2012年12月9日日曜日

映画『007 スカイフォール』雑感

某所にて12/9公開、1/1転記。

 最初に何点かお断りしておきます。というの、この作品は『007』50周年記念的な意味がある。その上、『007』という作品はこれまで積み重ねきた歴史があり、シリーズを通して愛されてきた作品であることを思うと、私の雑感がとてもズレたものであり、この作品を愛してらっしゃる方に失礼じゃないのかと思ったりするからです。
 ただ、それでも備忘録として雑感を残したいと思ったので、書き散らします。なので先にこういう初心者が観た感想です、というのを書いておきます。それでも良いと思われる方は、思いっきりズレてる上にネタバレ満載の感想ですがご笑覧ください。
 
 まず、『007』シリーズを劇場で見るのは初めてです。過去作品のいくつかは、TV放映時に観た記憶があるかなぁという程度。次に、『007』のお約束事(派手な最新武器、Mの存在、無茶な改造車、美しい女性が絡む等)は辛うじて知ってる感じ。そして、ボンド役がどれだけ大きなものなのかもなんとか理解してるかも?な程度です。 

 そんな超が付く初心者が今回なぜ劇場で観たかと言いますと、ジュディ・デンチのMが最後と知ったからです。それが一番の理由でした。
 その他には、悪役がやたら魅力的だとか、レイフ・ファインズが出るとか、予告で見たQがやたら可愛かったとかもあります。とは言え、Mの登場場面は彼女だけを目で追ってたくらい、ジュディ・デンチのMが堪らなく好きです(てか単純にジュディ・デンチが好き)。そのため、非常に偏った感想になってます。

 私が『007 スカイフォール』に抱いた一番大きな印象は、これはMの最後(期)を描くための作品、ということでした。恐らくきっと製作意図とは違うと思います。シリーズのファンの方にも「ばかじゃないの」と言われそうな印象のは分かってます。けど、Mを観に行った私がすごく満足したのは、そういう場面でした。

 世代交代、時代の変遷によって引退を勧告されるM。新長官のマロニー(レイフ・ファインズ)から自身の失策を指摘され、美しく潔く身を引くことを言われ、引き際は私が知ってる、このタミイミングはそれではない、職務(職責)を全うしてから去ると静かに強く語るM(台詞はうろ覚えですが^^;;)。この場面、すごく凄く好きなんです。Mが権力に汲々としてるのでなく、自ら背負うべき「責務」「役割」に自らを捧げるのが見えて、ただひたすらに格好いいんです。この場面、決して声高ではありません。ごく普通に行われてるであろう単なる事務連絡業務な場面。なのに、Mの僅かな焦り、苛立、新世代への嘲り、強烈な自負、語られなかったであろう多くの罪、エージェントへの思いなんかが漂ってる気がした場面でした。
 そのMと対峙し、柔らかく強硬に引退を勧める(てかあれは強制だよな)マロニーなレイフ・ファインズがこれまた良いんです!!言葉は丁寧なのに、底にある「老兵は去る時期」的な侮りや、Mの失策を暗に責めるやりかたとか…。二人の視線、表情、声、テンポで伝わる見事さでした。

 初盤に描かれたMとマロニーが見せた「何か」は物語の最後まで、底に流れた気がします。例えば、審問の場面もそう。人を使った諜報活動を否定する若い大臣に対して、貴方達は世界を知らないと言い切る姿。そこでテニソンの詩をMなジュディ・デンチに朗唱させ、ボンドのアクションを被せるって!!!もう、すみません、心でキャーキャー言ってました。てか、劇場で凄く幸せでした。あの瞬間、あぁこれはジュディ・デンチのMのための映画だと確信したくらい、Mなジュディ・デンチの独壇場だったと思います。

 Mなジュディ・デンチについて書き始めると、多分延々終わらない気がします(笑)。目線とか表情とか姿勢とか声とかテンポなんかを一々チェックして、Mの心情や心理、表現したいことを考えてみたくなるくらいなんですもの!!!
 そういう意味では、マロニー役のレイフ・ファインズとラウル・シルヴァ役のハビエル・バルデムも同じです。特に、ラウル・シルヴァ役のハビエル・バルデムときたら!!名前は存じ上げてましたが、これほど魅力的で見事だとは。この方が出てた場面も全部好きです。格好いいのでないんですが、目が離せない、気になって仕方ない、意図を考えたくなりました。
 DVDはこの人達の為だけに買うのかもしれない…。

