2004年10月11日月曜日

新選組!40話【平助の旅立ち】感想

 幹部会議の場面での人の少なさに、もの悲しさを覚えました。しかも、居るのは試衛館メンバーばかりで「外から入隊」したものはおろか、頭脳となるであろう総長、参謀格が居ない。この陣容では「内ばかりに向いている」と言われるのも仕方ないかと。
 また、これから新選組が進むであろう「悪路」を思うにつけ、この陣容では舵取りは難しかろう…とも思わせられました。
 こういった場面を見せられるにつれ「本当に『落日編』なんだ…」と、実感します。それを、解っているのに何故か辛く感じるのは、『多摩編』の明るさ、『芹沢編』以降の勢いを同じ目線で見てきたからだと思います。

しかし、平助の旅立ちが穏やかで暖かく僅かですが「未来」を与えられた事、本当に嬉しくて救われた気がしました。

 今回もある意味盛りだくさん過ぎて、纏まりませんでした。
  以下雑感です

○まずは香取局長。
この数回で急成長したのが「香取近藤」だったと思われてなりません(山本土方、藤原沖田は別扱いとして/笑)。
 それを強く感じたのが、伊東との会談場面。
 あの場面、近藤は敢えて伊東に「言い負かされ」、呑まれたんだと画面を通じても解りました。相手の言い分を呑むことで、穏便に事を終わらせたり変化させる。それは、土方が望む(期待する)方向とは違うだろうけれど、確かに近藤は一軍の将足る人物になった。その事は、近藤勇が経験した多くの「辛い出来事」があったからこそ身に付いたものだと思うのです。
 そして、それを身につけさせたのは、矛盾するかもしれませんが、新見・芹沢・山南さん達の死、土方の「鬼」としてのやり方では無いかと。彼らが居てこそ、単に担がれてるだけの存在ではない「局長」が今になって漸く生まれたと思ったりします。そして、土方の暴走を止められる唯一であろう存在感と自信が見えて。もの凄く「大きな要」になったと改めて思いました。

 正直、今まで香取近藤に魅力を感じたことはなかったし、「何故『近藤さんについて行きたい』と思うのか」と疑問を感じて見てきました。しかし、この数回で試衛館メンバーが「惹かれた」という近藤勇の魅力を感じることができました。今の彼なら「付いて行くに足る」人物だと思います。
(本当にここまで長かったよ…香取君。また此処にきてのこの変化は、香取君の現実の一杯一杯さと巧く同調した結果だとは思いますが/笑)

○主題であろう、平助と総司。
 この子達も試衛館時代の子犬っころコンビから思うと、確実に成長しましたよね。しかも、弛むことなくすくすくとまっすぐに。
 特に、平助が素直さを失わないままであったことは、何よりも凄いことだし奇跡だと思いたい。そして、総司との友情も確かに変化はしたけれども変わらないモノを保っていた事が本当に嬉しかった。

 この二人が語り合う場面、(清水さん演出の割に/酷)静かで暖かくて大好きな場面になりました。
 特に沖田が平助に「労咳」と告げる所は、藤原沖田の空気がどんどん開放されてきて、平助との(気持ちの)距離感が縮まって行く様なんかは、藤原君勘太郎君とも巧いな……と唸ってしまいました(受け側の勘太郎君も見事としか言いようが無く)。
 で、振り返った沖田の表情が吹っ切れた、暖かい茶目っ気のある昔の「総司」に戻った様な良い表情で(涙)この二人、(平助からしたら)同じ立ち位置になれんたんだろうな、と思います。
恐らく沖田は「(命あることが)羨ましい」と言った事で、平助は「沖田さんには適わない」と相手に告げることで抱えて居たであろう何かを吹っ切ったのかと(沖田は一時的であるにせよ)。

 しかし、平助の「せめて相打ちで」はこの期に及んでも可愛くて可愛くて仕方ないです(^-^)
 この二人だけは「来年の桜も。再来年の桜も」一緒に見て欲しいし、見せてやりたいと無理だとは解っていても、強く思ってしまいます。(総司…平助は「来年の桜」見られないんだよ…/泣)

 今更ですが、この二人は「対比」ではなく「合わせ鏡」な存在だったんだな〜と。沖田が気づかない部分を平助は気づき、平助が見えないモノが沖田には見えて。かと言って補い合うといった大仰な存在ではなく、傍に在ることに違和感を感じ得ない存在だったんだろうなと思ったり。

○やるせない土方(笑)
 近藤には先に言葉を持って行かれ、今まで自分が敷いてきた路線を緩やかに形骸化され、捨てぜりふを吐く土方。まだ幼いよな…と少々苦笑してしまいました。あの場面、土方一人が空回りしてる感が強くて、彼の(近藤に対する)苛立ちや焦りを感じましたよ。
 一生懸命「かっちゃんのため」と思ってやってきたのに、結局それが「かっちゃん」をも傷つけてた。そのことに今更ながら思い当たったのかもと思うのは穿ちすぎでしょうか?

