2006年1月13日金曜日

『古畑ファイナル』感想

 第2夜、第3夜は何とかリアルタイムで見ることが出来たものの、肝心要の第1夜は結局3連休最終日に見たという情けなさです。とはいえ、ドラマ嫌いな相方が珍しく全話鑑賞し、我が家的に非常に稀有且つ新鮮なドラマ鑑賞時間となりました(回りもった言い方ですが)。

 全3話見終わっての感想は、「放映順が間違ってやしないか?」でした。徒波の涼さんが『年末年始、大人の事情、何かが等閑』で書いておられる放映順及びその理由、特に

第一夜に鳴り物入りでイチロー登場、第二夜は脚本家の役者を信頼しきった質の高い本で多くの視聴者を魅了

 に激しく同意です。我が家でもほぼ同一見解で「『第2夜→第1夜→第3夜』に絶対すべきだった」となってましたもの!!!!(大げさな...)あの第1夜が『組!!』と被ってしまった事は三谷好きにとっては心底勿体無く、悔しいことだったと思います。また、それ程三谷好きじゃない方にとっても、一見の価値があったと思われてならないんです。だからこそ、イチロー&松島嬢と言った話題性の間に挟んで(サンドウィッチの具ですよ!)、じっくり味わわせてもらいたかったです。本当に。

 ところで、涼さんが書かれてるラテ欄の件については、当日その違和感に全く気が付かなかった私が言うのもどうかと思うんですが、少しだけ触れてみたいと思います。

 結局のところ、日時が被った事やラテ欄の件については、NHK・フジ両局ともに視聴者と作家に対する甘えが露骨に出た所為だよなと思った次第です。
 特に日時が被った件については、「(ファンは)どうせDVDが出たら買うだろうし」とか思われてるんだろう、そういう二次発生分の利益等をちゃんと見込んだ結果なんだろうと、かなり歪んだ見方をしていました。

 フジに関しては視聴者と作家だけでなく、NHKに対する甘えを思いっきり感じました。が、民放局に関してはどこかで、「所詮『視聴率競争』の前では倫理も礼節も関係ないんだろうな」と結構突き放して見れる部分があったりします(それが良いかどうか、好きかどうかはさて置いて)。
 次にNHKなんですが、ものすごく努力されていたのは薄らと見えてはいたし、頑張ったなと好意的に捉えてもいます。が、年末付近になって「BS-2で再放送します」と宣伝し始めた時点で、これって一部視聴者(衛星放送受信者のみ)へのサービスとフジへの気遣いとの二面でこうなったんだよな、と嫌らしく思ったのも事実。

 両局とも一般的な視聴者への配慮が足りなかったり、考慮すべき相手を間違ってるような気がして仕方ありません。こんな馬鹿な小細工してるから、どんどんTV離れが進むんだわ、とちょっとだけ明後日な感想を抱きました。

気分を変えて、以下各話についての雑感。

第1夜
 ドラマとしての出来は、第1夜が頭一つどころか他2本とは雲泥の差だったと思います。三谷脚本の魅力と技が満載されいて、どの言葉も伏線として活かされ、役者自身も三谷脚本のそういった徴を理解して演じてるからきちんと伝わるし、本当に最後までいい緊張感があって良かったです。

 しかし、藤原君があんな役回りだったとは!!今まで『天才』とか『早熟』だったりする役ばかり見ていた所為か、非常に新鮮に感じました過大な自己評価と生来の「愛される素質」だけが全てで、客観性を持っていない全くの「お子様」。それが最後には自分の首を絞めてしまう結果へと繋がる。なんか意地悪だよな〜三谷さん、と思ったりしたのも事実でした(笑)
 しかし、藤原君のああいう不安定だったり、未熟さや無邪気さ(若しくは「自己を客観視できない」)から出る失礼な言動な表情や様子は、視聴者に「嫌悪感」を抱かせないという一点において(それだけじゃないけれど)、やっぱり「上手い」としか思えませんでした。

 対する石坂浩二も良かったな〜と思うしだいです。古畑と天馬の対決は、相方が「コロンボVS金田一というよりも、シャーロック・ホームズVSモリアティ教授だな。これは」と評するほど、緊張感と安定感が見事だった場面だったと思うんです。決して派手な動きや表情は無いけれど、互いに均衡してる力関係とか、心理戦の妙を本当に見事に見せてもらえたと思いますです。

 ところで、考古的な作品であったため相方の突っ込が若干ございました(笑)。一番引っかかっていたのが、天馬が「旧石器時代の土器が出てくる」と言った部分。相方に曰く「旧石器時代に器はない!!」との事で、かなり大きな間違いだそうです(笑)。
 後は15年前の事件の物象であった「石槍」。これについて、「石鏃はあるけれど、石槍っつうのは無いんじゃ無いかと。旧石器は専門じゃないから明確には判らんけど...」だそう。他、尖底土器等々の説明は合格だそうです(笑)。ちなみに、天馬の部屋に飾ってあった出土状況のパネルは、「縄文後期の土器」との事。

第2夜
 イチローの器用さに驚かされた話。以上(って...)
 確かに台詞回しも表情も、下手な新人さんよりは上手いな〜と思いました。しかし、あれは受け側が上手いからじゃないのか??と物凄く嫌らしい見方もしてました。だって・・・田村さんとか慶喜公だった今井明彦さんとか巧く受けておられましたもの。なので正直、モノローグとかの台詞のぎこちなさが気になった部分も多少ありました。

 話としては、う〜ん。チローのイメージを崩さないようにしているのが、見ていて窮屈ではありました。「フェアー」って言葉に縛られて巧く動けてない感じが無きにしもあらずだったように感じました。

 三谷好きに嬉しかったのは、向島と今泉の会話場面!!東京サンシャインの二人だよっとTVの前で大はしゃぎしていたのは、私だけじゃない筈。そして、向島持っていた薬の出所はきっと亡くなられた伊藤さんが演じられていた「桑原君」だと思うんです。ああいう部分に三谷の役者に対する優しさが見えては、本当に嬉しかったです。

この話に関しては、こんなもので。

第3夜

 小日向さんのブルガリ・三四郎!!!!黄色いコート!!!と大騒ぎでした(何っ)
 冒頭から小日向さんに心奪われ、脱力させられた第3夜。私にとっては冒頭だけでお腹いっぱい、大満足な第3夜。

 他は、古畑に絡みまくる今泉君と西園寺君コンビが非常にツボだったとか、チーム三谷の面々が思いっきり出ていたり(松金さんとか近藤さんとか)と、かなり和んで楽しく見られた回でした。
 松嶋さんに関しては、まぁこんなものか(偉そう)ということで。ただ、彼女は地味な役より派手な方が生き生きと演じておられるし、似合ってるよな〜って位でしょうか。

 他は田村さんが心底格好良かったです。こう色気があるというのか。チークダンスの場面は、ちょっとドキドキとときめいておりました。