さん(三谷さんに「八嶋、煩い」と言われる筈です/笑)。

 一番怖いのは、斉藤君では(苦笑)。
 拷問の方法を彼に確認しに行く土方もそれなりにですが、それを教えた後微笑を浮かべる一ちゃんが、本当に怖かったです。

 沖田は山南・土方の秘書役なんでしょうか?(笑)、やたら、使われてましたが。ただ、表も裏も見てるのは土方除いて今のところ沖田だけなんですよね。(土方が態と見せてる感じではありますが)

来週は、池田屋です!久しぶりの殺陣、怒鳴る山南が非常に楽しみだったり。
(いや、これが終わると後はカウントダウンなんで…)