以下激しくずれてる箇条書き雑感。
・最初にこれだけは言わせてください。
 Mがヒロインだった!!!!!てかMこそ今作のボンドガールだった

・冒頭15分のアクション場面は、スピード感緊張感があって非常に見応えがありました。
・あれで一般人が巻き込まれてないってのが凄いわ…。
・イブとMの実況中継的なやり取りに笑ってしまいまいした。テンポが良い会話って良いよなぁ。
・イブ役のナオミ・ハリスが好みで嬉しい限りでした(笑)。
・冒頭からOPの流れが美しかった。
・Mを「Ma'am.」呼びしてるのが凄く萌えました。確か、『Queen』でも女王のことを「Ma'am.」って呼んでたよね??MってMa'amのMか??とか無知さを全開にウロウロしつつ、ジュディ・デンチのMが「Ma'am.」と呼ばれる度にぴったし!素敵!!とか思ってた馬鹿者です。
・酒に溺れてウダウダしてるボンドが可愛いかったなぁ。やさぐれてるのも違って、なんか落ち込んでるワンコっぽくて頭を撫でたくなりました。
・ハッキングでMの顔に王冠な画。あぁそうだよなこの方、幾度も女王役されてるもんなぁと明後日方向にい思考が行きました。てか、私がジュディ・デンチを初めて意識したのが恥ずかしながら『恋に落ちたシェイクスピア』です。どんだけ俄なのかと…。
・殉職者の棺を前に佇むMが真剣美しいと思いました。ジュディ・デンチって小さい方だと思うんですが、とても大きく感じます。
・ボンド復活 @M自宅。ここの二人のやり取りも好きです。距離感がありそうで、絶対的な信頼がある感じ。Mがボンドを追い出す台詞も好きだなぁ(笑)。私は結構クスクスさせてもらった場面でした。
・ボンドの復帰テスト。心理テストでMを「クソババア」と即効言い切ったボンドが好きかもです(笑)
・Mの執務机にユニオンジャックを纏ったワンコな置物が!!これか、界隈で言われたのは!と心で膝打ち。TTSSでコントロールの執務机の後ろにも似た置物があったとか。そうか、英国諜報機関TOPの執務室には必須なのか!と(笑)
・Qっ!!!予想以上にヘタレ感たっぷりなのに超絶高いプライド満載で可愛いじゃないか!!!どうしたことか、Qっ!!可愛いぞ!!と隅っこで萌えそうになってました(笑)。ベン・ウィショー君の華奢さとメガネが可愛かったと思います。
・申し訳ありませんが、私には上海とマカオの場面に必然性が一切わかりませんでした。
・加えて、ボンドガールであったであろうセブリンの役割が全く分からなくてですね…。確かに、『007』にはボンドガールが必要でお色気が必要なのは知ってます。が、今回それに拘る必要があったのかと…。失礼ながら、上海とマカオの場面は少々眠気を誘われましてですね…。無くてもラウル・シルヴァと会わすことはできたんじゃないのかと…。すみません、『007』の根底を否定することを言ってますよね…。
・軍艦島!!外観だけを使ったと聞いてた場面はここかと。
・ラウル・シルヴァが登場してからは、非常に見応えがありました。言葉と表情の裏を読みたくなるキャラクターと役者さん!!素晴らしいとしか言えません。
・ボンドを尋問(??)してる場面…。胡散臭いと思ったのは私だけ??私の目が腐ってるからそう見えたのか???
・その後の賭け。字幕では「"上位"を賭けよう」になってた箇所。それって…。そういう意味でとってもいいですよね…てかその意味も掛けてますよね?!?と無駄に思考がオロオロしたです。すみません、腐りきってまして…。
・てか、あそこでボンドガールが居なくなるとはビックリだった。だったら、上海とマカオの場面は(以下略
・シルヴァとMとの対面。いやぁもう、思慕なのか復讐なのか愛なのか憎しみなのかなんだかわからないけど、シルヴァがMに焦がれてたのが痛いほど伝わってきました。
