2010年7月18日日曜日

新・三銃士 全話感想

12話から録り溜めしていた、NHK教育 人形劇『新・三銃士』を3日かけて視聴。
1話毎の感想は流石に無理なので、全話を観終わった感想というか与太を書いて行きたいと思います。

○お話
 前半の『首飾り事件』は、奇麗にまとめたなという印象です。欠けちゃいけない要素をきちんと納めつつ、三谷さんらしい要素をあちこちにちりばめ独自の世界観を見せてくれたのは、ホント流石としか言えませんです。
 後半の『ラ・ロシェルの攻防』は、まさか人形劇にこれを持ってくると予想してなかっただけにかなり吃驚しました(笑)。私もざっくりとした背景しかしらないんですが、『ラ・ロシェル』は宗教とか外交とか歴史とか色々ややこしのがあるんですよね。それをあんなにざっくりとややこしい部分は最小限にして、「戦い」として見せたのは凄いです。声高に「戦争の悲惨さ」を語ってはいないにも関わらず、効果的な言葉と登場人物の表情(動き)で「戦争」が与える「影」を見せてくれた事に鳥肌が立ちました。
 最終回については、強引に色々まとめたよなっ!と突っ込みました(笑)。40回という枠の中で、『三銃士』文庫本2冊を消化するのが無謀だったんだって、しかもダルとルイの成長物語も組み込んでるしさと生温い目で見てしまいました。
 あの強引な幕引きについては賛否両論あるだろうとは思います。が、私としてはまずまずの終わり方だったんじゃないかと納得してます。
 
 余談になりますが、04大河やこの作品の様な「戦い」を扱った三谷作品は、「死」や「戦い」の持つ本質的な怖さや陰惨さ窮屈な部分をきちんと見せてくれる様に感じます。決して軽いだけの脚本家ではないと、こういった作品を見る度に思ったりします。
 

○人形

 相変わらずキャラクター設定上手すぎ、ミタニン!で、どのキャラクターも魅力的でした。また、人形の造型が見事!!耽美で愛らしくて、ぶっちゃけキャラグッズ展開して欲しかったくらい素敵でした。
 声に関しても期待通りで外れが無く、感嘆しつつ萌えれたのは声優さんたちのお陰だと思います。この人形劇で江原さんの声に惚れました(笑)。また、操演も見事でそれぞれのキャラクターが生き生きと動いてたのは、ホント凄いと。人形に命を吹き込んだ、声の方と操演の方には惜しみない賛辞を捧げたいと思う次第です。

○個々のキャラと声について

・主人公なダルタニアン(もしくは谷やん)
 悩める主人公で三銃士を振り回す狂言回し的な役割を持ってた気がします。彼の若さ故の無謀さとか無鉄砲さや頑さは、清々しさすら覚えましたよ。ただ、最終回で銃士隊長になっちまうのは、如何なものかと(笑)。もう少し経験値上げた方が良く無いかい??とか思ったりしましたが、強引な幕引きとしてはあれしかなかったのかとも。
 声の池松君は、当初堅さがあったりして「大丈夫か?」と思ってましたが、話数が進むにつれて違和感がなくなった気がしてます。
 けど、谷やんはアニメでも映画でも原作でも好きじゃなくて(すみません)。今回もあまりこう積極的に萌えれなかったなぁと。これは、きっと私の好みの問題です(^^;;
 
・プランシェ
 お猿さんにされたんだ!と設定に大喜びしたキャラの1人(人なのか?!)。山寺さんのチーズちっくなお芝居や、お猿ならではの機動力を生かした脚本に大喜びさせてもらいました。

・コンスタンス
 ちゃんとボナシュー夫人な設定だったので、NHK的には大丈夫なのか?と危惧してましたが、全く不倫な雰囲気が無く良かったです。流石NHK(笑)。きっと、清楚で硬質な造形と貫地谷嬢の落ち着いた声のお陰かと。
 賢さ行動力、胆力は谷やん以上なんじゃないかと(笑)。非常に優秀な女性として描かれてたのが好印象でした。しかし、この子はその賢さ故に苦労しそうだよなぁと思ったりです。

