2005年10月20日木曜日

『チャーリーとチョコレート工場』感想

 わんこ手術待ち時間に母と観た映画です(酷い飼主・・・)。私が物凄く観たくて、当日母を口説き落とし2月振りの映画鑑賞でした。しかも、平日昼間且つ母連れの為、日本語吹き替え版の鑑賞というのは、1年半振の状況という(^^;;

 先ずは結論。
 自腹を切って、母の分を持ち出しても充分元が取れた映画です(なんつう結論^^;;)。
 原作は恥ずかしながら未読で、映画との比較はできないのが物凄く勿体ないと思った映画です(先に原作を読み込んでたらもっと面白かったんじゃなかろうか、と思う)。

 計算された映像の美しさに圧倒されました。
 冒頭のチョコレート製造場面の滑らかさや美しさや美味しそうな様に、そして出荷の場面に見られるシンメトリックな映像に一瞬にして心奪われました。なんて計算してきちんと作ってる映像なんだろうと!!、鳥肌が立つほど魅了されました。
 勿論、工場内のおもちゃ箱をひっくり返したような色彩や、病的なほど清潔感のある研究所内も、近未来的な表現も、徹底して創りこまれていて、楽しいことこの上なく。

 当然話も面白く、メリハリがきちんとあり、尚且つ所々に皮肉が利いてる。至極真っ当な正当なファンタジーだった事が、何より嬉しくて心地良さを覚えました。
 ちょっと横道に逸れますが、私、美しく奇想天外で幻想的でお綺麗なだけの話はどれだけ「ファンタジー」と冠されていても、「ファンタジー」じゃ無いと思ってます。私にとっての「ファンタジー」は、きちんと世界設定が成されていて、闇や怖さが描かれ、現実社会とどこかで交わりつつも其処には斜に構えた視点がある話だったりします(例:『はてしない物語』『モモ』『指輪物語』等々)。

 登場人物がこれまた個性的且つチャーリーの家族とウォンカ家を除いてはどこかに居そうな程現実的だと感じました。確かに、一癖も二癖も三癖もあって近くに居たらストレスが溜まりそうな(ヲイ)お子様と保護者と工場長なんですが、誰一人憎め無い人物として描かれていたように感じます。多かれ少なかれ誰にでも当てはまるような個性だからこそ、オイオイ・・・と苦笑しながら少し自戒しつつ穏やかに見れるんだと思ったりしました。
 そんな中で主役であるチャーリー君の素直さが、ホント際だって際立っておりました。役者君の醸し出す雰囲気も加味されてか、本当に素直で子供らしい子供な姿に心癒されました(笑)。いや、チャーリー君だけなく彼の家族にもかなり心癒されてましたが(特にご老人4人衆は素晴らしい!!!!)

 更に期待のジョニー・デップのウォンカ氏についてなんですが、 彼が持つであろう空洞や孤独がヒシヒシと感じられました。彼の特化された「才能」と良くも悪くも「子供のまま」な様子に、ある種の怖さと痛々しいとすら思いました。特に彼が「大人言葉」を「紙を見てしか言えな」かったり、口にできないその言葉達を口にしようとしたり(言葉が詰まる様子が痛々しかったんです)する場面にそれを強く感じたんです。
家族が大切とかそういった単純な命題ではなく、傷ついた事で閉じこもるだけは無く、その傷をどうやって次のステップにするのか、また自らが本当に欲する「何か」を自らの手で掴んだ時に始めて人は成長できるんじゃないのか、そんな事を彼を見ていて感じました(曖昧模糊とした表現ですが^^;;)

音楽。
いや〜素晴らしい(笑)の一言でございます。
特筆すべきはウンパルンパの歌と踊り!!!!すっかりツボに嵌りましたです。

DVD出たらきっと買うと思います(笑)

