2012年2月19日日曜日

12大河『平清盛』雑感

某所にて1/29公開

回遅れ著しい話題で申し訳ないですが、第3話まで終わった12年大河『平清盛』につての戯言を以下に。

 昨年の『江』は2話で脱落。その理由は…もうね…萬福丸の存在が消されてたことで見える世界観でした。一応、ネタ的には追ってましが、追えば追うほど「見なくてよかった」感が増したドラマでした。上野樹里ちゃんいい女優さんなのに、ホント勿体無い使い方されたよなぁと心底思った次第です。

 そして、今年の『平清盛』は、然程身を入れてないんですが、なんとなく久しぶりに見続けられそうな予感です。
 最初に興味を惹かれたのが、白河院が伊東四朗で信西が阿部サダヲってこと。いやぁこのキャスティングを知った時はワクワクしました(笑)。そして、山本耕史が摂関家ラストの頼長とか、源氏棟梁がコヒさんとかで「おぉぉ!!!04大河メンバー!!!」という布陣にドキワク。更に、國村隼さんが最後の貴族!!この布陣ならば、魑魅魍魎、権謀術数な世界がもしかしたら見られるかもしれない、という期待に至り観てみることにした次第です。
 元々、平安時代が好きだし、平安末期の院政とくりゃもう朝廷の魑魅魍魎が徘徊する、熟成されたネットリした政治模様が楽し過ぎる時代。そこに、源平に象徴される新勢力の思惑と力技なんかが絡みあって、最高にややこしくて胡散臭い時代。日本史の授業で言えば、まったり文学・文化史的な事項の暗記から突如各勢力の代表者、小競り合いの名前なんかが出てきて怒涛に覚えこむ時代(そのせいで、楽しい割に前後関係をよく憶えてない/苦笑)。なので、大きくズレ=昨年みたいに変な改変しなければ、そのままの素材だけで十分面白くなる時代。

 そして、1-3話までは期待通りでした。
 特に、伊東四朗の白河院が出す妖気に慄きました。TVに向かって「妖気スゲー!伊東四朗、凄ぇぇえ!!妖気が画面から見えるよ!!妖気だよ!!」と大喜びしたくらい見事に白河院の底しれぬ「何か」がありました。あれだけで、1-2話はみる価値有りましたよ、ホントに。

 で、危惧していた脚本ですが、主役に対して甘くないのが提示されており、物凄く好感が持てました。具体的には、1-2話の中二病的な「俺は野良犬なんだ!平家なんて!!貴族の犬になるもんか!」な姿勢を、3話で綺麗に砕いた部分。あのまま中二病的を受け容れる世界だったら(去年の様に)ついてけないと思ってたタイミングで、全て当時の社会背景を基準に砕いたのはある種の小気味よさがありました。他にも、「俺は誰なんだーーー!!」と自己陶酔してるのを、「誰でも良いからーー」と突っ込んだ2話もそう。冷静な(溺れてない)脚本だなぁと感じる部分がチラホラとあるのが、見やすい理由かもしれません。

 そして、今月のTVnaviの山本耕史君とコヒさんの対談を読んで(04大河から毎号欠かさず立読/笑)更なる楽しみが!
 山本耕史演じる藤原頼長は史実通りとのこと。私も今回知ったんですが、藤原頼長って克明な日記(『台記』)を残しており、当時の貴族社会や時事を知る貴重な史料となってるそうです。しかも、そこに自身の男色事情も躊躇いなく書いてられるそうで(笑)。一部では、平安大物ホモとすら称されてるっぽいという方。余談ですが、近現代まで日本では男色は忌避される風習じゃありませんでした。そのため、極普通の恋愛(というのかな…上下関係の絆をより強固にする意味合いが強かった様にも思うし…表現するのが難しい)だから、日記に残したんだろうなと感じで捉えてます。
 閑話休題。そんな藤原頼長が近習を押し倒す場面があると、山本耕史君が語ってるのを読んだ瞬間、保元平治までは見続けねばなるまい、てか絶対何があっても見るよ私!!と固く決意した次第です。
 しかし最近のNHKって、何でもありだよなァ。04大河の座談会も大概だったけど、本編でそれをやっちゃうのかぁ。しかも、あの山本耕史に演じさせるのかぁ。ある意味、04大河のファン狙いなのかなぁ(絶対違)とか邪推しまくりな日々です。