 ・アトス
 容姿と発言に「原作のお貴族様で知恵のアトス」の面影が全く無く、前半は見る度に泣いてました(苦笑)。話が進むにつれて、高所恐怖症とか低血圧とか、弱点がこれでもかっとばかりに出てくるし...いい所は全部アラミスに持ってかれるし...。
 後半、それらを愛嬌だと思える様になったのは山寺さんのお陰です。山寺さんありがとう!
 ただ、ミレディとの関係は新機軸で嬉しい驚きでした。てか、あんな前半早々にあの二人が夫婦って明らかにされるとは思ってなくて、かなり吃驚したんですよ。しかも、率先して助けに行くわ、再プロポーズしちゃうわで、間違って無いけど何か原作アトスの「影」がすっかり無くなってるよなぁと遠い目をしたりしました。

 ・アラミス
 アニメでは女性にされちゃったアラミスですが、人形劇では一番美味しい役どころだった気がします。耽美な外見と二枚目な声、影のある設定等々、乙女の心鷲掴みですよ!しかも、奇麗な恋愛模様まで披露してくれたし。
 えぇこの人形劇で何に一番収穫だったかと言えば、アラミスとコンスタンスの恋愛模様。ホントこれに尽きます(笑)。あの二人が双んだ画の奇麗な事ったら、溜息ものでした。秘めたる恋ってのが、あの二人の外見に見事に嵌って、ドギマギさせてもらいましたです。ありがとうございました。
 江原正士さんの声がこれまた色っぽくて艶っぽくて、幸せでした。アニメに引き続き、容姿と声で惹かれたのがアラミスだったってのが、本当に吃驚です(苦笑)

 ・ポルトス
 大好き!ぷにぷにしたほっぺたと、丸い(むくんでる/笑)体型。ゆとりのある台詞と懐(包容力)。ホント可愛くて愛らしくて大好きですよ。中でも、序盤の桃太郎侍なポルちゃんは最高でした。格好良いくも間抜けなカメラワークと決め台詞、あれはホント白眉でした。結婚するなら絶対ポルちゃん!です(笑)。
 終盤の物言わないポルトスは、ちょっと強引だよなとか『Wall-e』を観た後じゃちょっとな、とか非常に意地悪く観ちゃってました。が、あの物語で「戦争」を語る上では必要であったとは認識してます。アラポルが「戦い」の影を表現したのは、上手いと思うし、ああいう形で「見せた」ことは評価してます。
 高木渉さんの声とお名前はこれで初めて知りましたが、ジャック・ブラックの吹替えされてたと知り膝を打ちました。軽妙かつ嫌みの無い声がとても好みで、今後ちょっと気にしてみたい声優さんになりました(今更ですみません^^;;)。
 
 ・ミレディ&ケイティ
 ミレディが単なる悪女ではなく、可愛らしさやか弱さをもった女性として描かれていたのは三谷らしいなぁと。そのお陰で、「悪いやっちゃなぁ」と苦笑しつつ彼女の活躍を心から楽しみつつ観る事ができました。特に、男性陣を翻弄する姿は、「いい女だよね〜。これは騙されるのも仕方ないよねぇ。」と同性ながらうっとりしちゃったりもしました(笑)。
 声に関しては、戸田さん面目躍如!としか言えませんて(笑)。これは一体どこ方面に対するご褒美?!と、叫びたくなる様な楽しさでした。と悪女、聖女、少女、老女等々戸田さんの声を聞いてきた世代にとっては、素晴らしく楽しい時間だったのは言うまでもありません。
 余談に成りますが、ミレディ×アトス、ミレディ×ロシュフォール又はケイティ×プランシェを観る度に「おぉぉ!!あんぱんマンとチーズだぜ!」と明後日方向で盛り上がりました(笑)。

