2012年11月24日土曜日

映画『アルゴ』雑感

某所にて11/24公開、12/10転記

 先週末(11/17)に相方が観たがってた、映画『アルゴ』を視聴。

 観終わった印象は、映画で学ぶ現代史&手に汗握る脱出モノ&格好いいオヤジ役者満載でした。 下記、ネタバレしまくってる感想です。


 まず、映画で学ぶ現代史について。
 冒頭で説明される中東(イラン)現代史が非常にわかりやすくて、WW2後の中東情勢がなんとかうっすら分かるような気になります。アメコミっぽい(多分、映画の絵コンテなんだろうな)イラストと端的な説明で、イランの現代史、英米の介入とイラン革命までの流れ、 米諜報機関がどう関与してたのか等が視覚的に分かるようになってます。個人的な印象では、米・イラン両国に対しての視線や描き方は割合公平だったような気がしてます。あくまでも浅学な私の印象ですが(^^;;。

 イラン革命の発端があれだけに、イラン国民が米に対して憎しみを抱くのも心情的に理解できるし、大使館人質事件後に米国民がイランに 対して憎しみを抱くのも分かる。ともに、感情では理解できるけど、それはやっぱりどこかやり方が違うんじゃないのかと思わせられる部分もありました。確かに、意図的に若干濁してる部分もあるだろうし、米寄りの視点になってる部分も多々あると思います。これをイランの方が見たらどう思うんだろう…、と感じた箇所もありましたし。けれど、現状としては可能な限りフラットにして、見る側に判断を委ねてる気もしたりしました。うん、ホントに無知なのでこの印象が正しいかすら もわかってないです(だったら書くなと_;;)。
 余談ですが、この部分についての詳細は、帰宅後相方からWW2後の中東情勢に関して延々説明を受けました。こういう時は、時事&歴史が得意な相方でよかったと、しみじみ有りがたく思った次第です(笑)。

 しかし、WW2後に英米が他国に介入すると碌なこと無いなぁと苦笑させられ、民衆の声・力が新たなる独裁者なり権力者を産んで、それが新たな火種になってとか。って歴史の必然とは言え、なんとも暗澹とするというか…。不思議なのは、貧困や圧政から生み出される権力者に原理主義的な人が多いことです。このへん、無知なので理由とか背景とかがどうなのか分かってませんが…。より強い指導者を求めると、どうしても直線的になってしまうのかなぁと思ったりしました。

 そして、映画の題材である「イラン アメリカ大使館人質事件」って、結局のところ諜報機関のミスだよね???それを、一個人の力量でどうにかしたっていうお話だよね??と思ったりします。で、諜報機関モノってこういう描き方しかできないのだろうなぁとか思ったりです(TTSSとか007とかとか。すみませ んスパイモノに対する偏見かもしれません^^;;)

 次に、手に汗握る脱出劇について。

 後半はもうドッキドキしました!!いやぁタイム・リミットがあって、緊張感があって、かつトリッキーな設定の脱出モノが大好物なので、非常に満足しました。
 確かに、出国審査の場面で6人の偽の人物設定をもう少し活かしてくれたらとか、もう少し凝って欲しかった気もするんですが(^^;;。それでもまぁ十分手に汗握らせていただきました。

 格好いいオヤジ役者について。

 Hollywood側協力者のアラン・アーキン演じるレスター・シーゲルとジョン・グッドマン演じるジョン・チャン バーズ役、イラン側だとヴィクター・ガーバー演じるカナダ大使、CIA側のブライアン・クランストン演じるジャック・オニールが兎に角素敵でした!!容姿とかじゃなく、存在が格好いいオヤジ達でもっとこの人達を観てたいと思う感じでした。脇が見事だと主役がさほど好みじゃなくても、結構楽しめる私にとってかなり美味しい映画でした(笑)。

 以下細かい雑感を箇条書きで。

・ベン・アフレック(役名すら覚えてない_;;;)の苦悩とか家族関係は正直要らんかったです(私にとっては)。そこに時間を使うなら、Hollywood側の手練手管とか裏側とか、人質達の苦悩とか制限された生活とかを見せて欲しかったなぁ。
・6人の人質達を演じておられた役者さんも凄く上手くて、短い出演時間にもかかわらず焦燥や不安、猜疑心、生への渇望、野心等が見えました。なのに、生活の描かれ方があまりにもあまり(美味しい物食べて、愚痴ってという…)だったせいか、最後の緊張感が薄れた気がしなくもありませんでした。
・救出作戦の面白さであろうと思われる、偽の経歴云々な部分があっさり過ぎて…。そこを楽しみにしてた私にとっては、ちょっと肩透かしだったかなぁと。
・ベン・アフレックよりカナダ大使のおっちゃんの方が説得力あった!!あの人になら付いて行く!!と思うくらい人格者な雰囲気がありました(笑)。
・ベン・アフレックに関しては、こんないい映画を作れる方だったんですね。今までごめんなさいと、平謝りします。ホント、ごめんなさい。けど、役者としてのベン・アフレックは好みじゃないなぁと再確認(重ね重ねすみません)。
・Hollywood側の役割をもう少し突っ込で見たかったです。二人のクセのあるオヤジ達が良すぎたので、余計そう思いました。
・『スター・ウォーズ』と『猿の惑星』な時代だったんだ…とフィギュアとかポスター画を見て改めて、その2作が与えた影響力を思い知らされました。
・Hollywoodが一大産業になってると、こういうこともあるんだと。無関係な組織同士がこうやって協力関係になるって、物凄いことなのかもなぁとか。この辺の柔軟性は新大陸ならではなのかととかとか。
・時代的にTTSSより後なのかと思いつつ、英米の諜報機関の違いをふと思ったりしました。
・最後力技で救出作戦を成功させようとするジャック・オニールが兎に角もう格好良くて格好良くて!!
・どう考えても、WW2以降も英米は同じ事を延々繰り返してるとしか思えない…。
・こういう題材を見聞きする度にWW2以降の世界史を知らないといけないなぁと思うのですが…。如何せん複雑な気がしてなりませんです。