2005年8月8日月曜日

『Last 5 Years』 大阪公演

 兎にも角にも、山本君に完敗です(って何/笑)。
 先ず、彼が舞台に出た瞬間、場が華やかになるその存在感と空気感に惹きつけられました。そして、単に「歌う」のではなく「『台詞』を音楽に乗せてる」と言ったら良いのか、彼の「歌」は彼の「言葉」だとすんなり受け入れられる表現力の凄さというのか、どう表現して良いのか判らないんですが(苦笑)。単に「巧い」んではなく「言葉(台詞)」が音に乗ってる心地良さがありました。
 また、身体表現の素晴らしい事!!ちょっとした動きで感情が分かるんです!!ホントいい役者さんだな〜と思いました。
 山本耕史という役者が持つあらゆる「力」をひしひしと感じた90分でした。
 結論としては、山本君の一人勝だわってことです(笑)

以下 色々思ったことをつらつらと。

 実は、ミュージカルにはあまり馴染みが無く、見た作品も2−3作とかなり少ない。しかも、4年前の劇団四季『美女と野獣』が近々というお粗末さです(『オケピ! 2003』は私の中ではミュージカルの範疇に入ってません^^;;)。
 そんな私が今回の作品を観に行った理由は、歌だけで互いに逆行する時の流れをどう見せるんだろうか、あの山本君が「やりたい」と思ったミュージカルってどんなのだろう、というものでした。

 まず前者に関しては、時間を逆行させることで真逆の色合い(出会いと別れ→別れと出会い)を同時に存在させる。そのコントラストが、二人の感情の流れや愛情そして埋められない溝なんかを浮かび上がらせていたように感じました。そして、音楽も出会いと別れでは曲調が変わっていて、彼らの感情が存在している「時」が想像以上に分かり易く、音楽のもつ力なりを改めて感じることができました。
 また歌だけではなく、照明の力も大きかったように思います(時間軸事に色分けされてたんじゃないのかと)。

 で後者。
 恐らく英語でもっと小さい小屋で見ると違うんだろうな・・・とは思いました。時間に対するアプローチとか、男女間の感情違いとか、天才と凡人との埋められない何かとかが巧く絡み合って面白い作品だとは思います。現地でこの作品をそのまま受け止めた山本君の衝撃も分かる気がします(面白い作品だし、曲も大層良いと思う)。
 ただ如何せん、「日本語」若しくは「翻訳」の限界ってのを感じてしまって(^^;;
 門外漢なのでよく分かってませんが、英語と日本語では音の乗せ方が違うんだろうなと。英語で音を刻める部分が日本語では出来ないんだろうな・・と思うんです(単純に「音」の問題だと思います)。だから、勢いやリズムといった部分でどうしても無理をしがちになってる気がして、聞き取り難かったり意味を掴みかねる部分が多少あったんですよね〜。
(カーテンコールで山本君が歌った英語Verの方がしっくりきたので、余計にそう感じたのかもしれません)

 会場についてなんですが、この作品に「梅田芸術劇場 メインホール」は大きすぎたような気がします。作品に合う器の大きさってあるな、と今回初めて感じました。恐らくもっと小さい器で役者と観客の距離が近い方がこの作品には合うんじゃないかと。それだけ観客が役に親和性を感じらる作品で、また普通のお芝居で見せられる作品なんだと思うんです。また、山本君も細かな表現していたと思うし、そういった部分を多くの方が見れるような大きさだと良かったな〜とちょっと感じました。

 音楽ですが。大層好きな音楽でした!!出来れば英語Ver(山本君の歌で/笑)を是非聞いてみたいです。
その中でお気に入りの曲を2-3挙げてみたいと思います。
・Shiksa Song
 ジェイミーがキャサリンと出会った時の歌。明るくて飛び跳ねていて憂いも何も無い、ただ未来と今を言祝ぐ感じがあって楽しい曲でした。この時の山本君の表情は輝いていて、ダンス(なのか??)も軽やかで思わず笑みを誘われました。
・Moving Too Fast
 これも勢いのある曲。全てが巧くいって波に乗ってる感じが良いな〜と。
・The Schmuel Song
 ジェイミーの短編小説を歌った曲。一番好きな曲です。
 ここの山本君はホント素晴らしいですよ!!この子ホントに歌が好きで楽しんでるわ〜と実感させてくれました。実はこの曲は歌詞が好きなんです。ジェイミーの才能を感じる内容でもあるんですが、それ以上に止まらない「時」が気まぐれに老人に与えた「無限の時」の美しさと儚さが切なくて・・・そして最後にジェイミーがキャサリンへ抱いている「想い」に結びつくのが好きな理由かと。

 話に関してですが、男女どちらに感情を近づけられたかといえば、舞台上での説得力でどちらかといえばジェイミーサイドでした。キャサリンの焦りや苛立ち嫉妬のほうがより近いはずなんですけどね〜(身も蓋も無い言い方をすればジェイミーは、所謂「勝ち組」だし^^;;)。
 また何処にでもある、誰でも経験しそうな普通の話なので、色々な見方感じ方が出来る作品だろうなと思います。溝が生まれて互いに埋められない辛さとか、一方は諦めてしまってるのにもう一方はその現実が見えずに「過去」に縋り付くような辛さや痛さを感じてしまいまた。互いの時間が交差する唯一の場面すら、どうしようもなく切なく感じました。

 実は、開演時間をまるまる1時間間違えてたことを出発直前に気付いた大馬鹿者です^^;;。珍しくゆとりを持って準備していたので、なんとか開演15分前には会場に着いたんですが・・・
 それでもかなり焦った道行きでございました(笑)

 最後に全く本筋とは関係ない話を。
 ジェイミーが使ってたのがiBook(Power Bookかとも思ったんですが、1階席中ほどから見えた色が白っぽかったのでそうじゃないかと・・・)だったのが非常にツボでした。やっぱあの林檎マークは目立つな〜とひそかににんまりしておりました。