細かな感想をあれこれ箇条書きで。
・ナッツ選別の栗鼠!!!!!欲しいです。(こんな事言ってたら、穴に落とされるな。いや彼らに囲まれて引き摺られるなら本望かも/苦笑)
・小首かしげてナッツの選別してる栗鼠達。鑑賞中にも関わらず「激っ可愛っっ!!!」とジタバタしそうになりました。
・色んな映画のパロに、ウキウキしてしまいました。中でも一番受けた(え!?)のは『2001年宇宙の旅』でございました(隣の青年も大笑いしてました)。R.シュトラウスの交響詩≪ツァラトゥストラかく語りき≫〜序奏 は凄いな〜と改めて。
・サルマン(違)クリストファー・リー様の歯医者さん!!!!!!診て頂きたいけれど、ちょっと怖い・・・
・えっと、すみません。氏が出てくるたびに「リー様っっ!!!リー様の歯医者さんっっ!!」と小声で大騒ぎしておりました(_;;;

2005年10月13日木曜日

わんこ 手術する


 先週末にわんこが避妊手術をしました(日本語がおかしい)。

 避妊手術をするかどうかに関しては、「女の子」を飼うと決めて以来家族で幾度も話し合い、動物病院の先生にもメリット・デメリット等々の意見を伺う等して、「手術」が飼い主と彼女にとってより「better」だと判断し施術に踏み切りました。

 手術が「Best」である言い切れないのは、やはり健康体を傷つける事で生じるかもしれない何かへの不安や、「人間」の判断で「生き物」が本来持つ繁殖能力を無くしてしまうことへの違和感、手術に対する不安等々が根底にあるからです。特に「人」の生活に合わせて、「人の手」によって本来持つ機能を無くしてしまうのが果たして是なのかと思うと、積極的に「是」とは言いきれないなと思うんです。
 また獣医師からもメリット・デメリット以外にも「本当に避妊が彼女にとって必要なのかを考えてください。」や「本来の機能を人の都合で損なわす事の重さを考えてください」と言われましたし。
 なんか家族がそういう部分で逡巡してた時期もありました(特に相方/苦笑)。

 とは言え、もし「飼い主」が望まない仔が出来た場合、引取手を捜す事等を考えたらとか、産まれた「生命」に対してどこまで「責任」を持てるのかという事を熟慮し、ならば「した方が良いんじゃないのか」という結論になりました。

 獣医師から説明を受けたメリット・デメリット及び施術のタイミング等について少し書いておきます。
○メリット
・乳腺炎等生殖器に罹る率が確実に低くなる。
・寿命が延びる。
・発情期のストレスが無い。
○デメリット
・ホルモンのバランスが若干崩れる為、太る(食事制限及び運動で対応できるそうですが)。
・稀に性格が変わることもある(キツくなる場合があると言われました)。
○施術のタイミング
・生後1年前後)(初潮を迎えた後)。
 通ってる病院では「初潮後が良いです」と言われましたが、病院に拠っては「前」と言われる場合もあるようです(どっちが良いのかは素人なので不明^^;;)
○その他
・うちのお嬢さんの場合、施術時間は1時間程度でした。
・施術前の検査は体温、歯、血液検査、心電図とかなり綿密だったみたいです。
・傷口の大きさは10cmから12cm位(体長60-80cm)で、15-20針位縫われておりました。
・手術当日引取で、餌は当日から通常のものを与えました、お散歩は翌々日から出来ました。
・抜糸は施術日から約10-14日後
・麻酔が完全に抜けるまで約2日かかりました。
・手術代は31,000円位(エリザベスカラー購入代含)

 以下は手術当日のドタバタです(って^^;;)

 手術が平日午前中からしか出来ないと言われた為、休暇をとって彼女につきそいました(運搬役がメイン^^;;)。

 前日夜から絶食で当日朝から水絶ちされ、鈍い彼女も「何かおかしい」と勘付いていたようで、車に乗せた途端「くぃーん」と滅多に出さない声を出していたのが可愛らしく。
 病院に到着し診察台に乗せられた途端足がブルブルと震え出し、通常と全く違いかなり怖がっているのがアリアリと分かりました(ワクチン接種ならば嫌がって鳴いて、私にしがみつく^^;;)。でとりあえず検温と歯を見てもらってましたが、その間完全に固まってるのが可笑しいやら、不憫でした。(しかし、乳歯が残ってたら抜いて良いですか??って確認された時は、まだ持ってたかあんたは...と少々情けない気分になりました--;;)
 手術の説明を受けた後、暫しの別離(笑)
 獣医師に抱かれていたわんこは、不安そうな心細そうな緊張してるような何ともいえない様子で、置いて行くのが少々可哀想に思えた程。