・本名を呼んでくれと訴えるシルヴァの姿が…。どれだけMに認められたくて、Mを想ってて、それで傷ついてとか思うと悲しくなりました。こういう深みのある悪役っていいよなぁ。
・それを受け止めつつ拒否るMがね…。瞬間、過去に戻ったかのような空気や怯えるような視線と眼の色。過去と現在が瞬間同じ空間にあった感じというのか…。それでも失わない矜持。いやぁほんとにジュディ・デンチが大好きです。
・Qが全く役たってなかった地下鉄追跡劇(笑)。ここのQとボンドのやり取りはユーモアたっぷりで好きでした。なんかもうクスクスするしかないって感じで。
・てかQ…全てにおいてタイミング遅すぎだよ(^^;;。
・審問場面での銃撃戦。レイフ・ファインズ!!!!しかありません。カッケー!!
・Mがアクション!!ジュディ・デンチが!!と明後日方向にも萌えさせていただきました。今回、ホントMに萌えまくり…。
・Mを誘拐する(違)ボンド。車内の胡乱な二人の会話が楽しすぎてさっ!
・アストン・マーチン、キタッ!とボンドシリーズ知らないくせに思った次第。
・Qが撒餌ってる。少しだけ大丈夫か?Qとヒヤヒヤしたのは内緒。
・すべてを引っ被ろうとするマロニーさんが格好いいやらで、レイフ・ファインズが格好よすぎてクラクラしてました。
・キンケイドがよろしくて、思わずWikiったらアルバート・フィニーさんで凄い経歴の方だったんですね…。そりゃ、ジュディ・デンチと一緒にいてしっくりくるわ…と改めて納得した次第。UKってホント吃驚するくらい、老若男女問わず素晴らしい役者さんが多いですよね。
・Mの秘書であるタナー役のロリー・キニアも地味ながらいいなぁと。決して目立つ感じではなかったのですが、実直さと誠実さ、有能さをきちんと見えてMの秘書として存在されてたなぁと見てて満足してました。
・スカイフォールでの戦闘。Mとキンケイドの戦いっぷりに萌える燃える(笑)。Mがチマチマと簡易爆弾(なのかな)を作ってる姿に萌え、銃撃戦で隠れる姿に萌え、銃を打つ場面に萌えまくりでした。何かが間違ってると思いますが、私的に正しい鑑賞方法です(断言)。
・シルヴァとM。Mが傷ついてることに憤り、共に同じ弾で死のうと縋るシルヴァ。マザコンと書かれた映画評も見ましたが、あれは単なる「マザコン」じゃないと私は思いました。どちらかというと、Mを神聖視してる様な気がします。間違ってるとは思うけど、Mがシルヴァにとっての「神」だったんじゃないのかとか。エージェントとしての己を作られ、裏切られ、それでも切り捨てられず、縋ってまう。Mとシルヴァの関係性が凄く興味深くて仕方ないです。
・シルヴァはMを傷つけたくなかった、ってのが凄く刺さりました。恐らく、彼にとってほんとに心から大切で守りたかった人なんだろうなと思いました。
・ボンドがシルヴァを殺した瞬間。すみません。ボンド、邪魔してやるな!!!と真剣思った私です(苦笑)。この時点で『007』を見る意味って…と我に返りました。
・シルヴァが望む通りにしてやって欲しかった…。

・もしかしたら、全然噂レベルですが。次回の『007』の悪役でベネディクト出るかもなんですよね????もしそうだったら絶っ対劇場に足運びますよ!!魅力的な悪役って美味しいですもの!!!


< 某所にて12/20 21:42 追記 >
 書き忘れてたことを思い出しました。大したこと無いんですけどね(^^;;。

 マカオのカジノ内にコモドドラゴンが居るのを見て、UKじゃ何かコモドドラゴンは流行りなのか?!と思いました。そして、動くコモドドラゴンを見ながら、この動きがこれがスマウグに活かされてしまうのか?!えぇ?!!それは一体どうよ?!ベネディクト…参考にするならもう少し違った爬虫類にして欲しかったよ…と全く違う作品に思考が飛びました。それだけインパクトあった場面でした。コモドドラゴン…。