2007年7月30日月曜日

突然のサッカー熱

 今まで全く日本代表戦には興味なく、W杯の代表の試合も相方のおつきあいで見る感じで、どちらかと言えば「日本代表なんて...」と思っていた方です。その理由は、「勝てる。強い」と根拠も無く書立て、負けても何の分析もなくただ個人攻撃に走るメディアと、それに何の躊躇いも無く、疑問を抱く事無く乗っかる一部サポ、そしてそれらに作られた虚像を実力だと勘違いしてないかい?と感じた一部選手の存在です(Jリーグ発足時からあった、その傾向にうんざりしてました)。

 なのに、オシム体制になってからの代表戦は欠かさず積極的に視聴し、残念な結果に終わったアジア杯も試合内容や結果に一喜一憂し、試合終了後は年季の入ったサッカーファンの相方に戦況分析の講義を受けるほど嵌ってました。
 態度が一変した理由はただ一つ、オシム監督の存在です。

 昨年の監督就任時からのファンなので、正真正銘の「俄ファン」です。就任会見時の映像で、なんとなく前任者とは違って面白そうな爺様と思ったのが契機。そして、お約束の『オシムの言葉 ー フィールド向こうに人生が見える』(木村元彦/著)を読んで、すっかり嵌りました。
 それ以降は、上でも書いたように代表の全試合を観て、Webで監督会見&談話を追いかける日々が続いています。
 特に、試合前後の会見が読んでて本当に楽しくてなりません。遣り取りや一言一句からあれやこれや「深読み」してみたり、表現の面白さや考え方の妙等を楽しんで読むという、かなり間違った楽しみ方をしています。

 オシム氏の何が好きで楽しいって、一言で言うならば「狸爺」っぷりです。
 細かく挙げるのならば、あの人を食ったようなけれど知性ある奥深い言葉。そして、全身から醸し出されてる知性や懐の深そうな、なのにどことなく剣呑で食えなさそうな雰囲気。時に見せる照れたような表情や、甘さ。そんな全てがツボです。そして何よりも、オシム氏になって「何をどうしたいのか」とか、「意図は何所なのか」と考えながら試合を見ることができ、結果試合自体が面白いと思えるようになったのは大きいです。
 選手起用にしても、試合運びにしても理論だっているというのか…、上手く表現できませんが何かしらの「意図」なりが伝わってくる様な気がして、非常に楽しいと感じています。
 
 また、観終わった後も感情的に終わる事ができず、「何所が良く、悪かったのか」「何故ああいう失点になったのか」「得点は何が起点で、どう動いたからなのか」という事を素人にも考えさせてくれるのは、本当に魅力です。
 勿論、失点されれば悔しいし、ゴールポストに嫌われたら「何でやねん?!」と思います。けれど、素人で俄だからかもしれませんが、それ以上に「考えさせてくれる楽しさ」の方が大きいように感じてます。

 また、オシム氏のメディアに対する姿勢も好きな要素の一つ。アジア杯カタール戦後のインタビューアーへの対応も、私自身は「語気がきつくなって当然やろ。あのインタビュアーが悪い」としか思いませんでした。それ以前もあの手の「どうでしたか?」系の質問に対しては、明確な理由があって回答されない姿勢を見せておられましたし(「貴方たちはどう思ったのか?」とか「質問の意図は何所にある?」と聞き返すのが常だったと思います)。
 なのにその後も毎回毎回飽きもせず同じ質問を繰り返すインタビュアーに、うんざりした表情で言葉をや表現を変えて同じ事をおっしゃるのがホント楽しくて仕方ありませんでした。
 そういう、メディアへの対応一つとっても「これまでとは違う」と思いますし、非常に好ましく感じてます。

 それに、選手の「勘違い」してる方が少なくて、インタビューなんかも気持ちよく見る事ができます。確かに、これまでの代表と比べると「地味」だとは思いますが、私にとっては非常に好ましく映っています。だから素直に「頑張れっ!」と応援できるし、彼らが成長してくれる事を願ってやみません。

 でアジア杯ですが、「課題」が見えたなって思いました。これからオシム氏がどういう代表作りをするのかが本当に楽しみなくらい、色んな課題が見えた気がします。
 今大会の結果が4位だった事で、またぞろ解任問題が喧しく言われるんでしょうが、W杯までは続投いただきたいと切望しています。

 実は、純粋なサッカーファンとは違った部分、又は激しく間違った方向でも楽しませてもらってたりしますし、私の為にも是非という非常に邪な思いも大きくあります(笑)。

 このアジア杯期間だけでも、
 ・ベトナム戦でBSの現地解説者だった山本さんが、試合前日オシム氏の話し相手になってた、と話題にされたそれだけで、我家では「山本さんはスタッフから人身御供に差し出されたに違いない!話し相手を求める御大の被害が選手に及ばないように、他のスタッフに泣き付かれたに違いない!」とネタになってました。
 と同時に私の中で山本氏(&オリンピック代表)の株は鰻上りになったのは、現金にも程があります(^^;;。
・うんざりした表情で、けどちゃんと質問者に答えるオシム氏。あのウンザリ顔が出て、インタビュアーの腰が引ける様子に相方と大笑いしてました。
・試合中に聞こえる「Abe!!」とか「Hanyu!」とか「Maki!」の指示。また彼らだよ...と呼ばれる(怒鳴られる)回数の多い人に同情してました。
・オーストラリア戦翌日の中澤のコメント、「あまりはしゃぐと大きい人に怒られますから」。大きい人、という表現がやたらツボで、その後我家ではオシム氏のことを「大きい人」と呼ぶようになりました。
・某ブロクコメントで見かけた「ツンデレ爺さん」が、何て適切で素晴しいネーミングなんだとツボに入りました。
・そんなこんなでアジア杯でオシム氏のことを我家では気分に応じて、大きい人、ツンデレ爺さん、狸爺さん、御大等と呼ぶようになりました。
と日々ネタは尽きることがありませんでした。

 真面目な話、オシム氏率いる日本代表がどう変化して、何所まで行くのか楽しみでなりません。また、オシム氏の健康含め、残る3年の任期を無事全うしてくださることを願っています。