 昼前に手術が始まり約1時間後に終了(担当医が連絡をくださいました。ホント良い病院です)その日の夕方に引き取りに行きました。

 病室に入ったら、既に診察台の下で期待の(えっ?!)エリザベスカラーを付けお腹にネットを巻かれてるわんこが所在無げに座っておりました。母と私が声を掛けると、尻尾をゆっくり振ってくれたのが嬉しいやら愛らしい瞬間でした(相方曰く「『もうこれ以上嫌なことしないで下さい』っていう意味やでそれは」だそうです/悔)
 病室で血液検査結果及び心電図の説明を受けてる間わんこは大層お利口に座り、いざ病室を出る段にはもう自ら進んでいそいそと後ろを振り向くことなく元気良くテコテコ歩いてたんです。待合室でもじっとお利口でシャンとしてたので、これは歩いて駐車場まで行けるな〜と暢気に構えてたんです。
 ところが、一歩病院を出た途端座り込んでしまい、結局駐車場まで6kgを抱く羽目になりました。病室では彼女なりに緊張して「気張って」たんだな〜と思うと、物凄く愛おしく、可笑しくて母と二人で大笑いしました。

 無事帰宅し、寝床に入れたんです。が、不安と緊張が継続していたのか、麻酔が切れかけて痛みを覚えたのかなかなか落ち着いてくれず。体力も減ってしんどいだろうし、実際うとうとしてるんですが、本格的に体を休める事が出来ない状態が2時間近く続きました。しかも、その間人の姿が見えないと探して呼んだり、うとうとしては覚醒しその都度人が傍に居ることを確認してました。どうやら「寝て起きたら誰も居かった。捨てられたかも?!」という不安がその日一日付き纏ってたようです。
 彼女にしたら、怖い場所に一人置かれて、足に注射されて心電図録られて、お腹の毛剃られて、寝て起きたら飼い主は居ないわ首にエリザベスカラーは付いてるわ、何か知らんけどお腹が妙だわと、不安でしかなかった一日だった筈。

 そんな彼女が何とか寝入ったのは、帰宅から4時間後でした。その間母と交代で食事とお風呂を済ませ、ほぼ彼女の傍に付きっ切りな状態でございました(^^;;
 しかし、立ったまま(壁に体重を預けながら)白河夜船で時折「はっ」と目覚めて周囲を見渡す様子は、まるで授業中にうたた寝している学生のようでかなり可笑しい情景で、母と二人でそんな大笑いしてました。携帯の動画で撮った程、なかなか面白かったのも事実です(酷)。

 しかも、そんな彼女を母はカメラを持ち出して「現状だけでも撮っておく!!」とバシャバシャ取り捲ってるし、翌日には相方が面白がって50枚近く写しておりました(酷い家族です^^;;)。

 昨夜実家に寄ったんですが、術後の経過も良好のようでいつもと変わらない様子(はしゃぎっぷり)だったので、非常に安心しました。さぁ次の試練は抜糸です!!抜糸までの2週間、なんとか乗り切れわんこ!!

白黒な第5世代!!

 待ちに待った、iPod 新世代が発表されました!!。4世代から約1年半。この間に、カラー液晶化とかiPhotoとかのマイナーチェンジを繰り返してきたiPod。
 マイナーチェンジしたPodを見るたびに買い換えようかどうしようか、かなり悩んだ時期もありました。しかしっ!今日までじっと我慢の子で居て良かった!!!!って感じです(笑)

 だって、だって。

音楽、写真、Podcast。そしていよいよ、ビデオも楽しめるiPodの誕生です。その使命は、音楽とメディアの体験を一新すること。いっそう軽くスリムになったiPodは、30GBと60GBの2つのモデル。価格は34,800円(本体価格:33,143円)から。耳だけでなく、目にも楽しい iPodが今ここに。

Apple Japan iPodより抜粋

ですよっっ!!!!!

