2011年5月5日木曜日

某作家さんについて最近思うこと

某所にて5/5公開
 
 好きな作家さんの一人です。なんですが、このところ色々思うことがあったりしてます(苦笑)。

 有川浩の作品を知ったのは、例に及ばず『図書館戦争』単行本発刊時。趣味の書店回遊(笑)をしてた際、タイトルに興味を惹かれ図書館で借りたのが始まりでした。図書館で借りた後、結局単行本を購入しちゃったのはあの勢いにのまれたからだと。
 『内乱』以降は『図書館戦争』シリーズ以外の新刊単行本も発売日当日朝には入手、読了なハマったときのサイクルまんまな状況。
 それが落ち着いたのが、『Story Seller』と『フリーター家を買う』の単行本が出た時だったと思います。実際、この2冊については文庫落ちしても買わないだろうな。
 何故かというと、有川浩の展開に飽きた事、設定が甘い、著者の顔が透けすぎるとというのが理由。そして、書店や出版社の押しが強すぎると感じることも。

 各々の理由を細かく考えると…
◯「展開に飽きた」というのはキツイようですが、彼女のべた甘路線は嫌いじゃないし文書だからこそ楽しめるラブコメであることは評価してます。ただ、この2作品については、雑誌やWebで掲載されておりそれを追っかけてると「いつものべた甘な有川か」としか思えなくなったんです。
 有川浩という作家が面白いのは、ハードな(若しくはぶっ飛んでる)世界設定と甘い恋愛関係が同居してるからだと思うんです。確かに『阪急電車』のように、会話から伺える「人」模様を描いても巧いんですよ。それが、上記2作には感じられませんでした。
 だから、物凄く展開だけが目についてしまったのだと思うのです。

◯「設定が甘い」
 これは、上と重なる部分があるんですが…。『図書館戦争』になんでハマったかというと、図書隊が単なる「正義の味方」でなく軍組織である以上抱える「負」の面を描いてた事があります。個人ではなく組織の維持が優先される世界で、個人の恋愛模様をあんだけベタベタに甘く描いて生れたギャップ。そこに思いっきりハマったんですよね。他の自衛隊三部作も同様。軍組織で個ができる事は何か、組織と個の両方を活かす方法は何かを薄く見せてくれます。そして、個が潰される様も薄く描いてもいます。そのなかで、究極の個人関係である「恋愛」や「家族」を照らいなく描くのが、魅力的だったんですよね。
 なのに、『フリーター家を買う』や『Story Seller』は細部すっ飛ばしてる感がありました。

◯「著者の顔が透けて見える」
 特に『Story Seller』で思ったことです。主人公の作家がどうも著者と重なって仕方なくて。手法としては「有り」とは思うんです。が、綺麗に落ちなかった感覚がありまして…。そこに、べた甘を重ねられるとなんか粘っこいというか…。

◯「書店や出版社の押しが強すぎる」
 確かに売れっ子になりました。言祝ぐべきだとは思います。が、正直有川浩ってそんなに売れる作風の作家か?と。初期の作品を読む限り、本好き小説好きが楽しんで、そいう人たちが評価する作家さんであるように思うんです。売れないと言われるSFとかで評価されて、地味だけどぶっ飛んだ面白い発想の本を出す。そういうタイプだと思ってたんですよね…。それが、あれよあれよという間に、平積み且つ本屋大賞ノミネート常連作家さんに…。
 特に、本屋大賞については…今回の大賞もあれだったし回を重ねる毎に、期待値が下がってきてるんですが…。どこを目指してるのかだんだん分からない賞になってきたよなぁと思わなくもなく。
 それはさておき、売れるから出版社が押すのか、押すから売れるのかは不明なんですが最近の売り方は凄いものが。あれだけされたら、マイナー志向の私は引いちゃってます(__;;;。ああいう売り方してたら、潮が引いたとき何も残らないだろうなとも思っちゃうんですよ。

 あれやこれや書いてますが、多作でアイデア豊富な作家さんであるのは間違いないし、今後どう変化するのか楽しみな作家さんの一人です。だからこそ、売れ売れ!!イケイケ!!な現状に違和感があるのだと理解いただければ幸いです。