2005年2月15日火曜日

『恋に落ちたシェークスピア』

 公開時に映画館で見た作品でしたが、やっぱり楽しいと思えたのが意外でした(笑)。TVの前で「あぁもう楽しいったら」と呟くほど楽しかった(迷惑極まりない)。

 何が楽しいって、やっぱり脚本。中でも「本歌取り」の巧さには、感嘆したおしました。バランスよく有名な台詞や詞を変化させたり、そのまま散りばめながら、もたつくことも無く、単なる「パロディ」ではなく一つの「映画」としての個性を保ってる、その事に改めて感じ入りました。
 また、「史実」とは全く違うだろう(特にエリザベス女王の存在)けれど、それを踏まえた上で「遊ぶ」事ができる幅やゆとり、楽しさがこの映画にはあったように思います。

 今回タイミングよく、舞台の『ロミオとジュリエット』を見てきたばかりだったので、例のバルコニー場面や、初夜の場面等々(のパロ部分)を「へぇ、こんな風に表現(変化)できるんだ〜」という様に、「舞台」と「映画(パロ)」の共通項や差異を比較しつつ、さらに興味深く見ることができました。
 そして改めて「シェークスピアの台詞の美しさ」や「魅力」「可笑しみ」をも感じることができたのは、ホント収穫でした。どんな表現をしても「台詞の美しさ」や「魅力」ってのは損なわれないんだな〜と今更ながらに思った次第です。

 そして、出演者で一番魅力的だったのが主役達ではなく、エリザベス女王役のジュディ・ディンチ!!
 圧倒的な存在感があり、皮肉屋で人の心も道具にしつつ、なのにどこかユーモラスな雰囲気が大好きですよ!!(こういう上司の下で働きたい、と思わせられました。すでに性を超えてますよ。この女王は/笑)。潔癖でも清廉でもない、嘗ては王継承争いに敗れ幽閉されたものの、策謀を用い統治者となり繁栄期をもたらした女王の胡散臭さや底知れない何かをも感じさせられました(そして『愛人』達の存在もそこはかとなく描かれてたのが嬉しい/^^)。
 確かに、グウィネス・パルトロウの男装には心惹かれましたが(彼女の意志の強い瞳や表情はホント魅力的だと思います)、やっぱり女王を前にすると(笑)。

 しかしながら、やっぱり「ハリウッド映画」の常か。濃いのか綺麗なのか意味があるのか無いのか、よく分からないラブ・シーンの数々には食傷気味になりました(^^;;。決して下品ではないんですが、それでももっと少ない方が効果的じゃ無いのか???と思うほど、ラブシーンが多くて少々辟易してしまいました。まぁグウィネス・パルトロウの肢体がしなやかで美しいので目の保養にはなりましたが。

 最後に、この作品はシェークスピア作品をこよなく愛して理解してる方が丁寧に作られてると感じました。そういった意味でも非常に好ましく思えるのかもしれません。