 けれど、斉藤に「平助の傍に居てくれ。平助だけは助けたい」と言った時、土方の優しさと甘さ、何より平助を「可愛く」持ってる事を感じ嬉しくなりました。仲間に対して一番「甘い」のは土方自身なのを、気づいているのかいないのか(笑)そして、御陵衛士から新選組に戻ることはさせない という条件を呑むときの一瞬ひるんだ表情も、平助・斉藤の今後を考えると苦渋だったんだろうな。ホント甘いというか…
しかし、伊東センセ、武田(&捨)への矛先の鋭さは相変わらずで。その辺は頼もしい限りかと(笑)

○伊東センセ一派
 「策士策に溺れる」伊東センセが非常に魅力的でした(笑)
 この方、加納さんと鷲尾さんが居てくれてるから自身を保ててるんだろうな…と優秀な側近の必要性の大きさを、この方見て感じております。ご本人もかなり優秀なんでしょうが、理と策に走り過ぎな部分を巧くフォローして、実利に変えてるのは恐らく加納&鷲尾さんコンビと見ました(笑)
 首筋に刀を当てた時は、一世一代の「演技」で丸め込むつもりが、逆に「見限られ」た。その事を認めたくないが故に、「強情な奴らだ」という新八達に転嫁させるという言葉になったんでしょうね…(その言葉を聞いた時の平助の複雑な表情が。哀しかった…)
伊東センセ、修羅場くぐってきたであろう百戦錬磨の彼らには「真剣勝負」で行かなきゃ駄目ですよ。しかも殺気のない演技は更に駄目かと(酷)

○その他
・局長、平助への「辛かったらいつでも戻って来い」は娘を嫁に出す時の台詞だよ〜(^^;;
・餞別の隊服を抱きしめた時、近藤の言葉に頷いた時の心底嬉しそうな平助が、本当に可愛らしくて(以下リフレイン)
・斉藤&新八を気遣う平助が、どうやっても幹部とは思えず、どうにもこうにも「一番年下の後輩」の雰囲気なんですが…それはそれで良いのかと思ったり。(今回、皆さんの口から「八番隊組長」と連呼されて初めて「そうだ平助も幹部だったんだ…」と再認識しました/酷)。
・伊東センセが首筋に刃を当てた時、全く動揺しなかた新八、左之、斉藤は彼に殺気がなかったから「演技」だと見抜いたんでしょうね。全員、だてに修羅場潜って無いわ…
・そして、一人だけ動揺してた平助。あの辺彼の「甘さ」なんでしょうね…
というか、こんな事で「命を絶つ」人かどうかって、近くにいる平助が一番理解してなきゃいけないんじゃ…その平助が一番動揺してどうするよ。とちょっと情けなく思ったり。だから、沖田に「甘い」って言われるのよ………(涙)
・左之、怒る場所はそこ(何で俺を誘わない)じゃ無いから。
・お多福営業してたんですね!(嬉)
・おまさちゃん一緒になって以来、左之が小綺麗になったような。けど、My箸は相変わらず持ち歩いてるようで(笑)おまさちゃんが取り上げてなかったことにも吃驚です。本当に良い夫婦だよな〜
・左之、伊東センセに対しては妙に辛辣という感じすらするんですがね。どこまで解ってるのか、全く解ってないのか…謎です(笑)
・新八!「山南さんとの約束がある」って言ってくれて有り難う!ちゃんと覚えてくれて実行してくれるんだね!(嬉)
・斉藤から「恩があるから」の言葉が無くなって、彼は彼自身の「思い」で動き始めたんですよね。凄い成長だと思います。
・沖田の「言葉にしなきゃ解らないのか」って台詞は、私の胸にも突き刺さりました。なんで弱いところをこうザックリ斬るかな三谷幸喜は(筋違いの文句です)
・山崎さんの太鼓持(ですよね?!)な変装と巧みな舞に、目も心も奪われました。ホント毎回良い仕事なさいますよね、桂山崎さんって。一度桂吉弥さんの古典が聞きたい!!(それより、北村薫さんの「わたしと円紫さん」シリーズを映像化することがあれば、是非 円紫さんを演じて欲しいです/熱望)
・捨&佐々木様。すっかり「浪人街」の赤牛&母衣権な雰囲気で(違)
・捨が居るといきなり、多摩の勇&歳&捨の幼なじみトリオな雰囲気になるのが凄いっちゃ凄いです。勇&歳の突っ込みも冴え渡るし(笑)
・歳の「おまえ馬鹿か」は視聴者の大半の気持ちを代弁したモノかと。有り難うトシ、すっきりしたよ〜(笑)
・勇&歳の「帰れっ!」は素晴らしく良い感じでした。ホント、寸分の違いなく綺麗に揃ったよな〜(きっと間違った感想だと思います)
・孝明帝死去の報以降の容保公が痛々しくて、これから彼を巻き込むであろう「渦」の大きさを思うと「今から役目放棄しちゃいなさい!」とすら思いました。筒井君こういう感じ巧いよな…(お暢気な感じも「そのまま」っぽくて良いんでが/酷)
・慶喜公の一筋縄ではいかない人柄が、今井さんの読めない表情と相まって非常に「胡散臭」を倍増してるように思います。しかも、怜悧な知性と揺るぎない合理性、非情さなんかを感じさせもして、キャスティング最高ですよ!
・清水さん演出って………なんでこう中だるみが多いというか、締まりが無いんでしょうか?特にお幸の表情アップってあれだけの時間必要でしたか?と思ったり。あの場面何故に、近藤とお幸を同時に写さないかと非常に疑問。
更に、近藤・伊東会談もアップ使い過ぎかと……思います。
清水さんの演出とはどうやら相性悪いみたいで、いつも違和感あります。