 加えて、液晶が大型化しNanoで心惹かれた「黒」もあるときたら、これは「買い」の一言しかありませんです(笑)
 更に、ITmedia+D LifeStyleに拠ると

ジュークボックスソフトの新版「iTunes 6」も同時発表され、無料ダウンロード提供を開始した。iTunes Music StoreではPixar Animation Studios製作の短編映画と、Disney系列の人気テレビ番組をそれぞれ1本1.99ドルで発売する。
(中略)テレビ番組販売は米国版のiTunesのみ。
音楽ビデオも2000本が販売され、ビースティ・ボーイズ、U2、マドンナなどのビデオを独占提供している。

ITmedia+D LifeStyle:Apple、ビデオiPodを発表、iTMSでビデオ販売も開始より抜粋

 てっ!!!!
 ホンマニ、ツボツカレマクリ なんですが(泣笑)。ここまでやられると、しつこいようですが「買い」ですよ!!!また、米iTMSのプリベイトカードの入手も必須となった模様です。

 とは言え、Podはケース類が出てから買おうと思ってるので、入手は恐らく年末〜年明けになるだろうと思います。

 一体どれだけPodにお金を落せば気が済むんでしょうか、私は(^^;;
(けど、今使ってる4世代一体どうしたら良いのか思案中です。結局、友人か義父に譲ることになるんだろうな〜/笑)

2005年10月4日火曜日

9月に読んだモノ あれこれ

 一冊毎に書くと深みに嵌ってしまう気がしたので、読書メモって感じで雑感をつらつらと書いてみました。

○『半落ち』 講談社文庫 横山秀夫(著)
 書評や周囲の評判が良かったり、『文学賞メッタ斬り』で触れられていた「直木賞 落選の理由」等々で興味を持っており、文庫落ちを機に購入。
 直木賞時に話題になった「落ち」の部分には全く違和感はなかったし、それに付随する伏線の張り方も丁寧で引き込まれました。また、リレー形式で物語が語られることで、一つの事件の「謎」に対し、「組織」の論理とその狭間にいる「個」との軋轢、そして彼らが「心情的」に揺れ動く様がより丁寧に深く描かれていると感じました。
 また、「個」と「組織」の一面だけはなく、彼らが属する「組織」と「組織」の「『力』を巡る綱引き」と「保身」、「個」が「組織」で生きる残る為の「保身」や上昇志向と欲をこれでもかと見せ付けられた気がします。そして、全編を覆っているある種の閉塞感に息苦しくもなりました。実際、途中(弁護士の段)で手が止まったほどです(正直、似たような展開が続いて食傷気味になったってものありますが/苦笑)。
 ただ、最終場面にはやはり胸が詰まりました。それまで全体を覆っていた「薄暗さ」が、薄っすらとしてけれど力強い光が射すことで、穏やかな色彩と変化した気がしました。
 決して人生ってそれほど嫌なことばかりじゃないんだ、とかいったありきたりな言葉でしか表現できないんですが(^^;; 悲しみとも清々しさとも表現できない、なんとも言えない読後感でした。

○『光源』 文芸春秋社 桐野夏生(著)
 この本、文庫版を幾度か手にとっては結局棚に戻していた本でもあります。
「映画製作に群がる人間模様」といった感じですが、やっぱり桐野夏生です(って何のことやら)。
 底意地の悪い目線は相変わらずで、登場人物の欲や業が嫌って程丁寧に執拗に描かれてます。読んでる時には、足元を持たれて砂の中にゆっくり引きずり込まれる感覚がありました(ざらついた感じと言おうか・・・)。
 誰もが「空洞」を抱えていてそれを埋める手段を必死になって探してる。けれど、結局はそれぞれ埋めたい空洞は埋まることなく、違う何かを代替としてしまう。そういった意味で、登場人物が誰一人として「幸せ」にならない結末には、ある種の潔さを感じてしまいました。
 そして、やっぱり、女性の暗い部分の描き方は最高に素敵です(笑)。平穏な場面よりも、絶望や嫉妬、遣る瀬無さ、売らざるを得ない「媚」、葛藤、等々の部分を描いた場面が強烈に印象に残りました。
 ただ先に『グロテスク』を読んでいた所為か・・・多少物足りなさを感じた部分もあったりしました。
 次は、『魂萌え!』を借りる予定。

