2012年2月19日日曜日

U2『From The Sky Down』を観て

 昨年末にWOWOWで放映されたU2のドキュメンタリー映画『From The Sky Down』。ディレクターズカット版が発売されたので購入。
 ジャケットがLarryかBonoかの判断がつかなくなったのが、個人的に非常にショックでした…。だって、LarryとBonoじゃ男前さが桁違いなのに、それが分からなくなるなんて私の目がオカシクなったのかと(酷)。相方にも「大丈夫か?BonoんとLarryたんが分からなくなるなんて。まぁそれだけBonoんが格好いい証拠だがな!」と言われ、ショックも二倍に…。


 そんな与太話はさて置き『From The Sky Down』です。U2ファンには凄く嬉しい映画だろうし、嬉しい贈り物だろうなと思います。映像も綺麗だし相変わらずU2の映像は凝ってるなぁ凄いなぁと思える。が、然程サイバー三部作(でしたっけ?)に思い入れのない私にとっては、正直飽きました。いや、ホントにU2が好きで、BonoとThe Edgeが好きな人は良いんです。けどね、そうじゃない人にとっては…ごめんなさいな感じした。


 でそんな私が何でこれを上げてるかと言えば、タイトルになってる『From The Sky Down』に表現されるBonoの言葉に、観るまで抱えてたモヤモヤがスッキリさせられたからなんです。
 友人と久しぶりに会って話題になったのが、友人が好きなインディーズのアーティストさん達。学生時代からインディーズが好きな友人だったんで、それに違和感は無くて逆に相変わらず若いなぁと微笑まく聞いてたんです。が、あるインディーズのユニットについて、「その子(ボーカル)は自分の気持ちとか想いを沢山の人に届けたい、聞かせたい、知ってほしいってポリシーでやってるんだ。一度聴覚を失った時に、聴覚障害者には届かないんだと初めて思ったんだって。で、その時から聴覚が戻った現在も手話で歌詞を伝える手法をとってるんだよ」と話してくれました。
 それを聞いた瞬間、私の中でとても大きなモヤモヤが生まれました。なんだろう、彼女が「すごいよね!素晴らしいことだよね!」と賞賛してる相手と、何の違和感も抵抗感もなく手放して賞賛する友人其々にモヤっとしました。


 多分、一番最初に感じて尚且つ強く感じたモヤモヤは「傲慢さ」だったと思います。

 まず、「私の気持ちを多くの人に聞かせたい」ってところに引っかったんです。それってなんて押し付け?と。聞かせたい気持って、何?何故、私達があなた達の気持ちを聞かされなきゃいけないの?と。次に、聴覚障害者にも届けなきゃ!って…。物凄く上からだよね。音楽が健聴者だけものであると、歌詞がなければ伝わらないってどうして思えるの??それって余りにも傲慢じゃないのかと。
 音楽を奏でて、歌詞を重ねる事の素晴らしさは聞くだけの素人にだって理解します。けど、素人にだって「選ぶ」権利はあるんだってこと分かってる?それを無いものにして聞かせたい!から聞いてと傲慢さを全面に出されたら、悪いけどそれだけでプロの謙虚さを選択するよ、私は。

 そして、何の疑問も抱かないで「凄いでしょ。立派なポリシーだよね」と手放しで賞賛する友人。何処まで青いのかと思う私が居たりです。
 彼女はブランドでも音楽でもそこに「ポリシー」があれば好きになるそうです。凄く、青くて若いなぁとちょっと驚いた反面少し羨ましいものを感じました。友人を非難否定するつもりはないですが、やっぱり同じ年齢でも時を重ねるとこんなに異なった感覚になるんだぁと、改めて来し方を振り返ったりです。
 まぁ、売れてるブランドや音楽なんて、どんなポリシーも後付できるよ。インタビューも修正かけられるし、編集者の意図で180°違う表現になることもあるんだしさ…と思った私が黒くて歪んでるんだろうな、きっと(^^;;;。汚れた大人になるってやぁね☆


 で、このDVDでBonoの作曲作詞へのインタビューを観たんです。Bonoは「空から降りてくるんだ」と。彼の内に絶えず音が流れ、言葉が溢れ、それがバンドやプロデューサー達とのやり取りを通じて形になるんだと。これを聞いたとき凄くすっきりしたんです。恐らく、私たちはこれに引き寄せ魅せられるんだと。
 Bonoが語る姿は傲慢とは程遠く、音楽に対する謙虚さ敬虔さがあったのも驚きでした。世界一のバンドのフロントマンであるBonoですら、音楽の前には頭を垂れるんだと。
 私が愛してやまないMARIAHにもそれを感じます。どれだけ私生活が無茶であっても、彼女も「うた」の前では謙虚であり頭を垂れる人なのだと。てか、彼女の場合「うた」があるからこそキツイ時期を乗り越えられたとも思いますし(だったらもう少し自身の声を大切にしてくれとは1ファンとしては思うのですがね^^;;;。それはまた別の話ってことで)。
 自作はしてないものの、伝える事に関しては心底プロだと思うセリーヌ・ディオンやクリスティーナ・アギレラも同じ雰囲気を感じてます。


 世界中で認められる彼ら彼女たちが謙虚であるのは、音楽がどこから来るのか知ってるからなんでしょうきっと。自分達で制御したり、自分たちの「気持やポリシー」を伝える為ではなく、どこから来て見の内に宿り芽吹き表現された結果、何かが伝わると無意識に知ってるからじゃないのかと思います。


 最後にDVDの全体の感想。
 ・これはU2というより、BonoんとThe Edgeのドキュメンタリーだよね☆
 ・LarryたんとAdamたんは、少ない出演時間にもかかわらず男前且つグッとくるショットが多かったので許してしんぜよう!です(何様)。
 ・特に、Larryたんの少年青年時代の美しさったら!!!!ホントに眼福でござますです、はい。
 ・Adamたんは老けてからの方が渋みが増して素敵になってるを再確認できました。
 ・まぁAchtung Baby制作に関して、革新的なBonoん+The Edge組と保守というか面倒くさいから今まで通りでいいじゃんなLarryたん+Adamたん組になるは、予想通り過ぎて驚きがありません(笑)。
 ・Bonoんの作曲作詞は、思いつきに近いことが判明(違)。常に録音しておかないと同じフレーズが二度と出こないってのには呆然。それはプロとして一体どうなの?!と思ったり(笑)。
 ・その件については、Bonoの何かのインタビューで「同じ歌い方ができないんだ!」と偉そうに曰わってたので、大きな驚きが無かったのが少なからずショック(Bonoファンじゃないのに…ってことで)。
 ・Bono+The Edgeは、ホームズ+ワトソンな感じがしてならない今日この頃。
 ・特典映像はU2ファンではなく、Bonoファン用な気がしてならない…。
 ・ベルリンの録音スタジオがとても壮麗で素敵で見学したいとすら思いました。
 ・てか、多分前回&前々回のドイツ旅行でその周辺ウロウロしてると思いますorz
 ・ベルリンで訪ねた場所がガンガン映るので、3度目のベルリン旅行に行きたくなりました。どうしてくれるU2。
 ・ベルリンも行きたいけど、今一番行きたいのはロンドン(ってヲイ)。