 ・国王&王妃
 ルイの造形は本当にツボでツボで、この子のストラップ化希望!と職場で言い倒して、生温い目で見られてました。山寺さんの無駄にアホの子っぽい声にも萌えまくり(笑)。兎に角、歴史とか原作とえらく違うとか、王妃の不倫を知ってようが、傀儡だと解ってようが、そんな背景や細かい(のか?!)部分はすっとばして、可愛いくて可愛くて仕方ないキャラでした。可愛いよ、ルイ!!
 逆に王妃は、割合原作&歴史準拠な役回りだったので違和感無く美しさと、恋愛体質なお馬鹿加減を楽しませてもらいました。キャラ造形も非常に耽美だったし、文句ございませんです。ただ瀬戸カトちゃんがここまで上手くできるのか!と驚いたのは事実です。
 某所でも言われてましたが、アンヌ王妃ってフランスの為になってないよなぁと改めて実感。確かに、スペインの国益のた為に派遣されたし良いんだけど、ぶっちゃけどうよ?首飾り事件は?!と思わなくも無く。ある意味、トラブルメーカーなんだよなとも初めて思った次第です。

 ・猊下&ロシュフォール伯
 猊下については、立派な宰相なのに....ブルボン王朝繁栄の基礎を作られた方なのに、こんなダンゴムシにされしまって(涙)としか言えません。とは言え、物語の悪役としては非常に魅力たっぷりな小物っぷりで大好きでした。一応、王妃に対する秘めた恋心っていう与太も組み込んでもらえたし、満足ではあります。
 ロ伯は、耽美極まる造形と山寺さんの低音声にやられまくりでした。あの低音は乙女の心をトロトロにしてしまいますよ。そういった意味ではある種の犯罪だと思いますです(←馬鹿)。
 キャラ的には、色々美味しかったと。吊るされてみたり、騙されてみたり、最後の落しどころだったりと。

 ・バッキンガム公爵&パトリック
 バッキンが意外にまともだったので吃驚。この方は、史実通りにしちゃうと色々問題有るんだろうな等大人の事情を理解しつつも、「こんな真っ当な(一応出来る)宰相っぷりはどうよ、バッキン」と突っ込みまくり。最後の落ちがああだったんで、ヘタレバッキン万歳な私としては、溜飲が下がっりました(ってどうよ、それは)。
 パトリックさんについては、アニメでは紅顔の美少年だったような(それはそれでバッキンの趣味だと理解^^;;)。なのに、田中邦衛さんちっくな出来るおじさんだったので、ちょっと吃驚でした。しかし、ミタニンはホント田中邦衛さん好きだよね〜と明後日方向でしみじみいたしました。

 ・ボナシュー
 一番美味しいキャラクターだったんじゃなかろうか、と。正直、最後は谷やん以上に存在感有ったし、活躍したよなと思わなくも無いです(笑)。冒険活劇はこの人の為にある言葉だと真剣思います。
 しかし、ボナシューとバッキンが同じ高木さんだとは、信じられませんです、はい。

○その他雑感
 同じ声優さんで何役もこなされてるとは思えないくらい、それぞれ個性的で魅力的でした。また、同じ声優さんが演じてるキャラが複数出て、会話する度に「混沌としとるなぁ^^;;」と楽しい味わい方もする事ができました。
 そんな中で一番吃驚したのは、エンディングを各キャラが歌った回。鳥肌が立つくらい凄かったです!声だけじゃなく、歌い方まで変えてらっしゃって、なんかプロの凄さを見せてもらいました。第一線級のプロって本当に何か偉大です。だた、主役(谷やん&コンス)が殆ど出番が無かったのには、ちょっと笑いました。が、あの面子だったら仕方ないよなぁと納得です。

 人形劇出演おめでとう、ミタニン&爆笑問題(特に太田さん/笑)。ミタニンについては、ホント好きだねぇ奥様に呆れられてないかい?(苦笑)な感じで、半ば慣れっこになってる自分が嫌です(苦笑)。爆笑問題のお二人については、役回り的に有りだなと。太田さんについては、番宣であんだけ人形劇好きを宣言されたら、ミタニンもNHKも出すだろうし、良かったね太田さんと言いたい気持ちで一杯でした(笑)。

 個人的には、アラコンの秘めたる恋模様をもう少し掘り下げて欲しかったです。きっと、美しい恋物語になったろうに。これについては、脳内及びWeb(二次創作)で補完しようと考え中です。
 
 とにもかくにも、三谷幸喜×NHK人形劇が無事大円団を迎えたことに感謝したいと思いますです。ありがとう!!