2016年11月5日土曜日

『ドクター・ストレンジ』先行試写会雑感

 11/4の『ドクター・ストレンジ』最速試写会に先輩が当てられて、日々騒いでいる私をかわいそうに思って誘ってくださったので図々しくもご厚意に甘えてご一緒してきました^^

 最速試写会ということで100人規模のスクリーンで2D字幕の上映でした。客電が点いた瞬間「これは画面が大きくて音のいいIMAX3Dで観たい!! これ2Dは勿体無い!! ベネディクト…最高!!!」と同じ感想を漏らしました。
 欧米の試写及び公開後に出てきたレビューの多くがベネディクトの演技と映像に関することに集中していたのが漸く納得。確かに、映像は観てる側(2Dであっても!)の常識や感覚を揺さぶるくらい驚異的だし、公開前に類似性が指摘されていた『インセプション』とは異なるコンセプトとデザインの映像体験でした。ベネディクトがロンドンの15分試写で言った「マジックマッシュルームを食べて来たら〜」は本当にそうだと思います(笑) 
 ベネディクトのドクター・ストレンジに関しては、贔屓引き倒しになるかもなんですが…。完璧!! 人間味と可愛げと鬱屈と才能と孤独感と繊細さがある素晴らしさ。恐らくベネディクトの演技力と漏れ出る可愛さ純粋さがドクター・ストレンジを単なる「上から目線」(ほんとこのキャッチコピーどうなのかと...)のキャラクターでなく、才能と努力の結果手にした名声と内包している恐れから生まれた「傲慢さ」に見え、そりゃ制作陣がベネディクトを望んだの分かるし正解だわ…と心から納得しました。スティーブン・ストレンジの傲慢さが内包する孤独や愛情深さや善なる性質が時間経過と共に伝わり、彼が真のヒーローである事が自然と理解出来るのは偏にベネディクトの見事さに負う部分が大きいと思ったのでした。そして、ベネディクトが大作ヒーロー物の主演をこなんに堂々と張れるようなるとは、2011年夏にBSで『シャーロック』Ep.1を見たときには思いもしなかった…と妙な感慨にも浸ったくらい堂々たる主演でヒーローでした。
 
 肝心要の魔法については、こう理論付けて現実世界と繋げるのか!! と驚き感心しました。この辺は、他作品との兼ね合い含めきちんとなされてる感じだったなぁ。

 折角なのでイベントの感想も。
 セレクトスクリーン前でイベント的なものが行われていました。ドクター・ストレンジの等身大フィギュア(当日到着したばかりとか)の前で写真を撮って「#ドクター・ストレンジ」と付けてSNSで上げたものをその場でカードに印刷してくれるといもの。カードは記念になるし即時発行してくれるので勢いで楽しめるのが良かったような^^ ただ、匿名でSNSやってる身としては顔バレするから抵抗が若干ありました(なのでオープンにしてないけどオープンなSNSで対応しました^^;; 主催者側には一切メリットがないのが申し訳なくもあり…)。
 等身大フィギュアはね、ベネディクトってこんなに顔小さかったっけ??華奢だっけ???となったのは、ファンならではと思っていただけると(何を言い訳してるのか)。  
 




以下にマーベルに詳しくなく、初見で細部を覚えていない、ネタバレ含む雑感を。



・正直、作品としてはGotGやアントマンの方が出来が良い気がします。ヒーロー誕生が主題で、今後続いていく壮大な物語の導入部で、キャラクターと世界観とMCUとの関連性等の紹介な作品だから仕方ないし、その意味では2時間足らずで巧く纏めたなぁと思うのですが…。物語としては性急な分若干粗さを感じたし、キャラクターの立体感は役者の技術や力量に負ってる部分が大きいよなぁと思う部分が少なくもなく。
・この役者陣だから説得力生まれたよなとやっぱり反芻しても思うわけで。
・映像の力が非常に大きい作品でした。何もかも失って己の弱さ(傲慢さ名声や技術を失う恐れ)を知り、本来持っていた善なるモノに気付き気付かされ、世界の脆弱さを見て、立ち向かうことになる、というある意味単純なヒーロー誕生物語(確かに各シリーズの第一作目と比較されるわ)なんですよね。特に、『アイアンマン』の第一作とは被る方多いのは納得。それにもかかわらず他作品と違うと思わされるのは、感覚が狂うような映像と人を生かすことがアイデンティティーとなってるスティーブン・ストレンジの個性なんだろうな。だからこそ、各レビュで映像とベネディクトが絶賛されるんだと。

・よく分かってないのですが、『ドクター・ストレンジ』って、時間と空間がテーマなのかと。悠久の時と期限がある生命とを両極に置いて、時を操ることで空間をも任意に操作するような感じがしてね…。建物がぐにゃっと歪むのは、魔法というより認識を触ることで固定概念から脱却しより多くの空間へアクセスするという感じなのかなぁと。それが言葉や実体をもって行われてるって感じなのかと。

・マッツさんが勿体無かった(笑) ヒーロー作品ってどんな作品も大概敵対する役って美味しんだけど勿体無いのが多いから、きっとそういうものなんでしょうが^^;; にしても、ちょっと勿体無かった。

・ティルダさまは不老不死的な役がピッタリ過ぎて…。あの方にはついていきたくなるわなぁという説得力が半端無かったです。ホワイトウォッシュと言われていたけど、映像見たらティルダさましか居ないと思うんじゃなかろうかと。

・浮遊マントはかっこよかった! 浮遊マントとストレンジ先生だけのスピンオフ見せてください! と思ったくらい良いバディでした(笑)

・マーベル作品の面白さって、勧善懲悪にできそうな部分から視点をズラしてるところなんじゃなかろうかと。安直な二項対立でなく、二項の間に横たわってる溝とかグレーゾーンをしつこく描いて、観てる側にスッキリした回答を与えないから鑑賞後もあれこれ考えさせられる気がします。

本公開まで思い出したらこちらに追記していきたいと思います^^


< 2016.11.13 追記>
11/9に出た Benedict Cumberbatch's secret role in Doctor Strange revealed という記事で、ベネディクトがラスボス Dormammu (字幕がどうだったか忘れた^^;;)の表情と声を演じてるとありました。その理由が興味深くかったので引用します。
The reason for that was threefold," director Scott Derrickson told Empire. "One, Benedict suggested it. [Two], the awesomeness of his voice – he was Smaug, of course. [Three,] he understood exactly who Dormammu was. He's the ultimate cosmic narcissist. There was something great about the mirrored relationship between the two of them.
 翻訳なんざできないのでWeb翻訳の力を借りて雰囲気で把握すると、ベネディクトが演じたのには理由が3つあって、一つはベネディクト自ら提案したこと、次にベネディクトの声が素晴らしいこと(「彼はスマウグだ」っていのうがいいなぁ)、最後がストレンジとDormammu の間にある関係性(互いを反映させてる関係って意味なのかな?)。Dormammuとストレンジ先生が写し鏡的な関係なのかどうなのかは今は分かってないのですが、傲慢さと言葉で相手を支配しようとする部分が重なるのかな? 
 思い返せば、たしかにDormammuの声どっかで聞き覚えある気がしたんですよね^^;; だけど、まさかベネディクトだとは想像もしてなかったから驚きました。公開時にはそこも注視して見なくてはなりません(笑)