○『照柿』 講談社 高村薫(著)
 横山氏、桐野氏を読んだ後、物凄く読みたくなったのが高村女史の作品でした。で、本棚にあったのを久し振りに取り出しました(再読になる筈)。
 初読時には引っかからなかった描写やフレーズが、今回引っかかってしまって。何処がとは具体的に表現できないのが、自分でもかなりもどかしいですが。ただ、描かれる「猥雑」さが物凄く「美しく」見えたような・・・ふと、レクター博士の『脳内の宮殿』的な荘厳さを見たのかも知れません。
 出てくる人物全員が鬱屈してると言うのか、暗い淵を覗き込んでる重さと言うのか、あの文体(好みですが)の所為なのか、久し振りに読み応えのある重い本を読んだ〜って感じです(^^;;
あの文体及び世界観を忘れない間に、『レディ・ジョーカー』を引っ張り出して読みはじめました。

○『井上ひさし全芝居 その2』 新潮社 井上ひさし(著)
 来月初旬に行く『天保十二年のシェイクスピア』の予習のため図書館で借りた本。
 いや〜楽しかったですよっ!!文字を追いかけてるだけでも、物凄く楽しい!!。言葉遊びや本歌取りやらもう、シェイクスピアで心行くまで遊んでみました、ってな感じが心地よくて心地よくて(笑)
 お気に入りは、きじるしの王次の「To be or Not to be」古今東西名翻訳集な場面。これを藤原君で見せてくれると思うと、楽しみで仕方ありませんよ!!(無かったら悲しい・・・)。戯曲の全体像が掴めたので、これで思う存分舞台を楽しめます。


○『百器徒然袋・雨』 講談社文庫 京極夏彦(著)
 新書版は当然持ってるんですが、文庫で揃えてしまってるのでやっぱり買ってしまいました(^^;;;。
 それ以上に帯の「そうだ!僕だ。お待ちかねの榎木津礼二郎だ!」は必携だろうと思ったわけでして(馬鹿)。すっかり、まんまと講談社の罠に嵌められております(笑)。
 話は、榎さん大暴走!!それに渋々に見えて実は結構ノリノリで巻き込まれる京極堂と薔薇十字の僕達、としか表現できません(って)。
 もしくは、極々普通の市井の個人が「榎木津礼二郎」や「京極堂」達と知り合うことで、ドンドン下僕化していく過程が克明に描かれてる話(違うと思います^^;;)。
 これの感想なんて・・・・皆 大好きっ!!ってな感想しかでてきません・・・すみません。

○『大奥 1』 ジェッツコミック よしながふみ(著)
 突然コミックスです(笑)。メロディ連載時から気になっていた作品で、単行本化されたので早速入手。

 男女逆転大奥
  将軍は女。
  大奥には美男三千人

            -コミック 帯より-


 という、パラレルな大奥物語です。が、単に逆転してるというだけではなく、「もしかしたら、本当は...」という思考の遊びができる「根拠」が物語中に細かく提示されてるのがミソ。
 また、男女の「権力」に対する思考、権勢を手に入れるまでの手段の違いなんかが見事に描かれており、後半部からはミステリー的な要素が加わってくるという贅沢さ!!
 出てくるキャラクターもそれぞれ魅力的です。

 で私の好みのキャラクターは、男前(え)で遊び人でケチな吉宗公でも、吉宗公とケチで気があうけど遊び心の少ない越前でも、男気があって美男な水野でも、律義者な杉坂でもなく、吉宗公の側近である久通(おみつ)!!
 才能があるような風貌ではないんですが(ふくよか系)、実はかなり有能な官吏であり、細やかな心配りも出来れば、突っ込みも出来る!!完璧です!!下手な例えをするならば、吉宗公が研ぎ澄まされた刀で、久通はそれを収める鞘って感じです(氏の作品である『西洋骨董洋菓子店』でいうならば、吉宗=橘、久通=小野って感じかと)。

 また大奥の絢爛豪華な雰囲気と氏の絵が巧くかみ合って、艶と雰囲気のある世界が作られております。