 そして、以下箇条書きの雑感です。

・清盛実父な伊東四朗と実母な吹石一恵。04大河で父娘だったのに…源之丞さんと秀ちゃんだったのに…、とちょっと呆然(笑)。何を狙ってるNHK?!その1な共演でした。
・コヒさんの小物っぷりが堂に入って素敵(笑)。兎に角、あんた人としてどうよ!そりゃ、あんたの代で源氏が没落するの分かるわ…と納得しちゃうくらい、小物。そして、コヒさんが小物っぷりを見せてくれる度に、コヒさん可愛いっ小物っぷりが素敵っと叫ぶ私もどうかと思います(^^;;。やっぱり、コヒさん好きだなぁ。
・鳥羽天皇(現:鳥羽上皇)の三上博史さんが非常にとても素晴らし過ぎて、登場される度にどうしたらいいのか分からない状況に陥る私が居ます(笑)。精神的に病んでる風でもあり、至高であるが故に倦んでる感じとか、どこか卑小さある雰囲気とか、璋子に溺れてる感情の幼さや繊細さとかが見られて、心鷲掴みされてます。今後、鳥羽上皇がとことん政争に絡んでくるので、あの病んだ上皇がどうするのかが否が応でもでも楽しみで仕方ない。ホントにいいなぁ三上博史さん。
・ふと気づいたんですがね。鳥羽上皇と頼長って、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』で主演してるんですよね。新旧ヘドウィグが共演って、凄い奇縁というか、狙ってるのか分からないキャスティングだなぁと思ったりしてます。
・璋子の無邪気という言葉ではおさまらない佇まいが怖いです。与えられるものは、理屈理由なく受け容れるかのような感じが…。確かに、あれは溺れるわなぁという一言
では語れない感じがあります。 
・中井貴一さんの存在感が素晴らしくて見入ってます。忠盛の行動原理や理屈は一見解りにくいですが、語れられない(台詞じゃない)部分こそに真意があるのかなぁと思ったりします。
・藤原忠実(國村隼さん)の出番が少ないぞ!!その割に、存在感があるのが流石國村隼さん。忠実も面白い動きをしそうなので、今後が楽しみな一人です。
・藤原忠実さんの長男な忠通を演じる堀部圭亮さん。04大河で会津藩士として出演。今回は、元外部団体部下と兄弟役で、弟に蹴落とされる兄役。そうすると、何を狙ってるNHK?!その2としか思えない。
・NHK公式ガイドブックでは、堀部圭亮さんが「大河初出演」と表記されてますが2回目です。コヒさんも04大河出演飛ばされてるしさ(歳三の義兄で酒癖悪い彦三郎さんだったんだい!浅田美代子と夫婦だったんだい!)。NHK公式ガイドブックならきちんと調べて載せやがれ!と思った次第。
・信西(現:高階通憲)の阿部サダヲ初登場は、非常にらしくてよかった!!舞を見てる場面含めて、阿部サダヲの軽さと仄かな暗さが巧く合ってて今後が楽しみです。信西の動きがあってこそ、保元平治は楽しいと信じて疑いませんので!
・藤原家成の佐藤二朗さんもイイなぁ。兎に角、今のところ貴族側がホントに胡散臭くて堪らなく嬉しい(笑)。
・平家の面々も巧い方が揃ってるので、安心してワクワクしながら見てます。それぞれの立場や思惑・感情で立ちまわってて、一筋縄ではいかない感じが楽しい。
・家盛が鏡夜先輩(笑)な大東駿介くん。アタリマエのことなんですが、全然異なるキャラクーを違和感なく演じてるのが妙に嬉しかったりしてます。
・西行(現:佐藤義清)と桜というベタっぷりが素晴らしい(笑)。まぁ西行といえば桜なんですが、あまりにもホントにベタにあ演出したのには潔さを感じました。
・アバンタイトルの頼朝と政子はどうにかならんのか?と思います。政子がちょっと無茶あるよなぁと思うのですよ。馬に乗るのは良いし、男ぶりな格好も良い。けど、祭祀に馬で駆けつけて平氏滅亡を告げるってのはちょっと違う気がする。あれで、萎える人も居る気がして勿体無いような…。政子を強引に登場させるのならば祭祀の場面じゃなく、館で頼朝と一緒に報告を聞く感じでも良かったのでは??
・千秋先輩な玉木宏な義朝は、意外にかっこよくてビックリ。元服前の覗き見については、どうよ!?セキュリティ対策はどうなってるのよ!?と突っ込んだ場面でしたが、元服後の清盛に対するアンチテーゼな役割はイイなぁと思うのです。

 視聴率が悪いと言われてますが、総合放映分で17-18%取ってたら十分じゃないのかな。多分、BSで観てる人も多いと思いますし(私もBSで視聴中)、土曜日の再放送で見る人も居るだろうし。NHKの実視聴率はホント分からないと思います。
 てか、このところ私が好んでみる大河は総じて数字が取れない気がしてなりません(苦笑)。何となくですが、華やかな時代から少しズレて、全勢力の全体像が分かり難くて、廃頽してる世界観であるがゆえに画面が汚くて、あまり有名じゃない俳優が主演で、とかだろ数字が取れないのかなと思ったり。に加えて、ドラマ中で解説してくれない(笑)。今回、アバンタイトルで説明がないのは英断だと評価してます。見てるうちに全体像がうっすら解って、なんとなく趨勢が見えるほうが物語に貼り込める気がするし、その方が絶対楽しいと思う。勿論、興味をいだいて関連本とか小説とかに手を出して、どうアレンジするか楽しむのも有り(笑)。
 ただ、数字が取れる=興味のない層が流行りに乗じてみる=わかりやすい内容=中味が薄いかも?(ベストセラーがこれ)と思うと、数字を気にせずこのまま突き進んで欲しいと願います。