2004年10月18日月曜日

新選組!41話【観柳斎、転落】感想

 見終わった後、何ともやりきれない気分になりました。
 何故、武田が平隊士の手によって殺害されなくてはならなかったのか。自分の犯した罪を「生きること」で償おうとした矢先であったのに。
 今回は「人」が犯した罪の重さ、死と生の重さをひしひしと感じました。改めて、自分の意志で命を絶つことが出来た山南さんは「幸せ」で「卑怯」だったとつくづく。

 とりあえず主題であった武田の転落について一言でまとめると、武田の流転振りが素敵でした、です(ヲイ)。最後まで人間味のある「武田」でだったと思ったり。

 八嶋武田ならではの「小狡さ」や「卑屈さ」があるのに何故か「屈託がない」様に、救われたような気がします。彼なりの「意地」が最後まであって、それは決して清々しかったり許されるべきものでは無いですが、それでも「一人の人間の生き様」だったり「生きる上での業」であることは変わりなく。それを最後まで崩すことなく見せてくれた、八嶋武田は素晴らしかったと思います。
 
 特に、近藤に「生きて罪を償え」「這い上がって来い」といわれた時の八嶋武田の表情は、素晴らしかったです。武田は近藤の言葉で「生まれ変わった」とすら思いました。
(そう思わせるだけ、近藤の言葉に説得力が生まれたんでしょうね。凄いよ香取ッ/感涙)

 しかも、人の弱さと優しさと矜持が綯交ぜになった、絶命の場面。彼は、河合の死をや自刃した隊士を彼なりに悼んで、自らの行いを悔いていた。そして、近藤に「与えられた生」が彼の最後の拠所になったのではないでしょうか。だからこそ、河合の墓前で近藤からもらった生を奪われたくなかった、「生きることで」しか己の罪を償えないと悟ったからこそ、初めて刀を抜き「生」を守る行動になったのだと思うのです。

 とは言え、最後まで「保身」で立ち回るのはやはり「武田」としか言い様が無く(笑)、どうしようもない小物っぷりを見せ付けてくれました。
 あの谷原伊東や宇梶西郷との会談は「見事」でした。三人三様の「胡散臭さ」や「胡乱」さがあって、ホント「大河ドラマ」とは思えない空気が漂っていたと思います(笑)。
 兎にも角にも八嶋武田 お疲れ様でした。彼が登場して醸し出される大河らしからぬ雰囲気は、八嶋の醸し出す「煩さ」にあったと思います(むっちゃ誉めてます/笑)。

 そして、新選組が対外的に「頂点」を迎えたその時期に、内部は結束力を失い崩壊してる現状。更に、幕府がお墨付きを与えたことで「居場所を失う」隊士達が居たことに、新選組内部での「身分」の違いを見せ付けられた気がしました。
 近藤、土方ら幹部は何処まで行っても「武士」ではなかった。脱藩者を抱える事で、生まれる矛盾に誰も気が付くことはなかった。武士にとって君主とは、藩主でしかない。それ以の藩主に(例え直参であろうと)尽くすことはそれこそ「士道に背く」ことなんだということを、近藤らは頭では解っていても、
その「士道」が持つ本質は理解できてなかったのではないかと思いました(幕末の時期、そこまで「士道」を重んじる武士が居たかどうかは棚上げしてます)。

 そして、漸く組織のために己のために人を「生かす」事を選択した近藤達と、「歴史」のために人の命を奪おうする西郷達。
 それは幕府なり新選組が持つ「甘さ」と、倒幕側の持つ「怜悧さ」の比喩だと思うのです。そして、選択されたのは倒幕側の「怜悧」さだった。そのことにこの時代の「冷酷さ」を考えざるを得ません。

以下雑感

・冒頭の「かっちゃん!」「歳っ!」は、多摩の二人がここまで上り詰めたんだ!と嬉しくなりました。そして、非常に可愛らしい二人を久々に見せてもらいました(笑)
・山南さんと河合の死は、形は違うにせよ新選組全体に何かを「残し」たのは同じだったかと。
・新見から始まった「粛清」は組織や近藤ら個人にとって、無駄ではなかった。
 そのことは、三谷さんが「無駄な死」は一切描いていなかった証なんだと思います。
・三谷さんが人の死を無駄にしなかったことで、一切の回想場面がなくても思い出せるんです。それぞれの死を。それは、凄いことだと感じます。
・沖田が益々透明度を増してきて。この期に及んで未だ「変化」するのか?藤原沖田は、と固唾を飲むばかりです。
・このところの山本土方の精彩の少なさは、香取近藤が成長したことに伴う恣意的な変化かと思ったり。
・伊東センセの胡散臭さは、竜馬の前では霧散するのが意外でした。智恵はあるし、時勢も確実に読めてるのに本当に「詰めが甘い」だけで「時代に取り残されてた」人なんでしょうね。ホント谷原伊東は、色んな部分で魅力的だと思います。
・平ちゃん、竜馬の護衛になるの(苦笑)。いや〜互いに北辰一刀流だから良いんですが(良いのか/笑)。平ちゃんを連れ歩ける竜馬が少し(かなりか?!)羨ましかったり。
・宇梶西郷は、本当に底が見えない感じがして「恐ろしい」と思いますよ。
 今までの大河に無い「政治家」な西郷を、巧く創り上げたなと。
・竜馬が登場すると、途端に軽やかである種の透明感すら感じる雰囲気になるのは、凄い。
・大旦那な山崎さん。やっぱ良いよな〜桂山崎。けど、今回のは使われ方間違ってると思います(悔涙)

予告で気になったこと。
公家衣装の岩倉さん(笑)
あの衣装で胡散臭さ倍増したのは気のせいでしょうか?似合わね。

今更なんですが。
深雪太夫とお考の挿話って必要だったんでしょうか?ものすごく疑問だったりします。