2016年11月27日日曜日

映画『ファンタスティック・ビースト』雑感

昨夜観た『ファンタスティック・ビースト』のネタバレ含む雑感を以下に。



 『ハリー・ポッター』シリーズは原作も映画も然程ファンでないので、シリーズとのしての繋がりやあの物語における魔法世界をよくしらないままの雑感です。

 まず、『ハリー・ポッター』シリーズについては、原作『賢者の石』を読んだ時に貴種流離譚になる予定なのが明らかで、主人公補正があからさまで、ふわりと漂う血統主義的な香り、なんかを感じたんです。『秘密の部屋』でその印象が変わるかと思ったのですが、然程変化もなくて…。まぁ英国の階級社会が根底にあるんだったら仕方ないと納得したものの、90年代後半になってこの世界観の物語は私にとって読まなくても良いかなと思ったのです。
 映画については、英国の名優たちが出演という煽り文句に乗せられたのと、『アズカバンの囚人』でゲイリー・オールドマン出演に惹かれて観に行きデビッド・シューリスにまんまと嵌り最後まで何やかんやと観た記憶があります。が、やっぱりハリーを中心とする主人公補正と血統主義的な空気が苦手で作品には嵌りませんでした。とは言え、あの作品が原作と映画ともに世界から好意的に受け入れられたことは素直に受け止めてるし、作品を大切に愛しく思ってる方たちは素敵だなぁと思ってます。あと、日本語訳が随分印象を左右してるのも理解してます(あの日本語訳が抱えてる問題は薄っすら把握してる^^;;)。

 でそんな斜め視点でしか『ハリー・ポッター』世界を観てなかった私が前日譚である『ファンタスティック・ビースト』を観に行ったのは偏にニュート役のエディ・レッドメインが楽しみだったからです(笑) 彼の微細で繊細に悲哀と愛嬌と愛情深さと酷薄さと光と影を見せる演技が好きなんです。あと、長くバランスのいい身体を計算されて美しさで動かす様も!!
 この部分では今作は満足できました。エディ・レッドメインの良さ、魅力、個性があってこそ成立した人物であり、そんなニュートの個性に支えられた作品であったと思います。

 と、唯一のノー・マジであるダン・フォグラー氏演じるジェイコブ・コワルスキー氏役が魅力的でした。違うようでどこか似てるニュートとジェイコブがバディとして動いている場面は、どれも楽しく魔法への恐れ畏敬憧れなんかを感じられたし、冒険ものとしての巧さを感じました。正直、シリーズ1作目なんだから全編このトーンで押してくれても良かったのに…と思わなくもなく。
 

 作品としては私には合わなかったです^^;;
 端折り過ぎなのか、シリーズ1作目ということで伏線を無理くりに貼ろうとして盛り込み過ぎたせいなのかは分かりませんが、とっちらかった印象しか残りませんでした。確かに、魔法動物たちは愛らしく神秘的で魅力的だったし、キャストも申し分なかった。けれど、そこかしこに「勿体無い…」とか「これはなんでこうなったの? 伏線あった???」とか引っかかる部分があった気がして。それは、『ハリー・ポッター』シリーズにも感じたのと似たような部分なのかもしれない気がして(兄弟間の確執とか闇の魔法使いの在り方とか力技感を含め)。ただ、そこら辺は嗜好の違いなので仕方ないのかなぁと。良いところも好きな場面も沢山あっただけに、物語を構成する幾つかの甘さが見えたのが勿体無かった気がした作品でした。

以下、まとまらない雑感を箇条書き。

・ニュートがジェイコブを信用して魔法動物たちを見せるい至る過程が見えず、唐突に感じました。確かに、ジェイコブの目の前にある現実を柔軟に受け入れ、特異な人物や出来事を否定しない個性は描かれていたし、ニュートにとっても人手が欲しかった状況だったのはわかります。が、人見知りで人に対して距離を置くタイプのニュートが出会って1日足らずのノー・マジに対してあそこまで心を開く何かがあっても良かったのと思わなくもなく。
・ニュートはグレイブスがグリンデンバルドといつ分かったの?? 尋問の場面でなのか?? とちょっとびっくりしました^^;; 併せて、グリンデンバルドがグレイブスであったならクリーデンスが強い魔法を持ってことを分からなかったのが解せなくて…。その辺の処理が甘い気がしてならず。
・エディはじめキャストは誠実に繊細に役として在ったと思うんです。だから、語られない部分を想像して落とし込めた場面(要素)も沢山ありました。それを感じるがゆえに、役者の力量でギリギリ物語が成立してるような印象が残ってしまったんですよね。ほんと勿体無いとしか…。
・ヘンリー・ショウ父息子、兄弟の挿話って今後関わってくるんだろうか? それとも思わせぶりに魔法会議(あれもどうなのかと思わなくもなく…)で突然語られたスキャマンダー兄弟の何かと裏表になる要素なんだろうか??
・ベアボーン一家のあの虐待云々は今後のシリーズに影響するのだろうか?? 今作だけの設定としたらう~ん…。
・『ホビット』でも思ったんですが、初めから複数シリーズを予定してまうと微妙に水増し感になる気がして…。あれはどうなんですかね^^;; (余談ですがLotRは原作が3部構成(9冊)だから複数シリーズで企画製作したことに違和感は無かったし、実際非常に密度の高い充実した作品でした。)

・『ファンタスティック・ビースト』シリーズはエディくんのニュートだけがレギュラーで、毎作脇を固めるキャラクターと場所が変わっていくのかな。そうだとしたら、それぞれの要素が巧くハマれば面白いシリーズになるような気がします。

最後はニフラー可愛いよ!! 可愛いよニフラー!! で締めたいと思います(笑)